
免許の基準
めんきょのきじゅん
宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、宅地建物取引業の免許を申請した場合には、国土交通大臣または都道府県知事は、一定の事由に該当する場合には、免許を与えることができないとされている(宅地建物取引業法第5条第1項)。具体的には次のとおりである。
<なお下記5・6・11の「役員」の定義は役員(免許の基準における〜)を参照のこと>
1)免許申請書等で、重要な事項の虚偽記載等がある場合
宅地建物取引業を営もうとする者が提出した免許申請書や免許申請書の添付書類において、重要な事項について虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が欠けている場合には、免許を与えることができない(法第5条第1項本文)。
2)専任の宅地建物取引主任者の設置義務を満たさない者
宅地建物取引業を営もうとする者が、その事務所に関して宅地建物取引主任者の設置義務を満たさない場合には、免許を与えることができない(法第5条第1項第9号)。
3)成年被後見人、被保佐人、復権を得ない破産者
宅地建物取引業を営もうとする個人が、成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ないものであるときは、免許を与えることができない(法第5条第1項第1号)。
4)一定の事情で免許の取消しをされてから5年を経過しない者
宅地建物取引業を営もうとする個人が、次のア・イ・ウの事情により免許を取消されてから5年を経過しない者であるときは、免許を与えることができない(法第5条第2号)。
ア:不正の手段により免許を受けたために、免許を取消された者(法第66条第1項第8号)
イ:業務停止処分に該当する行為<法第65条第2項の行為>を行ない、特に情状が重いために、免許を取消された者(法第66条第1項第9号)
ウ:業務停止処分を受けて、業務停止処分に違反したために、免許を取消された者(法第66条第1項第9号)
5)免許の取消しをされた法人の役員であった者で、法人の免許の取消しから5年を経過しない者
宅地建物取引業を営んでいた法人が、上記4)のア・イ・ウの事情により免許の取消しを受けた場合において、聴聞の公示の日(免許取消し処分に係る聴聞の日時・場所が公示された日)の60日前以内にその法人の役員(注)であった者は、法人の免許の取消しから5年を経過しない場合には、個人として免許を受けることができない(法第5条第1項第2号)。(詳しくは免許の基準(役員の連座)へ)
6)一定の時期に廃業・解散等した個人(または法人の役員)で、廃業の届出等から5年を経過しない者
これは免許取消し処分が下されることを回避するために、廃業・解散等してしまった場合を指している(法第5条第1項第2号の2、第2号の3)。(詳しくは免許の基準(廃業等)へ)
7)刑事罰の執行を終えてから5年を経過しない者等
免許を取得しようとする個人が、過去に一定の刑事罰を受けた経歴がある場合には、原則として刑の執行を終えてから5年間は、免許を受けることができない。(詳しくは免許の基準(刑事罰)へ)
8)免許の申請前5年以内に、宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者 (法第5条第1項第4号)
9)宅地建物取引業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者 (法第5条第1項第5号)
10)営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記3)から9)のいずれかに該当するもの (法第5条第1項第6号)
未成年者は、婚姻をした場合(離婚後を含む)または営業の許可を受けた場合には、成年者と同一の能力を有することとなり、法定代理人の同意なくして有効に法律行為を行なうことが可能になる。しかし未婚かつ営業許可のない未成年者は法定代理人の同意を必要とする(詳しくは未成年者へ)。そこでこうした未成年者については法定代理人が上記3)から9)の欠格事由に該当しないことが要求されている。
11)法人が免許を取得しようとする場合に、その役員(注)のうちに、上記3)から9)までのいずれかに該当する者があるもの (法第5条第1項第7号)
12)法人が免許を取得しようとする場合に、その事務所の代表者のうちに、上記3)から9)までのいずれかに該当する者があるもの (法第5条第1項第7号)
13)個人が免許を取得しようとする場合に、その事務所の代表者のうちに上記3)から9)までのいずれかに該当する者のあるもの (法第5条第1項第8号)
(注)上記5)・6)・11)における役員は、実質的な支配力を有する者を含む広い概念である。詳しくは役員(免許の基準における〜)を参照のこと。
