不動産用語集|R.E.Words by(株)不動産流通研究所

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最終更新日:2017/12/8

土壌汚染状況調査の実施主体

どじょうおせんじょうきょうちょうさのじっししゅたい

土壌汚染対策法第3条および第4条では、一定の場合に、土地所有者等に土壌汚染状況調査を実施することを義務付けている。
ここでいう土地所有者等とは、調査義務が発生した時点において土地を所有している者(または借地人など)を指している。土壌汚染対策法では、土壌汚染状況調査を実施するには、敷地への立入りや掘削が不可欠であるので、土地を使用する権限を持つ所有者・借地人が調査を実施するよう義務付けているということができる(注:平成15年2月4日付環境省環境管理局水資源部長通達「土壌汚染対策法の施行について」参考)。

なお、ほかの土地で発生した汚染が地下水を経由して自分の土地で土壌汚染を引き起こした場合であっても、自分の土地について調査を実施するためには自分で費用を負担しなければならない。

なお、土壌汚染対策法第4条の調査(健康被害が生ずる恐れのある土地の調査)に関しては、調査を命令すべき者を確定することができない場合(これは所有権の帰属に争いがある等の特殊な状況を指す)で、かつ調査を行なわないで放置することが著しく公益に反する場合には、その土地所有者等に費用を負担させて、知事がその土地所有者等に代わって調査を行なうことができるという規定がある(土壌汚染対策法第4条第2項)。

-- 本文のリンク用語の解説 --

土壌汚染対策法

有害物質による市街地の土壌汚染の状況を調査し、土壌汚染による健康被害を未然に防止するために制定された法律。2003(平成15)年2月15日より施行されている。

市街地の土壌汚染に関して、国は1999(平成11)年に環境基本法にもとづく「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」を定めている。また、地下水経由の土壌汚染については水質汚濁防止法で規制し、ダイオキシン類による土壌汚染についてはダイオキシン類対策特別措置法が大きな役割をになっている。しかしながら、市街地の土壌汚染について包括的な規制を加えたのは、この土壌汚染対策法が初めてである。

土壌汚染対策法の概要は次のとおりである。

1.用語の定義
25種類の物質を特定有害物質と定義する。またそれらの物質を使用等する施設を、有害物質使用特定施設と定義する。 2.土壌汚染状況調査の義務付け
次の2つの場合に土地所有者等に対して土壌汚染状況調査を実施することを義務付ける。
1)有害物質使用特定施設に係る土地の調査
有害物質使用特定施設の使用を廃止した場合には、土地所有者等は使用廃止から120日以内に土壌汚染状況調査の結果を知事に報告しなければならない。これは特定有害物質を取り扱う施設が廃止された機会をとらえて、その機会においてのみ特定有害物質の土壌中の濃度を調査するという制度である。
2)健康被害が生ずる恐れのある土地の調査
土壌汚染により人の健康に被害が生じる恐れがあるときや、土地所有者等が上記1)の調査を実施する義務を怠ったときは、知事は土地所有者等に対して土壌汚染の状況を調査するよう命令することができる。 3.汚染が判明した土地に対する措置
土壌汚染状況調査の結果、汚染状態が法定基準に適合しない場合には、その汚染された土地の区域は知事によって汚染土地の指定を受け、都道府県または市町村の公報に掲載される。さらに汚染土地の指定を受けた土地は汚染土地の指定区域台帳に登載される。知事はこのような汚染土地に対して土壌汚染の除去等の措置を命令する場合がある。

このように汚染が判明した土地については厳しい措置が予定されているが、土壌汚染状況調査はあくまでも有害物質使用特定施設が廃止された時点においてのみ実施される調査(上記1))が原則であり、それ以外の調査(上記2))は極めて稀な例外に過ぎない。

また、上記1)の調査自体も実質的に免除される措置が複数設けられている(詳しくは土壌汚染状況調査に代わる知事の確認、土壌汚染状況調査の一部免除へ)。

なお土壌汚染対策法について、環境省は当初は少なくとも10年間は見直さない予定であったが、国会審議により「10年以内であっても適宜見直す」旨が付帯決議として決議されている。

