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最終更新日:2023/9/29

不動産投資

ふどうさんとうし

資金を不動産(土地・建物)の購入・賃貸に充てて運用し、収益を得ることをいう。運用益は、不動産価格の上昇益(キャピタルゲイン)または賃貸料収入(インカムゲイン)として得ることになる。

不動産投資は、自らが不動産を購入・賃貸する方法によるほか、不動産投資信託REIT)のように投資の判断・運用を専門家に委ねる方法もある。

専門家が投資を判断・運用する方法による場合には、投資家は、あたかも株式を売買するように、不動産を証券化した金融商品を売買するかたちで投資するのが一般的である。

投資は一般に、高利回りの投資は大きなリスクを伴い(ハイリスク・ハイリターン)、リスクが小さい投資は利回りが低い(ローリスク・ローリターン)とされている。

-- 本文のリンク用語の解説 --

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

建物

民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。 具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。

キャピタルゲイン(Capital Gain)

資産の価格変動に伴って得る利益をいう。 株式や不動産などの売買差益はこれに当たる。

資産から得られる利益の種類で、その保有により得る利益をインカムゲイン、その価格変動に伴って得る利益をキャピタルゲイン(損失はキャピタルロス)という。株式の配当、不動産の賃料、預金の利子などはインカムゲイン、株式や不動産などの売買差益はキャピタルゲイン(譲渡益、資本利得ともいう)である。

両者は税務上の取扱いなどが異なるため、投資に当たっても両者の性格の違いを十分に認識しておくことが重要である。
もっとも、両者は無関係ではなく、資産の価格はそれから得ることのできる利益を現在価格に還元したものの総額に等しいとされているため、例えばインカムゲインが増大すれば資産価格が上昇して、キャピタルゲインを得る機会となる。ただし、資産価格は期待や予想に左右されやすいことに注意が必要である。

インカムゲイン

資産の保有によって得る利益。英語のincome gain。不動産の賃料、株式の配当、預金の利子などがこれに該当する。 不動産のインカムゲインは、賃料収入から保有・管理費用を減じた価額である。 インカムゲインに対して、資産価額の変動によって得る利益を「キャピタルゲイン」と言い、例えば、不動産の売却益がこれに該当する。

不動産投資信託

投資信託のうち、不動産を運用の対象とするものをいう。 アメリカではREIT(Real Estate Investment Trust)、日本ではその日本版という意味でJREITと称される。

不動産投資信託は、不動産の証券化手法の一つであり、その仕組みとして、 1.資金を信託したうえでその資金を不動産投資として運用する方法(契約型) 2.投資家が特定の法人を設立して不動産投資を行なう方法(会社型) とがある。実際に日本で行なわれている不動産投資信託の大部分は会社型であり、その担い手を投資法人と呼ぶ。

投資信託によって得る利益の原資は、投資対象となる不動産の賃料等から得られる収益である。また、不動産の証券化に当たっては、倒産隔離、導管体機能などを確保することが必要となるが、投資信託は、制度的にこれらの要請を満たしている。

不動産投資信託は、日本では2000(平成12)年に解禁された。また、会社型の不動産投資信託は証券取引所に上場することができるとされ(銘柄は投資法人、上場して取引されるのは投資口である)、初めて上場したのは2001(平成13)年9月10日である。

REIT

不動産投資信託のこと。「Real Estate Investment Trust」の頭文字を並べて「REIT」(リート)と呼ばれている。

不動産投資信託(リート)は、もともと1960年にアメリカで生まれた金融商品であるが、1990年代のアメリカで人気商品となり、2001年(平成13年)から日本でも発売されている。(詳しくは不動産投資信託へ)

投資

金銭を金融商品等に変換し、あるいは事業に充当して利益を得る行為。株式、債券、不動産などを取得して配当等を受け取る方法、それらを売買して差額を得る方法、事業に出資する方法などがある。

例えば、「株式投資」または「不動産投資」は株式または不動産を金銭運用の対象とする投資、「投資信託」は投資利益を証券化した金融商品で信託のしくみを使うもの、「投資ファンド」は共同で投資するために集めた資金のことである。

投資は、費用とリスクを伴う。不動産投資を例にすれば、取引に伴って税(取引の内容に応じて、不動産取得税、印紙税、譲渡所得税、固定資産税など)や手数料を負担する必要があるほか、不動産価格の変動などによって賃貸料の減少や売却損が生じる恐れがある。

