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最終更新日:2020/5/13

相隣関係

そうりんかんけい

隣接する不動産の所有者が相互にその利用を調整し合う関係をいう。地上権賃借権についても同様である。

調整のルールとして、民法では、境界付近で建築工事をするときの隣地の使用、袋地所有者の隣地の通行(囲繞地通行権)、水流に関するルール(自然水流に対する妨害の禁止、水流の障害を除去する権利、水流の変更についての制限など)、境界標の設置、囲障の設置、境界線付近の建築の制限などを規定している。

また、ルールのなかには、民法の規定と異なる慣習があるときにはそれに従うとされるものもある。

なお、騒音や振動の発生、日照妨害なども相隣関係から生じる問題であり、法令に違反したり、受忍の限度を超えた影響を及ぼす場合などは、不法行為として損害賠償の責任を負うこともある。

-- 本文のリンク用語の解説 --

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

地上権

工作物又は竹林を所有する目的で、他人の土地を使用する権利のこと(民法第265条)。

土地賃借権と地上権は非常によく似ているが、次のような違いがある。 1.土地賃借権は債権だが、地上権は物権である
2.地上権は、土地所有者の承諾がなくても、他人に譲渡することができる。
3.地上権を設定した土地所有者には登記義務があるので、地上権は土地登記簿に登記されているのが一般的である。

賃借権

賃貸借契約によって得られる借主の権利をいう。 借主は契約の範囲で目的物を使用し収益できる一方、貸主に賃料を支払わなければならない。民法上、債権とされる。

賃借権は債権であるので、 1.登記しなければ第三者に対抗できない(賃貸人に登記義務はなく、登記がなければ対抗要件を欠くので、例えば目的物が譲渡されると新たな所有者は賃借権に拘束されない) 2.賃貸人の承諾なしに賃借権の譲渡・転貸ができない(承諾なしに第三者に使用・収益させたときには賃貸人は契約を解除できる) など、物権に比べて法的な効力は弱い。

しかし、不動産の賃借権は生活の基盤であるため、賃借人の保護のために不動産の賃借権について特別の扱いを定めている(賃借権の物権化)。 すなわち、対抗力については、借地に関してはその上の建物の保存登記、借家に関しては建物の引渡しによって要件を満たすこととした。また、譲渡・転貸の承諾については、借地に関しては、建物買取請求権を付与し、さらには裁判所による承諾に代わる譲渡等の許可の制度を設け、借家に関しては造作買取請求権を付与した(いずれも強行規定である)。

そのほか、契約の更新拒絶や解約において貸主の正当事由を要件とすることを法定化し、判例においては、賃借権の無断譲渡・転貸を理由とした契約解除を厳しく制限する、賃借権にもとづく妨害排除請求権を承認するなど賃借人保護に配慮している。

一方で、借地借家の供給促進の観点から定期借地権、定期借家権が創設され、賃借権の多様化が進みつつある。

袋地

ある土地が他の土地に囲まれているために、公道に出るには他の土地を必ず通行しなければならない場合には、この囲まれている土地のことを「袋地」という。

囲繞地通行権

他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者が、その土地を囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行できるとする権利。民法で定められている権利である。「公道に至るための他の土地の通行権」ともいわれる(民法第210条)。

この場合、袋地の所有者は、囲繞地を通行するために与える損害に対して相応の金銭を支払うことが必要とされている。ただし、土地を分割した結果として袋地が発生した場合には、当該袋地の所有者は、公道に至るために、分割された他の土地を無償で通行することができる。

水流に関するルール(民法の〜)

土地の上を流れる水に関して、隣地との関係を定めたルール。民法の相隣関係として規定されている。 水流は土地に固着しないため、その特質に即した取り扱いが必要となるからである。 主なルールとして、
1)隣地から水が自然に流れてくるのを妨害してはならないこと
2)他の土地で水流の閉塞等が生じて自らの土地に損害が及ぶときには、その除去等を行なうことができまたは除去を請求できること
3)自らの土地において、隣地の岸辺・流路が変わるような行為をしてはならないこと
4)高地の所有者は、浸水や余水の排出のため、公共水流または下水道に至るまで低地に水を通過させることができること
5)堰を設ける場合には、対岸の他人所有地に付着させることができること
などが定められている。 なお、水利用に関する民法の規定は極めて簡素であって、その利用関係の調整は、河川法などによるほか、慣習による場合もある。

建築

「建築物を新築し、増築し、改築し、または移転すること」と定義されている(建築基準法第2条第13号)。

相隣関係

隣接する不動産の所有者が相互にその利用を調整し合う関係をいう。地上権や賃借権についても同様である。

調整のルールとして、民法では、境界付近で建築工事をするときの隣地の使用、袋地所有者の隣地の通行(囲繞地通行権)、水流に関するルール(自然水流に対する妨害の禁止、水流の障害を除去する権利、水流の変更についての制限など)、境界標の設置、囲障の設置、境界線付近の建築の制限などを規定している。

また、ルールのなかには、民法の規定と異なる慣習があるときにはそれに従うとされるものもある。

なお、騒音や振動の発生、日照妨害なども相隣関係から生じる問題であり、法令に違反したり、受忍の限度を超えた影響を及ぼす場合などは、不法行為として損害賠償の責任を負うこともある。