役員(免許の基準における〜)
宅地建物取引業法第5条第1項(免許の基準)では、その事由に該当した場合には宅地建物取引業の免許を与えることができない事由を列挙している。これらの欠格事由における役員とは次の1および2の者を指しており、実質的に支配力を有する者を含む幅広い概念である。
1:業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者
2:相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者
このように、名称の如何を問わず、宅地建物取引業を営む法人または個人に対して、実質的に支配力を有する者を、宅地建物取引業法第5条第1項(免許の基準)では「役員」と呼んでいる。
なお上記2の「同等以上の支配力」の認定に際しては、「名刺、案内状等に会長、相談役等の役職名を使用しているか否かが一つの基準となる」と説明されている(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方「第5条第1項関係」より)。
免許申請書
宅地建物取引業の免許を受けようとする者が、国土交通大臣または都道府県知事に提出する申請書のこと。免許申請書の様式は、宅地建物取引業法施行規則の様式第1号で定められている(施行規則第1条)。
免許申請書に記載すべき事項は次のとおりである(宅地建物取引業法第4条第1項)。
1)商号または名称 (第4条第1項第1号)
2)法人である場合においてはその役員の氏名、事務所の代表者の氏名 (第4条第1項第2号、施行令第2条の2)
3)個人である場合においてはその者の氏名、事務所の代表者の氏名 (第4条第1項第3号、施行令第2条の2)
4)事務所の名称および所在地 (第4条第1項第4号)
5)事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引主任者の氏名 (第4条第1項第5号)
6)他に事業を行なっているときは、その事業の種類 (第4条第1項第6号)
免許申請書の添付書類
宅地建物取引業を営もうとする者が、宅地建物取引業の免許を申請する場合には、次の書類を免許申請書に添付しなければならないとされている(宅地建物取引業法第4条第2項)。
1)宅地建物取引業経歴書 (法第4条第2項第1号)
2)免許の欠格事由(法第5条第1項各号の事由)に該当しないことを誓約する書面 (法第4条第2項第2号)
3)事務所について専任の宅地建物取引主任者の設置義務を満たしていることを証する書面 (法第4条第2項第3号)
4)免許申請者(法人の場合は役員(相談役、顧問含む))、事務所の代表者、専任の宅地建物取引主任者が、成年被後見人および被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書。これらの者が禁治産者、準禁治産者、破産者で復権を得ない者に該当しない旨の市町村の長の証明書 (施行規則第1条の2第1号、第1号の2)
5)法人である場合において、相談役および顧問の氏名と住所、発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主または出資額の100分の5以上の額に相当する出資をしている出資者の氏名(名称)と住所、およびその株式の数またはその出資の金額を記載した書面 (施行規則第1条の2第2号)
6)事務所を使用する権原に関する書面(施行規則第1条の2第3号)
7)事務所付近の地図および事務所の写真(施行規則第1条の2第4号)
8)免許申請者、事務所の代表者、専任の宅地建物取引主任者の略歴を記載した書面 (施行規則第1条の2第5号)
9)法人である場合においては、直前1年の各事業年度の貸借対照表および損益計算書 (施行規則第1条の2第6号)
10)個人である場合においては、資産に関する調書 (施行規則第1条の2第7号)
11)宅地建物取引業に従事する者の名簿 (施行規則第1条の2第8号)
12)法人である場合においては法人税、個人である場合においては所得税の直前1年の各年度における納付すべき額および納付済額を証する書面 (施行規則第1条の2第9号)
13)法人である場合においては、登記簿謄本(施行規則第1条の2第10号)
14)個人である場合においては、住民票抄本またはこれに代わる書面(施行規則第1条の2第11号)
事務所
宅地建物取引業法第3条第1項で規定する場所のこと(法第3条第1項、施行令第1条の2)。
具体的には次の2種類の場所が「事務所」に該当する。(以下の文章は国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方にもとづいている)
(1)本店または支店(施行令第1条の2第1号)
商業登記簿等に記載されており、継続的に宅地建物取引業の営業の拠点となる実体を備えているものを指す。
