総合設計制度
そうごうせっけいせいど
建築物の敷地に「公開空地」(一般公衆が自由に出入りできる空地)を設ける開発者に対して、特定行政庁の許可により容積率等を緩和するという制度である。
正式名称は「敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例」である(建築基準法第59条の2)。
総合設計制度とは、建築物の敷地に一定以上の広さの「公開空地」を設ける場合において、容積率および各種の高さ制限(道路高さ制限・隣地高さ制限・北側高さ制限・絶対高さの制限)が特定行政庁の許可の範囲内において緩和されるという制度である。
容積率および各種の高さ制限を緩和するためには、特定行政庁が建築審査会の同意を得て、許可をすることが必要とされている(建築基準法第59条の2)。
特定行政庁が許可を与える基準や、容積率および各種の高さ制限を緩和する範囲については、各地方自治体が「総合設計制度許可要綱」を制定し、自治体ごとに独自の判断基準が設けられている。
また国では、自治体の総合設計制度許可要綱について一定のガイドラインを設けている(昭和61年12月27日付建設省住街発第94号、平成7年7月17日付建設省住街発第72号、平成9年6月13日付建設省住街発第75号)
なお建築基準法では、特定行政庁の許可を受けるためには、公開空地の面積を都市計画で定められた建ぺい率による空地面積と同じかそれ以上としなければならないと規定し、また敷地面積の最低基準も定めている(建築基準法施行令第136条第1項・第3項)。
公開空地
昭和46年に創設された総合設計制度にもとづいて、ビルやマンションの敷地にもうけられた一般公衆が自由に出入りできる空間のことを「公開空地」と呼ぶ。
総合設計制度は、正式には「敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例」という名称である(建築基準法第59条の2)。これは、建築物の敷地内に一定以上の公開空地を有する等の条件を満たす建築物について、容積率や各種の高さ制限を特定行政庁が緩和するという制度である。
言い換えれば、容積率等をボーナスとして与えることにより、開発者に公開空地を作るように促すという制度であると言うことができる。
この総合設計制度により作られた公開空地は一般公衆が自由に通行できる空間でなければならず、通路や植栽を整備した快適な空間とすることが多い。
容積率
延べ面積を敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。
建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。
道路高さ制限
建築基準法によれば、建物の各部分の高さは、その部分から前面道路までの距離が長いほど高くすることができる。これを道路高さ制限と呼んでいる(建築基準法56条)。
中層以上の建築物で道路に面した壁の一部が、垂直でなく、斜面になっていることがあるのは、道路高さ制限を守るために、そのような形に設計したものである。
道路高さ制限の具体的な内容は、建築基準法56条と建築基準法別表第3で細かく規定されている。概要は次の通りである。
1)建物の各部分の高さの限度は、「前面道路の幅」と「その部分から道路までの距離」との合計の1.25倍または1.5倍である。(住居系の用途地域(7種類)では1.25倍、それ以外の用途地域では1.5倍である)
2)上記1の建物の各部分の高さの限度は、前面道路とその向かいの敷地との境界線から一定の距離以上離れた建物の部分には適用されない。この道路高さ制限の適用を免除される距離は、建築基準法56条と建築基準法別表第3で細かく規程されている。
一例を挙げると、第2種中高層住居専用地域で容積率が150%であるときは、この道路高さ制限の適用を免除される距離は20メートルと規定されている。従ってこのときは、前面道路と向かいの敷地との境界線から20メートル以上離れた地点では、道路高さ制限は適用されず、建物の高さを自由に高くしてよいということになる。
隣地高さ制限
「建物の各部分の高さは、その部分から隣地境界線までの距離が長いほど高くすることができる」という規制である。
隣地高さ制限が適用されるのは、第1種低層住居専用地域および第2種低層住居専用地域を除く10種類の用途地域である(第1種低層住居専用地域および第2種低層住居専用地域には、隣地高さ制限が適用されない代わりに、絶対高さの制限が適用される)。
隣地高さ制限は建築基準法56条と同法別表第3で詳しく規定されている。
ただし隣地高さ制限による高さの限度は、最も厳しい場合でも20メートルとされている。従って、一般住宅や低層・中層の共同住宅を建築する場合には、隣地高さ制限は実質的に関係がないものと考えてよい。
北側高さ制限
次のような高さの規制のことである。
a)自分の敷地の北側に隣の敷地がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、その部分から隣地境界線までの距離が長いほど高くすることができる。
b)自分の敷地の北側に道路がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、北側道路と向かいの敷地との道路境界線からその部分までの距離が長いほど高くすることができる。
北側高さ制限は住居系の4つの用途地域(第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域)に適用される。
北側高さ制限は建築基準法56条と同法別表第3で詳しく規定されているが、その具体的な内容は、次の1・2のとおりである。
1)第1種低層住居専用地域および第2種低層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+5メートル
2)第1種中高層住居専用地域および第2種中高層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+10メートル
※自分の敷地の北側に道路がある場合は、上記1)・2)の「隣地境界線」を「北側道路と向かいの敷地との道路境界線」と読み替えること。
絶対高さの制限
第1種・第2種低層住居専用地域では、住環境をよくするために、建築物の高さが10メートルまたは12メートル以下に制限されている。これを「絶対高さの制限」と呼んでいる(建築基準法55条)。
この絶対高さの制限が「10メートル以下」と「12メートル以下」とのどちらになるかは、都市計画で規定される。
なおこの絶対高さの制限には例外がある。建築審査会が同意して特定行政庁が許可した場合には、絶対高さの制限を上回る高さの建築物を建築することができる。
特定行政庁
「知事」や「市長」などのことである。
法律上の定義(建築基準法2条36号)によれば、建築主事を置いている市町村では、その市町村長のことを「特定行政庁」と言い、建築主事を置いていない市町村では、その市町村が属する都道府県の知事が「特定行政庁」となると定められている。
従って、原則的には人口が25万人以上の市では、市長が特定行政庁であり、それよりも小さな規模の自治体では知事が特定行政庁であると言ってよい。
建ぺい率
建築面積を敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。
建築する建物の建ぺい率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。