なお、経済学でも「投資」という用語を使うが、その意味は、一般的な意味とはまったく違うので注意が必要である。経済学でいう「投資」は、「消費」と対比した用語で、一定期間における実物資産の増加分(使われないで次の期に積み上がる資産)をいう。この場合、「投資」は事後的に「貯蓄」と等しくなる。

証券化(不動産の証券化)

不動産を流動化する手法の一つで、不動産をSPC等に譲渡し、または信託して、その不動産から得られるであろう収益を裏付けに、有価証券を発行する方法をいう。 証券化によって、不動産の価値が金融商品として取引されることになる。不動産のもとの所有者は、比較的少ないリスク負担で資金を調達できる一方、投資家にとっては不動産投資の機会が拡大する。

一口に証券化といっても、対象とする不動産の種類、証券を発行する主体の性格、発行する証券の性質などに応じて、用いられる手法は多様であり、金融商品としてのリスクとリターンの関係もさまざまである。また、証券を裏付けるのは不動産からの収益であるため、不動産の管理運営に関する情報公開や監視の仕組みが重要である。さらには、不動産の収益力を高めるための専門的な技術や技能を評価できる体制も整えていかなければならない。

利回り

投資額に対する収益額の割合。 利回りを算定する投資の対象は、株式などの証券類、投資信託、不動産、金などの特定商品のほか、各種の金融商品である。また、算定する収益は、投資対象に応じて、利息、配当金、賃料、売却益などであるが、資産保有から得るインカムゲインに限定し、売買から得るキャピタルゲインは除外する場合も多い。算定期間は通常1年間で、「年利回り」ともいう。 不動産投資の利回りには、賃料収入をそのまま収益とする「表面利回り」と、維持経費を控除して収益を算定する「実質利回り」とがある。また、資産価値の算定に当たって、将来発生する収益額を現在価値に割り戻すときに用いる利率が「還元利回り」である。 なお、一般に、利回りが高い投資対象は、価格の変動性(ボラティリティ)が大きく、リスクも高いとされている(ハイリスク・ハイリターンの原則)。
-- 関連用語 --
不動産投資インデックス

不動産の収益性を一般的に示すための指標をいう。 個別の不動産についての収益性ではなく、不動産市場全体の動向を収益性の視点から把握できる指標でなければならないとされる。

不動産の収益性は、大きく、 1.期間中に得られる純収益(賃料等と管理費用等の差、インカムゲイン) 2.期間中の資産価値の増減(キャピタルゲイン) に分かれるが、不動産投資インデックスは、両者を総合化したもののほか、それぞれを独立させて指標化する場合もある。

また、不動産の特徴から、地域性や不動産の種類に応じた収益性の把握が可能でなければならないほか、他の投資商品と比較可能であること、十分な頻度と継続性が確保されていること、豊富なデータによる信頼性の高い算出方法であることなどが要求される。特に、不動産取引データの多くは非公開であるため、不動産投資インデックスの作成には困難が伴うとされている。現実にもいくつかの試みはあるものの、現在のところ標準的な不動産投資インデックスは存在しない。

なお、地価の動向など不動産市場の一般的な動向を、収益性に限定せずに把握する指標を「不動産インデックス」とよぶことがある。

不動産ファンド

投資家から資金を集めて運用し、その収益を出資額に応じて配分する仕組みのなかで、不動産投資を主とするものをいう。 投資に係るリスクとリターンはすべて投資家に帰属する。「不動産投資信託」と呼ばれることもある。

狭い範囲の投資家を対象に資金を集めるもの(私募ファンド)、不動産特定共同事業として実施するもの、信託制度を活用するものなど、形は多様である。運用の対象については、株式投資などと組み合わせる場合、特定の種類の不動産のみを対象とする場合などさまざまであり、運用に関しても、インカムゲインを重視するかキャピタルゲインを期待するかという違いがある。しかしどのようなものであれ、投資によって生じた損失は、投資家が一身に引き受けることはファンドに共通する性質である。

ファンドマネジャー(Fund Manager)

金融資産を継続的に運用する専門家をいう。 運用対象は、株式、債券、不動産、為替、商品相場等々、ファンドの性格に応じて多様である。投資顧問業として業務に携わることもある。

通常、運用実績を評価するための基準(ベンチマーク)が設定されていて、それを上回る成果を上げなければならない。一般的には、日経平均やTOPIXをベンチマークとすることが多い。