このページを印刷する

最終更新日:2023/9/7

特定盛土等規制区域

とくていもりどとうきせいくいき

土地の傾斜度、渓流の位置、土地利用の状況などから、盛り土等・土石の堆積によって居住者等の生命身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められるとして指定された区域。ただし、宅地造成等工事規制区域を除く。「宅地造成及び特定盛土等規制法」に基づき、都道府県知事が指定する。

指定されるのは、土石流等によって居住者等の生命身体に危害を生ずるおそれの特に高い区域であって、盛土等が行なわれている状況、今後の盛土等が行なわれる可能性、盛土等に伴う災害の発生状況等を踏まえ、盛土等に伴う災害が発生する蓋然性があると判断される区域である。

特定盛土等規制区域内で行なう盛り土等・土石の堆積に対しては、次のような規制が適用される。

ア)一定の盛土等・土石の堆積に関する工事について、着手する30日前までに都道府県知事に届け出なければならない。

イ)次の行為を伴うときには、工事に着手する前に都道府県知事の許可を得なければならない。

(1)土地の形質の変更

i)盛り土・切り土によって一定の高さを超える崖を生じるもの

ii)盛り土・切り土する土地の面積が一定値を超えるもの

iii)高さが一定値を超える盛土

(2)土石の一時堆積(一定期間経過後に搬出することを前提とした堆積)

i)堆積する土地の面積が一定値を超えるもの

ii)堆積高が一定値を超えるもの

ウ)工事の許可を得るためには、工事が、地盤の安定性確保、盛土等の形状、擁壁の設置、排水施設の設置、崖面等の侵食防止に関する技術基準に適合すること、工事を完成するために必要な能力があることなどの要件を満たさなければならない。

エ)許可された工事について、施工状況を定期的に報告し、一定の工事について施工中に中間検査を受け、工事完了時に完了検査を受けなければならない。

オ)区域内の土地については、土地所有者等は、盛土等・土石の堆積に伴い災害が生じないよう安全な状態に維持する責務がある。また、災害防止のため必要なときは、土地所有者等のほか、原因行為者に対しても是正措置等が命じられる。

-- 本文のリンク用語の解説 --

盛り土

傾斜のある土地を平らな土地にするために、土砂を盛ること。宅地造成のための工法として広く使われている。これに対し、土砂を切り取ることを「切り土」という。

盛り土は、土砂を積み上げただけでは、地盤沈下、地震時の滑動崩落(地滑り的変動)や液状化、大雨による崩落や土砂流出などが起きやすい。転圧や地盤改良工事によって、これらを防ぐ必要がある。特に、大規模盛土造成地については、変動予測調査を実施し、危険箇所の滑動崩落防止工事を進めていくことが重要である。

宅地造成工事規制区域内の土地において、i)高さ1mを超える崖を生じる盛り土、ii)高さ2mを超える崖を生じる切り土、iii)盛り土と切り土をあわせて高さ2mを超える崖を生じる造成工事、iv)面積500平方メートルを超える盛り土・切り土を同時にする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受ける必要がある(宅地造成等規制法第12条1項・同施行令5条)。ただし、都市計画法による開発許可を受けて工事する場合は、改めて宅地造成等規制法の許可を得る必要はない。

切り土

傾斜のある土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。

宅地造成工事規制区域の中にある宅地において、高さが2mを超える崖を生じるような切り土をする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受けることが必要である(宅地造成等規制法第12条1項)。

擁壁

崖を覆う人工の壁のこと。土圧を受け止め、土の崩壊を防止する設備である。主に、敷地と道路に高低差がある場合や、敷地の背後に崖がある場合に設置される。

擁壁は、単に崖を補強するものではなく、土砂の崩壊を防止することが重要な役割である。過大な基礎圧力、水位の上昇等が加わったときに、転倒・滑動せず、安定性を保つ性能を備えていなければならない。

擁壁の種類は、構造によって、重力式擁壁、半重力式擁壁、片持ち梁式擁壁、控え壁式擁壁、支え壁式擁壁、石積・ブロック積擁壁などに分類できる。

なお、建築基準によって、高さが2mを超える擁壁を造る場合には、建築主事の建築確認を受ける必要がある(建築基準法第88条1項・同施行令第138条1項5号)。