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最終更新日:2017/11/20

賃貸住宅紛争防止条例(東京都)

ちんたいじゅうたくふんそうぼうしじょうれい(とうきょうと)

「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」(以下「条例」という。)の略称。
宅地建物取引業者(以下「宅建業者」という。)が、住宅の賃貸借に伴い、あらかじめ明らかにすべき事項を定めること等により、住宅の賃貸借に係る紛争の防止を図ること等を目的として、平成16年10月1日より施行された条例。
宅建業者は、住宅の賃貸借の代理又は媒介をする場合、借主に対して宅建業法35条1項の規定により行う重要事項の説明に併せて、以下の事項について、書面(条例に基づく説明書)を交付して説明しなければならないことを定めている。
(1)退去時の通常損耗等の復旧は、貸主が行うことが基本であること、(2)入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本であること、(3)賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項、(4)修繕及び維持管理等に関する連絡先(2条、施行規則2条)。
また、宅建業者が説明義務等に違反した場合、知事は、指導、勧告、公表を行うことができると定めている(5条、6条)。
条例は、(1)宅建業者が媒介・代理を行う東京都内にある居住用の賃貸住宅(店舗・事務所等の事業用、貸主と直接契約を結ぶ場合は除く。なお、都内の物件を扱う場合、都外の宅建業者も説明が義務付けられる。)に係る(2)平成16年10月1日以降に重要事項説明を行う新規賃貸借契約(更新契約は除く。)に適用される。東京都は、平成16年9月、「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を公表した。

●関連用語
原状回復義務
修繕義務
敷金

-- 本文のリンク用語の解説 --

原状回復義務

賃貸借契約の終了時に、賃借物(たとえば賃貸住宅)を借りてから生じた損傷を回復する義務。原状回復義務は賃借人が負う。

賃借人は、通常の使用収益によって生じた損耗及び賃借物の経年変化については、回復する義務はない。損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるときにもそれを回復する義務を免れる。

なお、賃貸人は、賃貸物の使用収益に必要な修繕(たとえば賃貸住宅の維持補修)をする義務を負っている。また、賃貸借契約の終了時に、受け取った敷金(賃貸借に基づいて生じた賃借人の債務額を控除した残額)を返還する義務がある。

修繕義務

建物賃貸借契約において、貸主は建物の汚損・破損(借主の故意や過失(帰責事由)によって発生した汚損・破損を除く)について、必要な修繕を行なう義務を負うものとされている。これが修繕義務である。

ただし、この民法の定めは任意規定であるので、実際の建物賃貸借契約では、修繕義務を貸主と借主でそれぞれ分担する旨を特約することが多い。これを修繕特約という。この場合にも、老朽化した設備の取り替えや安全性確保のための修繕については、特約にかかわらず貸主が負担すべきと考えられている。

なお、借主は、賃貸借契約の終了に当たって原状回復義務を負うが、経年変化および通常の使用による損耗等については回復の義務はない。

敷金

建物の賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、次のような目的のために預けられる金銭。

1.賃料の不払い・未払いに対する担保
2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い

将来契約が終了した場合には、上記1や2の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。