
健康被害が生ずる恐れのある土地の調査
けんこうひがいがしょうずるおそれのあるとちのちょうさ
土壌汚染対策法第3条および第4条では、特定有害物質による健康被害を防止するために、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
このうち同法第4条では、特定有害物質による土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合には、土地所有者等に対し、土壌汚染状況調査を実施することを知事が命令することができると定めている。これを健康被害が生ずる恐れのある土地の調査という(同法第4条第1項)。
ここで重要なのは「土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合」とは具体的にどのような場合を指すのか、ということである。
この点については、同法施行令第3条第1号のイ・ロ・ハにおいて、次のような場合が「知事が認めた場合」に該当すると規定している。(注:平成15年2月4日付環境省環境管理局水資源部長通達「土壌汚染対策法の施行について」を参考とした)
1)土壌汚染が明らかになっている土地であって、現に地下水の水質汚濁が生じているもの。
=これは「使用が廃止された有害物質使用特定施設の敷地等であって、土壌汚染が既に判明して都道府県に報告された土地であり、知事が毎年実施する地下水モニタリングによって地下水汚染が判明しているもの」を基本的に指している。(施行令第3条第1号イ)
2)土壌汚染が明らかになっている土地であって、地下水の水質汚濁が生じることが確実であるもの。
=これは「使用が廃止された有害物質使用特定施設の敷地等であって、土壌汚染が既に判明して都道府県に報告された土地であって、地下水モニタリング(測定回数3回以上かつ2年以上のモニタリング)によって濃度レベルが増加を続けており、次回のモニタリングでは法定基準に適合しなくなると認められるもの」を指している。(第1号イ)
3)土壌汚染のおそれのある土地であって、現に地下水の水質汚濁が生じているもの。
=これは「地下水モニタリングにもとづき、地下水の流動の状況や土地の履歴(有害物質使用特定施設の敷地であること等)を考慮して、地下水汚染の原因と推定される土壌汚染が存在する可能性が高い土地」を基本的に指している。(第1号ロ)
4)土壌汚染の恐れのある土地であって、かつ当該土地が人が立ち入ることができる土地であること。
=上記1)・2)・3)が地下水の観点からの汚染であるのに対して、この4)は関係者以外の人が当該土地に立ち入ることにより直接的に特定有害物質にさらされる危険があるケースを指している(第1号ハ)。
以上の1)から4)のいずれかに該当すれば、「土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合」にあてはまるので、知事は土壌汚染状況調査を実施することを命令することができる。
ただし実際には、地下水モニタリングの実施地点は全国1万2千ヵ所に過ぎないので、地下水モニタリングを端緒として知事が土壌汚染状況調査を命令するケースはまれであると予想される。
なお、上記の1)、2)、3)に該当する土地であっても、汚染された地下水が人の飲用利用に供される可能性がない場合には、知事が土壌汚染状況調査を命令することはできない(土壌汚染対策法施行令第3条、同施行規則第17条)。
また、土壌汚染対策法第3条第1項の「有害物質使用特定施設に係る土地の調査」が行なわれるべきであるにかかわらず、土地所有者等が調査を実施しない場合には、知事は調査を命令することができる(同法第4条第1項)。
土壌汚染対策法
有害物質による市街地の土壌汚染の状況を調査し、土壌汚染による健康被害を未然に防止するために制定された法律。平成15年2月15日より施行されている。
市街地の土壌汚染に関して、国は平成11年に環境基本法に基づく「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」を定めている。また地下水経由の土壌汚染については水質汚濁防止法で規制し、ダイオキシン類による土壌汚染についてはダイオキシン類対策特別措置法が大きな役割をになっている。しかしながら、市街地の土壌汚染について包括的な規制を加えたのは、この土壌汚染対策法が初めてである。
土壌汚染対策法の概要は次のとおりである。
1)用語の定義
25種類の物質を特定有害物質と定義する。またそれらの物質を使用等する施設を、有害物質使用特定施設と定義する。
2)土壌汚染状況調査の義務付け
次の2つの場合に土地所有者等に対して土壌汚染状況調査を実施することを義務付ける。
ア:有害物質使用特定施設に係る土地の調査
有害物質使用特定施設の使用を廃止した場合には、土地所有者等は使用廃止から120日以内に土壌汚染状況調査の結果を知事に報告しなければならない。これは特定有害物質を取り扱う施設が廃止された機会をとらえて、その機会においてのみ特定有害物質の土壌中の濃度を調査するという制度である。