ただし宅地建物取引業を営まない支店は「事務所」から除外される。
また本店は、支店の業務を統括する立場にあるため、本店が宅地建物取引業を直接営んでいない場合であっても、その本店は「事務所」に該当するものとされる。
(2)上記(1)以外で「継続的に業務を行うことができる施設」を有する場所で、宅地建物取引業に係る「契約を締結する権限を有する使用人」を置く場所(施行令第1条の2第2号)。
「継続的に業務を行うことができる施設」とは、固定的な施設であり、テント張りの施設や仮設小屋は含まれない。
「契約を締結する権限を有する使用人」とは、宅地建物取引主任者を指すものではなく、支店長・支配人などのように営業に関して一定範囲の代理権を持つ者を指している(ただし支店長等が同時に宅地建物取引主任者である場合がある)。
また「置く」とは常勤の使用人を置くという意味である。
以上の(1)と(2)の場所をあわせて、宅地建物取引業法では「事務所」と呼んでいる。
従って、会社の登記(商業登記簿)では支店として登記されていなくても、継続的に業務を行うことができる施設に、宅地建物取引業に係る支店長や支配人を置いていれば、その施設は「事務所」とみなされることになる。
なお、宅地建物取引業法ではよく似た概念として「事務所等」「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」「標識を掲示すべき場所」「クーリングオフが適用されない場所」を定めているので、それぞれの違いに注意したい。
宅地建物取引主任者の設置義務
宅地建物取引業者が、その事務所等に、「成年の専任の宅地建物取引主任者」を置かなければならないという義務のこと(宅地建物取引業法第15条第1項)。
(1)主任者を置くべき場所と人数
最低設置人数は、その場所の種類で異なることとされており、具体的には次のとおり。
(ア)「事務所」に設置すべき成年の専任の宅地建物取引主任者の最低設置人数は、事務所の「業務に従事する者」(以下「従事者」という)の数の5分の1以上である。
例えば事務所における従事者が11人ならば、その5分の1は2.2人であるので、成年の専任の宅地建物取引主任者を3人(またはそれ以上)置かなければならない(施行規則第6条の3による)。
なお従事者の範囲については、詳細なガイドラインが設けられている(別項目の「従事者」を参照のこと)
(イ)「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」に設置すべき成年の専任の宅地建物取引主任者の最低設置人数は、その場所の従事者の人数に関係なく、1名以上である。
(2)置くべき主任者の要件
上述の(1)において置くべき宅地建物取引主任者は「成年」かつ「専任」でなければならないとされている。
ここで「専任」とは、国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方によれば、原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(宅地建物取引業者の通常の勤務時間を勤務することをいう)して、専ら宅地建物取引業に従事する状態を言うと解説されている。
ただし、当該事務所が宅地建物取引業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行なわれていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものと解説されている。
また「成年」とは満20歳に達したことをいうが、民法第753条により未成年でもいったん結婚すると成年に達したものとみなされる(詳しくは別項目の「成年」へ)。
(3)置くべき主任者の要件に関する特例措置
役員(個人業者の場合には業者本人)が、宅地建物取引主任者であるときは、その者が「成年の専任の宅地建物取引主任者」とみなされるという特例措置が設けられている。
従って、例えば、ある宅地建物取引業者において、18歳の役員である宅地建物取引主任者(婚姻はしていない者)がいて、主として専らある事務所の業務に従事している場合には、その役員がその事務所の「成年の専任の宅地建物取引主任者」とみなされることになる。
なおここでいう「役員」とは、取締役よりも広い範囲を指している。具体的には「役員とは、業務を執行する社員、取締役、執行役、またはこれらに準ずる者」とされている。ちなみに監査役はここでいう「役員」から除外されている。(法第15条第2項)
(4)設置義務違反の是正措置
上述の(1)の最低設置人数に違反する状態になった場合には、宅地建物取引業者は早急に是正しなければならない(法第15条第3項)。
具体的には、既存の事務所等がこの成年の専任主任者の設置義務に違反する状態となったときは、2週間以内に設置義務を満たす必要があるとされている。
成年被後見人
