このページを印刷する

最終更新日:2024/3/19

長期未着手都市計画

ちょうきみちゃくしゅとしけいかく

都市計画決定されてから長期間経過したのに、事業化の目処が立っていない都市計画施設をいう。特に、都市計画道路について例が多い。

都市計画決定された都市計画施設の区域については、その区域内で建築物を建築しようとする場合には許可を要し、移転が容易であるなどの条件を満たさないと許可されない。そして、事業化の見通しがないままこのような私権に対する制限が長年継続している場合には、その制限の合理的な理由の前提を欠く事態となっている恐れがあり、制限によって生じた損失に対しての補償を拒むことは許されないのではないかという考えがある(2005(平成17)年11月1日最高裁三小法廷判決補足意見。この判決事案における事業未着手期間は60年以上であるが、補足意見は、当該土地の置かれた環境などに照らして未だ補償を必要とする状態には至っていないとした)。

このような事情を背景に、長期未着手の都市計画道路について、その見直しが進められている。見直しに当たっては、社会情勢の変化・政策の転換・都市構造の変化の検証、 「広域的な観点」「地域のまちづくりの観点」からの必要性の検証などを行なうとされている。また、既決定路線・区間を廃止する場合には、長期にわたっての計画区域内の建築制限についてその状況を把握することとされている。

-- 本文のリンク用語の解説 --

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。

1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4) 注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

都市計画施設

都市計画法第11条に掲げられている都市施設(道路、公園、水道、下水道など)に関して、その名称・位置・規模などが「都市計画」に定められたとき、その都市施設を「都市計画施設」と呼ぶ(都市計画法第4条第6項)。

都市計画道路

都市計画決定された道路。事業化されていないものを含む。完成後は道路法上の道路として管理される。

都市計画道路の区域内で建築物を建築しようとする場合には、許可を要する。そして、2階建て以下で地階を有しないこと、主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であることなどの要件を満たし、かつ、容易に移転又は除却することができると認められるものでなければ建築を許可されない。

なお、同区域内の土地を有償で譲り渡そうとするときは、事前に都道府県知事または市長に届け出なければならず、地方公共団体等から買い取り希望の申し出があったときには買い取りの協議に応じなければならないとされている。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。

これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備

上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。