イ:健康被害が生ずる恐れのある土地の調査
土壌汚染により人の健康に被害が生じる恐れがあるときや、土地所有者等が上記アの調査を実施する義務を怠ったときは、知事は土地所有者等に対して土壌汚染の状況を調査するよう命令することができる。
3)汚染が判明した土地に対する措置
土壌汚染状況調査の結果、汚染状態が法定基準に適合しない場合には、その汚染された土地の区域は知事によって汚染土地の指定を受け、都道府県または市町村の公報に掲載される。さらに汚染土地の指定を受けた土地は汚染土地の指定区域台帳に登載される。知事はこのような汚染土地に対して土壌汚染の除去等の措置を命令する場合がある。
このように汚染が判明した土地については厳しい措置が予定されているが、土壌汚染状況調査はあくまでも有害物質使用特定施設が廃止された時点においてのみ実施される調査(上記ア)が原則であり、それ以外の調査(上記イ)はきわめて稀な例外にすぎない。
また上記アの調査自体も実質的に免除される措置が複数設けられている(詳しくは土壌汚染状況調査に代わる知事の確認、土壌汚染状況調査の一部免除へ)。
なお土壌汚染対策法について、環境省は当初は少なくとも10年間は見直さない予定であったが、国会審議により「10年以内であっても適宜見直す」旨が付帯決議として決議されている。
特定有害物質
土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された25種類の物質のこと。
なお、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法において土壌汚染対策が定められているので、土壌汚染対策法の特定有害物質からは除外されている。
土壌汚染対策法では、特定有害物質を使用する特定の施設(「有害物質使用特定施設」という)の使用を廃止したとき、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
特定有害物質はその性質により次の3種類に区分されている。
1)トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの11種類の揮発性有機化合物(詳しくは第1種特定有害物質へ)
2)鉛、砒素などの9種類の重金属等(詳しくは第2種特定有害物質へ)
3)有機リン化合物などの5種類の農薬等(詳しくは第3種特定有害物質へ)
土壌汚染状況調査
土壌汚染対策法第3条および第4条によって土地所有者等に義務付けられている土壌汚染状況の調査のこと。
土壌汚染対策法では、揮発性有機化合物等の特定有害物質による汚染状況を把握し、健康被害を防止するために、次の2つの場合において土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
1)有害物質使用特定施設の使用が廃止されたとき、その施設を設置していた工場・事業場の敷地であった土地について、土地所有者等は土壌汚染状況調査を実施しなければならない。これを有害物質使用特定施設に係る土地の調査という(同法第3条第1項)。ただし土壌汚染状況調査に代わる知事の確認を受けた場合には調査を実施しなくてよい(同法第3条第1項但書)。
2)都道府県知事は、上記1)以外の場合であっても、特定有害物質による土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがある場合には、土地所有者等に対し、土壌汚染状況調査を実施することを命令することができる。これを健康被害が生ずる恐れのある土地の調査という(同法第4条第1項)。
なお土壌汚染状況調査の方法は同法施行規則により詳細に法定されている。
上記1)および2)のどちらについても施行規則で定める方法により土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている(同法施行規則第3条〜第5条)。
健康被害が生ずる恐れのある土地の調査
土壌汚染対策法第3条および第4条では、特定有害物質による健康被害を防止するために、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
このうち同法第4条では、特定有害物質による土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合には、土地所有者等に対し、土壌汚染状況調査を実施することを知事が命令することができると定めている。これを健康被害が生ずる恐れのある土地の調査という(同法第4条第1項)。
ここで重要なのは「土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合」とは具体的にどのような場合を指すのか、ということである。
この点については、同法施行令第3条第1号のイ・ロ・ハにおいて、次のような場合が「知事が認めた場合」に該当すると規定している。(注:平成15年2月4日付環境省環境管理局水資源部長通達「土壌汚染対策法の施行について」を参考とした)