精神上の障害があるために、後見人を付けられた者のこと。
精神上の障害により物事を判断する能力が欠如した状態にある者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求に基づいて審判を行ない、「後見開始」の決定をし、「後見人」を職権で選任する(民法第7条、第843条)。
こうした手続により後見人を付けられた者のことを「成年被後見人」と呼ぶ。
また、成年被後見人に付けられる後見人は「成年後見人」と呼ばれる。
この「成年被後見人」の制度は、平成12年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「禁治産者」という名称であった。
成年被後見人は法律行為を有効に行なうことができないものとされているので、どんな法律行為でも原則的に後で取消すことが可能である(ただし日用品の購入などは有効に自分で行なうことができる)(民法第9条)。
従って、成年被後見人との契約を行なうには、その成年後見人を代理人として契約を行なうべきである(民法第859条)。
被保佐人
精神上の障害があるために、保佐人を付けられた者のこと。
保佐とは「たすける」という意味である。
精神上の障害により物事を判断する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求に基づいて審判を行ない、「保佐開始」の決定をし、「保佐人」を職権で選任する(民法第11条、第876条の2)。
こうした手続により保佐人を付けられた者のことを「被保佐人」と呼ぶ。
この「被保佐人」の制度は、平成12年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「準禁治産者」という名称であった。
被保佐人は、財産にかかわる重要な法律行為(不動産売買や不動産賃貸借など)を自分だけでは有効に行なうことができない。
こうした重要な法律行為を行なうには保佐人の同意が必要であり、もし保佐人の同意を得ないで重要な法律行為を行なった場合には、後でその法律行為を取消すことが可能である。
ただし重要でない法律行為や、日用品の購入などは有効に自分だけで行なうことができる(民法第12条)。
従って、被保佐人との契約を行なうには、その保佐人の同意を必ず取得するべきである。
免許の基準(役員の連座)
宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、宅地建物取引業の免許を申請した場合には、国土交通大臣又は都道府県知事は、一定の事由に該当する場合には、免許を与えることができないとされている(宅地建物取引業法第5条第1項:免許の基準)。
この免許の欠格事由のひとつとして、一定の悪質な事情により過去に免許の取消しをされた法人において、一定期間内にその法人の役員であった者は、その法人の免許の取消しから5年を経過しない間は、個人として免許を受けることができないとされている(法第5条第1項第2号)。具体的には次のとおりである。
1)役員の範囲について
役員とは、その名称の如何を問わず、実質的な支配力を有する者を含むという幅広い概念とされている。(詳しくは役員(免許の基準における〜)を参照のこと)
2)過去における法人の免許の取消しの事由について
法人の免許が次のア・イ・ウに該当する悪質な事由によって取消されたことが要件である。
ア:法人が、不正の手段により免許を受けたために、免許を取消されたこと(法第66条第1項第8号)
イ:法人が、業務停止処分に該当する行為<法第65条第2項の行為>を行ない、特に情状が重いために、免許を取消されたこと(法第66条第1項第9号)
ウ:法人が、業務停止処分を受けて、業務停止処分に違反したために、免許を取消されたこと(法第66条第1項第9号)
3)その法人の役員であった時期について
その法人の役員のすべてが法第5条第1項第2号の欠格事由に該当するわけでなく、次のAまたはBの時期にその法人の役員であった者だけが、法第5条第1項第2号の欠格事由に該当するとされている。
A:法人の免許が取消された時点
B:法人の免許の取消しに係る「聴聞の期日及び場所」が公示された日の前60日から、法人の免許の取消しまでの期間
このうちBは、宅地建物取引業の違反行為があってから、聴聞の公示までに役員を辞職して逃れようとする役員をも捕捉して対象にするという規定である。
なお、聴聞の公示日以降に宅地建物取引業を廃業しまたは法人を解散して、免許取消し処分を不当に免れようとする法人の役員についても同様の役員連座規定を設けている。
(詳しくは免許の基準(廃業等)へ)
免許の基準(廃業等)
宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、宅地建物取引業の免許を申請した場合には、一定の事由に該当する場合には、免許を与えることができない(宅地建物取引業法第5条第1項:免許の基準)。