土壌汚染状況調査

土壌汚染対策法第3条および第4条によって土地所有者等に義務付けられている土壌汚染状況の調査のこと。

土壌汚染対策法では、揮発性有機化合物等の特定有害物質による汚染状況を把握し、健康被害を防止するために、次の2つの場合において土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。 1.有害物質使用特定施設の使用が廃止されたとき、その施設を設置していた工場・事業場の敷地であった土地について、土地所有者等は土壌汚染状況調査を実施しなければならない。これを有害物質使用特定施設に係る土地の調査という(同法第3条第1項)。ただし土壌汚染状況調査に代わる知事の確認を受けた場合には調査を実施しなくてよい(同法第3条第1項但書)。 2.都道府県知事は、上記1.以外の場合であっても、特定有害物質による土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがある場合には、土地所有者等に対し、土壌汚染状況調査を実施することを命令することができる。これを健康被害が生ずる恐れのある土地の調査という(同法第4条第1項)。

なお、土壌汚染状況調査の方法は同法施行規則により詳細に法定されている。
上記1.および2.のどちらについても施行規則で定める方法により土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている(同法施行規則第3〜5条)。

敷地

建築物のある土地のことを「敷地」という。 なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。
例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。 ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。 1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可)
2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。
3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。
4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。

健康被害が生ずる恐れのある土地の調査

土壌汚染対策法第3条および第4条では、特定有害物質による健康被害を防止するために、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。
このうち同法第4条では、特定有害物質による土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合には、土地所有者等に対し、土壌汚染状況調査を実施することを知事が命令することができると定めている。これを健康被害が生ずる恐れのある土地の調査という(同法第4条第1項)。 ここで重要なのは、「土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合」とは具体的にどのような場合を指すのか、ということである。
この点については、同法施行令第3条第1号のイ・ロ・ハにおいて、次のような場合が「知事が認めた場合」に該当すると規定している(注:平成15年2月4日付環境省環境管理局水資源部長通達「土壌汚染対策法の施行について」を参考とした)。

1.土壌汚染が明らかになっている土地であって、現に地下水の水質汚濁が生じているもの。
=これは「使用が廃止された有害物質使用特定施設の敷地等であって、土壌汚染が既に判明して都道府県に報告された土地であり、知事が毎年実施する地下水モニタリングによって地下水汚染が判明しているもの」を基本的に指している(施行令第3条第1号イ)。

2.土壌汚染が明らかになっている土地であって、地下水の水質汚濁が生じることが確実であるもの。
=これは「使用が廃止された有害物質使用特定施設の敷地等であって、土壌汚染が既に判明して都道府県に報告された土地であって、地下水モニタリング(測定回数3回以上かつ2年以上のモニタリング)によって濃度レベルが増加を続けており、次回のモニタリングでは法定基準に適合しなくなると認められるもの」を指している(第1号イ)。

3.土壌汚染の恐れのある土地であって、現に地下水の水質汚濁が生じているもの。
=これは「地下水モニタリングに基づき、地下水の流動の状況や土地の履歴(有害物質使用特定施設の敷地であること等)を考慮して、地下水汚染の原因と推定される土壌汚染が存在する可能性が高い土地」を基本的に指している(第1号ロ)。

4.土壌汚染の恐れのある土地であって、かつ当該土地が人が立ち入ることができる土地であること。
=上記1.2.3.が地下水の観点からの汚染であるのに対して、この4.は関係者以外の人が当該土地に立ち入ることにより直接的に特定有害物質にさらされる危険があるケースを指している(第1号ハ)。

以上の1.から4.のいずれかに該当すれば、「土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると知事が認めた場合」にあてはまるので、知事は土壌汚染状況調査を実施することを命令することができる。 ただし実際には、地下水モニタリングの実施地点は全国1万2,000ヵ所に過ぎないので、地下水モニタリングを端緒として知事が土壌汚染状況調査を命令するケースはまれであると予想される。
なお、上記の1.2.3.に該当する土地であっても、汚染された地下水が人の飲用利用に供される可能性がない場合には、知事が土壌汚染状況調査を命令することはできない(土壌汚染対策法施行令第3条、同施行規則第17条)。

また、土壌汚染対策法第3条第1項の「有害物質使用特定施設に係る土地の調査」が行なわれるべきであるにかかわらず、土地所有者等が調査を実施しない場合には、知事は調査を命令することができる(同法第4条第1項)。

所有権

法令の制限内で自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利をいう。 物を全面的に、排他的に支配する権利であって、時効により消滅することはない。その円満な行使が妨げられたときには、返還、妨害排除、妨害予防などの請求をすることができる。
近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。

土地所有権は、法令の制限内においてその上下に及ぶとされている。その一方で、隣接する土地との関係により権利が制限・拡張されることがあり、また、都市計画などの公共の必要による制限を受ける。さらには、私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることが認められており(土地収用はその例である)、これも所有権に対する制約の一つである。