1)土壌汚染が明らかになっている土地であって、現に地下水の水質汚濁が生じているもの。
=これは「使用が廃止された有害物質使用特定施設の敷地等であって、土壌汚染が既に判明して都道府県に報告された土地であり、知事が毎年実施する地下水モニタリングによって地下水汚染が判明しているもの」を基本的に指している。(施行令第3条第1号イ)
2)土壌汚染が明らかになっている土地であって、地下水の水質汚濁が生じることが確実であるもの。
=これは「使用が廃止された有害物質使用特定施設の敷地等であって、土壌汚染が既に判明して都道府県に報告された土地であって、地下水モニタリング(測定回数3回以上かつ2年以上のモニタリング)によって濃度レベルが増加を続けており、次回のモニタリングでは法定基準に適合しなくなると認められるもの」を指している。(第1号イ)
3)土壌汚染のおそれのある土地であって、現に地下水の水質汚濁が生じているもの。
=これは「地下水モニタリングにもとづき、地下水の流動の状況や土地の履歴(有害物質使用特定施設の敷地であること等)を考慮して、地下水汚染の原因と推定される土壌汚染が存在する可能性が高い土地」を基本的に指している。(第1号ロ)
4)土壌汚染の恐れのある土地であって、かつ当該土地が人が立ち入ることができる土地であること。
=上記1)・2)・3)が地下水の観点からの汚染であるのに対して、この4)は関係者以外の人が当該土地に立ち入ることにより直接的に特定有害物質にさらされる危険があるケースを指している(第1号ハ)。
以上の1)から4)のいずれかに該当すれば、「土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合」にあてはまるので、知事は土壌汚染状況調査を実施することを命令することができる。
ただし実際には、地下水モニタリングの実施地点は全国1万2千ヵ所に過ぎないので、地下水モニタリングを端緒として知事が土壌汚染状況調査を命令するケースはまれであると予想される。
なお、上記の1)、2)、3)に該当する土地であっても、汚染された地下水が人の飲用利用に供される可能性がない場合には、知事が土壌汚染状況調査を命令することはできない(土壌汚染対策法施行令第3条、同施行規則第17条)。
また、土壌汚染対策法第3条第1項の「有害物質使用特定施設に係る土地の調査」が行なわれるべきであるにかかわらず、土地所有者等が調査を実施しない場合には、知事は調査を命令することができる(同法第4条第1項)。
地下水モニタリング(水質汚濁防止法の〜)
平成元年度に改正された水質汚濁防止法の第15条の規定により、全国の約1万2千の井戸について都道府県知事が毎年度実施している地下水質の測定調査のこと。
この地下水モニタリングは、土壌汚染対策法第4条に定める土壌汚染状況調査を実施する対象となる土地を確定する上で重要な役割を担っている。(詳しくは「健康被害が生ずる恐れのある土地の調査」)
この水質汚濁防止法の地下水モニタリングは、次の3種類の調査方法によって実施され、その結果が毎年公表されている。
ア)概況調査
各地域の地下水質の状況を把握するための井戸の水質の調査のこと。原則として前年度の対象井戸とは異なる井戸を調査する。平成13年度では約4,700の井戸で実施された。
イ)汚染井戸周辺地区調査
概況調査等によって発見された地下水汚染がある場合に、その汚染範囲の拡大・縮小を確認するために行なわれる調査。平成13年度では約2,600の井戸で実施された。
ウ)定期モニタリング調査
汚染井戸周辺地区調査により水質汚染が確認された井戸に関して、汚染を継続的に監視するために行う水質の調査。平成13年度では約4,900の井戸で実施された。
有害物質使用特定施設に係る土地の調査
土壌汚染対策法第3条および第4条では、特定有害物質による健康被害を防止するために、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
このうち同法第3条では、有害物質使用特定施設の使用が廃止されたとき、その施設を設置していた工場・事業場の敷地であった土地について、土地所有者等は土壌汚染状況調査を実施しなければならないと規定している。これを「有害物質使用特定施設に係る土地の調査」という(同法第3条第1項)。
「有害物質使用特定施設に係る土地の調査」は、工場・事業場が特定有害物質を使用等する施設を使用しなくなった機会をとらえて、この機会において特定有害物質が土壌に含まれていないかどうかを調査するものである。
この調査を実施する義務を負う主体は土地所有者等であり、調査に当たっては土壌汚染調査機関が調査を行なう必要がある。また特定有害物質がゼロまたは法定基準に満たない濃度であったとしても、知事に対して土壌汚染状況調査結果報告書を提出する義務がある(同法第3条第3項)。
なお土壌汚染状況調査に代わる知事の確認を受けた場合にはこの調査を実施しなくてよい(同法第3条第1項但書)。また敷地面積300平方メートル以下の工場・事業場については土壌汚染状況調査の一部免除という措置が設けられている。