この免許の欠格事由のひとつとして、過去に免許の取消しをされた個人や法人の役員(注1)については、5年間は個人として免許を受けることができないとされている(法第5条第1項第1号、第2号)。(役員の場合に関して詳しくは免許の基準(役員の連座)へ)
しかしこの法第5条第1項第1号および第2号の規定では、聴聞の公示の日以降に宅地建物取引業自体を廃業し、または法人自体を解散または合併により消滅させて、免許取消し処分を不当にまぬがれた個人や法人が対象外とされてしまう。
そこで法第5条第1項第2号の2および第2号の3では、こうした不当な廃業・解散・合併消滅についても、免許の欠格事由に該当することとしている。具体的には次のとおり。
1)対象となる個人または法人
次のア・イ・ウに該当する悪質な違反行為を犯し、免許取消し処分に係る聴聞の日時・場所が公示された個人または法人が対象となる。
ア:不正の手段により免許を受けたこと(法第66条第1項第8号)、
イ:業務停止処分に該当する行為を行ない、特に情状が重いこと(法第66条第1項第9号)
ウ:業務停止処分を受けて、業務停止処分に違反したこと(法第66条第1項第9号)
2)対象となる廃業・解散・合併消滅
次のように聴聞の公示日以降における廃業の届出・解散の届出・合併消滅が対象となる
【注:●廃業の届出、解散の届出、合併による消滅について相当の理由がある場合には、免許の欠格事由とならない。(例えば個人が重病で廃業するなど)
●聴聞公示日以降に、破産した場合には、免許の欠格事由とならない。これは免許取消し処分を免れるために故意に破産することは通常考えにくいという理由にもとづく。
●聴聞公示より前に、廃業の届出、解散の届出、合併による消滅がなされた場合には、個人・法人役員について免許の欠格事由が生じることはない。法第5条第1項第2号の2および第2号の3は、聴聞公示がなされた場合に適用される規定であり、聴聞公示がなされないならば適用されないからである。】
A:個人の廃業の届出
上記1)のア・イ・ウに該当する個人が、免許取消し処分に関する「聴聞の日時及び場所」が公示された日以降、免許取消し処分の日(または処分しないことが決定された日)までの期間内に、宅地建物取引業の廃止の届出(法第11条第4号)を提出したこと。
この場合には、廃業の届出から5年間、その個人に免許の欠格事由が生じる。
B:法人の廃業の届出
上記1)のア・イ・ウに該当する法人が、免許取消し処分に関する「聴聞の日時及び場所」が公示された日以降、免許取消し処分の日(または処分しないことが決定された日)までの期間内に、宅地建物取引業の廃止の届出(法第11条第4号)を提出したこと。
この場合には、「聴聞の日時及び場所」が公示された日の60日前以降にその法人の役員(※)であった者に免許の欠格事由が生じる。(これは、宅地建物取引業の違反行為から聴聞公示日までの期間内に役員を辞職して逃れようとする役員を捕捉するための役員連座規定である)
その役員に関して免許の欠格事由が生じる期間は「廃業の届出から5年間」である。(「役員辞職から5年間」ではないことに注意)
※宅地建物取引業法第5条第1項(免許の基準)における「役員」とは、その名称の如何を問わず、実質的な支配力を有する者を含むという幅広い概念とされている。(詳しくは役員(免許の基準における〜)を参照のこと)
C:法人の解散の届出
これは上記Bの「宅地建物取引業の廃止の届出(法第11条第4号)」を「法人の解散の届出(法第11条第5号)」に置き換えただけで、それ以外は全く同じである。
その役員に関して免許の欠格事由が生じる期間は「解散の届出から5年間」である。
D:法人の合併による消滅
これも上記Bの「宅地建物取引業の廃止の届出(法第11条第4号)」を「法人の合併による消滅」に置き換えたものである。
ただし、その役員に関して免許の欠格事由が生じる期間は「合併による消滅から5年間」である(「合併による消滅の届出から5年間」ではないことに注意)。
以上のように、聴聞公示後になされた不当な廃業の届出・解散の届出・合併消滅については、届出または合併消滅から5年間にわたり免許の欠格事由が生じることとされている。
免許の基準(刑事罰)
宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、宅地建物取引業の免許を申請した場合には、一定の事由に該当する場合には、免許を与えることができない(宅地建物取引業法第5条第1項:免許の基準)。
このような免許の欠格事由のひとつとして、免許を取得しようとする個人が、過去に一定の刑事罰を受けた経歴がある場合には、原則として刑の執行を終えてから5年間は、免許を受けることができないとされている(法第5条第1項第3号)。具体的には次のとおりである。
1)禁固以上の刑を受けた場合(法第5条第1項第3号)
