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最終更新日:2017/12/8

造作買取請求権

ぞうさくかいとりせいきゅうけん

借家契約の終了の際、借家人が建物に付加した造作を家主に時価で買い取らせることのできる権利をいう。

造作とは、、建具、電気・水道施設などをいい、その付加について家主の同意を得ていることが必要である。

民法の原則では、賃貸借契約の終了時には賃借人が付加した造作を収去しなければならないとされているが、造作買取請求権は、借家契約における例外規定である。ただし、造作の買取り義務を負わないよう契約上特約することができる(任意規定である)。

なお、造作買取請求が正当で有効である場合に、家主が代金を支払わない間は、同時履行の抗弁権双務契約において相手方が債務を履行するまでは自分の債務を履行しないと主張する権利)によって、家屋の明渡しを拒絶される恐れがある。

-- 本文のリンク用語の解説 --

借家

借りて住む家屋。「借家する」と言うように、家を借りることを指す場合もある。これに対して、自らが所有して住む家屋は「持ち家」である。

住宅・土地基本調査では、借家を、公営の借家、都市再生機構・公社の借家、 民営借家、給与住宅に分類している。

なお、賃貸借契約に基づいて住む借家については、借地借家法が適用される。

建物

民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。 具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。

造作

建物の内部を構成する部材や設備をいう。 部材としては建具、畳、床、鴨居など、設備としては水道設備、空調設備などがこれに当たる。詳しくは「造作買取請求権」を参照。

なお、建築することをいう場合(「造作する」というような使い方)もあることに注意が必要である。

床の敷物で、わらを芯に藺(い)の茎を編んだ表をつけたものをいう。部屋の広さを示す単位(「◯畳の間」など)としても使われる。
広さの単位として使われる場合には、地域によってその大きさに違いがあることに注意しなければならない。たとえば京間は6尺3寸×3尺1寸5分、江戸間・田舎間は6尺×3尺(いずれも内法)を単位にして畳数で表示される(1尺=0.30303m=10寸=100分)。
このような違いがあることなどから、不動産広告における面積の表示はメートル法によるのを原則とし、居室等の広さを畳数で示す場合には、各部屋の壁心面積を畳数で割った値が1.62平方メートル以上となるようにしなければならないとされている(不動産の表示に関する公正競争規約)。

水道

人の飲用に適する水を供給する施設の総称で、取水施設、貯水施設、浄水施設、配水施設などから構成される。下水道に対して、上水道といわれることもある。

水道事業を営む者は、その給水区域内の需要者から給水契約の申し込みを受けたときは、正当の理由がなければ契約を拒んではならないとされている(給水義務)。

賃貸借

ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。 賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる(従って双務契約である)。

民法では、あらゆる賃貸借契約について、 1.契約期間は最長でも50年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない 等と規定している。

しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、 1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める 等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。

特約

特別の条件を伴った契約をすることをいう。

原則として契約条件の定め方は自由であるから、どのような条件が特別であるかについては判断の幅があるが、一般的な条件とは異なる利益を伴うものをさすと理解されている。

ただし、強行規定(法令によって当事者の合意如何にかかわらず適用される規定)に反する条件は当事者が合意しても無効である。

任意規定

法律の規定であって、当事者の意思によって適用しないことができるような規定のことを「任意規定」という。 また同じ意味で「任意法規」ということもある。

この反対に、当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定は「強行規定」と呼ばれる。

同時履行の抗弁権

双務契約の当事者が、相手方が債務を提供するまでは自己の債務を履行しない、と主張できる権利をいう。 債務がお互いに対価の関係にあるとき、他方が履行しないのに一方だけを履行させるのは不公平だという考え方にもとづいて認められている。ただし、特約でどちらかの債務履行を先とする旨決められていることには主張できない。

同時履行の抗弁権がある間は、期限を過ぎて債務を履行しなくとも、履行遅滞とはならず、損害賠償義務や相手方の契約解除権は発生しない。また、訴訟において同時履行の抗弁権を主張すると、相手方には自分の弁済と引換えに給付を受けられるという判決(引換給付判決)がなされる。

公平確保のための権利であるから、双務契約の場合だけでなく、契約解除における原状回復義務(お互いに原状回復の義務を負う)、売主の瑕疵担保責任(担保責任の履行と代金の支払いは双務関係)などにも適用される。

双務契約

契約当事者の双方がお互いに対価性のある債務を負担する契約をいう。売買、賃貸借などの契約はこれに該当する。これに対して、贈与のような当事者の一方のみが債務を負担する契約を「片務契約」という。

双務契約においては、双方の債務履行が密接な関係にあるから、相手の給付があるまでは自分の債務を履行しないとの主張(同時履行の抗弁権)が認められているほか、一方の債務の消滅等において他方の債務をどうするか(危険負担)などが問題となる。

債務

私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。

債務を負っているのが債務者である。