刑罰には重い順に「死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料」があるとされている(詳しくは自由刑、財産刑へ)。なお行政法規違反に対する「過料」は刑罰ではない
宅地建物取引業法では「禁固以上の刑を受けた場合には、刑の執行を終わった日(または刑の執行を受けることがなくなった日)から5年間は、免許を受けることができない」旨を定めている(法第5条第1項第3号)。
従って「死刑、懲役、禁固」の刑を受ければ、その罪名に関係なく、原則として刑の執行を終わった日から5年間は免許の欠格事由に該当することとなる。
2)一定の犯罪について罰金刑を受けた場合(法第5条第1項第3号の2)
暴力や背任などの犯罪については、罰金刑であっても、刑の執行を終わった日(または刑の執行を受けることがなくなった日)から5年間は、免許を受けることができない(法第5条第1項第3号の2)。具体的には次の4種類の犯罪である。
A:「宅地建物取引業」への違反に対する罰金の刑
B:「傷害罪・暴行罪・脅迫罪・背任罪・傷害助勢罪・凶器準備集合罪」に対する罰金の刑
C:「暴力行為等処罰に関する法律」への違反に対する罰金の刑
D:「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」への違反に対する罰金の刑
3)「刑の執行を終わった日から5年間」の意味
懲役と禁固の場合は、刑は監獄で執行することとされているので、「刑の執行を終わった日」とは監獄から出獄した日である。この日から5年間は宅地建物取引業の免許を受けることはできない。
罰金の場合は、金銭を納付することが執行にあたるので、「刑の執行を終わった日」とは罰金を納付した日である。この日から5年間は宅地建物取引業の免許を受けることはできない。
4)「刑の執行を受けることがなくなった日から5年間」の意味
これは「仮出獄における残刑期満了の日から5年間」という意味である。
仮出獄(いわゆる仮出所)とは、有期刑では刑期の3分の1(無期刑では10年)を経過したときに地方更正保護委員会の処分により仮に出獄することをいう。
仮出獄の場合には、仮出獄を取消されることなく、残りの刑期を無事に経過すれば、刑の執行が終了したものとなる。従って仮出獄の場合は、「刑の執行を受けることがなくなった日から5年間」とは「残刑期がすべて終了した日から5年間」という意味である。
5)執行猶予の場合
執行猶予とは、刑の言い渡しをした場合に、情状等を考慮して、刑の執行を一定期間猶予することである。執行猶予期間が無事終了したときは、刑の言い渡しそのものが失効する。
つまり執行猶予の場合は、執行猶予期間が経過すれば、犯罪そのものが消滅することとなる。従って執行猶予期間が経過すれば、その翌日から宅地建物取引業の免許を受けることが可能となる。
6)恩赦の場合
大赦・特赦の場合には、刑の言い渡しそのものが失効するので、上記5)の執行猶予と同じ結論となる。
7)時効の場合
時効(公訴時効)とは、犯罪行為が終わったときから一定期間が経過することにより、刑事訴訟を提起することができなくなるという制度である。
そのため、時効が完成した日が「刑の執行を受けることがなくなった日」に該当すると解釈されている。従って、時効完成の日(=刑の執行を受けることがなくなった日)から5年間は免許を受けることができない。
法定代理人
「法定代理人」とは、法律の規定によって定められた代理人という意味である。
これに対して、当事者同士の合意によって定められた代理人は「任意代理人」と呼ばれる。
具体的には、民法にもとづく法定代理人には次の3種類がある。
1)親権者
2)未成年後見人
3)成年後見人
1)および2)は、未成年者の法定代理人である。
また3)は、成年被後見人の法定代理人である。
このような法定代理人には、未成年者・成年被後見人の財産を管理し、法律行為を代理するという大きな権限が与えられている(民法824条、859条)。
未成年者
満20歳の誕生日を迎える前の者を「未成年者」という(民法第4条)。
ただし満20歳未満であっても、婚姻をした者はもはや「未成年者」ではなくなり、成年となる(民法第753条)。
なおこの場合に、婚姻を解消したとしても「未成年者」に戻ることはなく、成年のままである。
未成年者が契約をなすには、親権者(または未成年後見人)がその契約に同意することが必要である。
この同意を得ないで未成年者が契約をした場合には、未成年者はこの契約を取消すことができる(民法第4条)。
なお親権者と未成年後見人は、総称して法定代理人と呼ばれる。
事務所
宅地建物取引業法第3条第1項で規定する場所のこと(法第3条第1項、施行令第1条の2)。
具体的には次の2種類の場所が「事務所」に該当する。(以下の文章は国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方にもとづいている)
(1)本店または支店(施行令第1条の2第1号)
商業登記簿等に記載されており、継続的に宅地建物取引業の営業の拠点となる実体を備えているものを指す。
ただし宅地建物取引業を営まない支店は「事務所」から除外される。
また本店は、支店の業務を統括する立場にあるため、本店が宅地建物取引業を直接営んでいない場合であっても、その本店は「事務所」に該当するものとされる。
(2)上記(1)以外で「継続的に業務を行うことができる施設」を有する場所で、宅地建物取引業に係る「契約を締結する権限を有する使用人」を置く場所(施行令第1条の2第2号)。
「継続的に業務を行うことができる施設」とは、固定的な施設であり、テント張りの施設や仮設小屋は含まれない。
「契約を締結する権限を有する使用人」とは、宅地建物取引主任者を指すものではなく、支店長・支配人などのように営業に関して一定範囲の代理権を持つ者を指している(ただし支店長等が同時に宅地建物取引主任者である場合がある)。
また「置く」とは常勤の使用人を置くという意味である。
以上の(1)と(2)の場所をあわせて、宅地建物取引業法では「事務所」と呼んでいる。
従って、会社の登記(商業登記簿)では支店として登記されていなくても、継続的に業務を行うことができる施設に、宅地建物取引業に係る支店長や支配人を置いていれば、その施設は「事務所」とみなされることになる。
なお、宅地建物取引業法ではよく似た概念として「事務所等」「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」「標識を掲示すべき場所」「クーリングオフが適用されない場所」を定めているので、それぞれの違いに注意したい。
事務所
宅地建物取引業法第3条第1項で規定する場所のこと(法第3条第1項、施行令第1条の2)。
具体的には次の2種類の場所が「事務所」に該当する。(以下の文章は国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方にもとづいている)
(1)本店または支店(施行令第1条の2第1号)
商業登記簿等に記載されており、継続的に宅地建物取引業の営業の拠点となる実体を備えているものを指す。
ただし宅地建物取引業を営まない支店は「事務所」から除外される。
また本店は、支店の業務を統括する立場にあるため、本店が宅地建物取引業を直接営んでいない場合であっても、その本店は「事務所」に該当するものとされる。
(2)上記(1)以外で「継続的に業務を行うことができる施設」を有する場所で、宅地建物取引業に係る「契約を締結する権限を有する使用人」を置く場所(施行令第1条の2第2号)。
「継続的に業務を行うことができる施設」とは、固定的な施設であり、テント張りの施設や仮設小屋は含まれない。
「契約を締結する権限を有する使用人」とは、宅地建物取引主任者を指すものではなく、支店長・支配人などのように営業に関して一定範囲の代理権を持つ者を指している(ただし支店長等が同時に宅地建物取引主任者である場合がある)。
また「置く」とは常勤の使用人を置くという意味である。
以上の(1)と(2)の場所をあわせて、宅地建物取引業法では「事務所」と呼んでいる。
従って、会社の登記(商業登記簿)では支店として登記されていなくても、継続的に業務を行うことができる施設に、宅地建物取引業に係る支店長や支配人を置いていれば、その施設は「事務所」とみなされることになる。
なお、宅地建物取引業法ではよく似た概念として「事務所等」「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」「標識を掲示すべき場所」「クーリングオフが適用されない場所」を定めているので、それぞれの違いに注意したい。
役員(免許の基準における〜)
宅地建物取引業法第5条第1項(免許の基準)では、その事由に該当した場合には宅地建物取引業の免許を与えることができない事由を列挙している。これらの欠格事由における役員とは次の1および2の者を指しており、実質的に支配力を有する者を含む幅広い概念である。
1:業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者
2:相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者
このように、名称の如何を問わず、宅地建物取引業を営む法人または個人に対して、実質的に支配力を有する者を、宅地建物取引業法第5条第1項(免許の基準)では「役員」と呼んでいる。
なお上記2の「同等以上の支配力」の認定に際しては、「名刺、案内状等に会長、相談役等の役職名を使用しているか否かが一つの基準となる」と説明されている(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方「第5条第1項関係」より)。