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最終更新日:2023/12/1

失踪宣告(失踪の宣告)

しっそうせんこく

人が居所を去った後、長期間にわたって生死が不明である場合には、残された関係者はその後の生活を営むうえでさまざまな制約を強いられる結果となる。
そこで民法は、法律上その人が死亡したものとみなす制度を設けており、これを「失踪宣告(失踪の宣告)」と呼ぶ(民法第30条)。

失踪宣告には、不在者が居所を去った後7年間生死不明であることを要件とする「普通失踪」と死亡の原因となるべき危難(戦争や船舶の沈没など)に遭遇したことを要件とする「特別失踪」という2種類がある。

失踪宣告を受けた場合、普通失踪については7年間の生死不明の期間が経過した時点で、特別失踪については危難の去った時点において、その人が死亡したものとみなされる(民法第31条)。

その結果、失踪宣告を受けた人について、死亡とみなされた時点から相続が開始することになる(民法第882条)。
また死亡とみなされた時点において、婚姻(結婚)は当然に消滅する。

ただし姻族の関係(結婚によって生じた親戚関係)は当然に消滅するのではなく、配偶者が姻族関係の消滅の意思を表示する必要がある(民法728条)。

なお失踪宣告を受けるには、配偶者・相続人・保険金受取人などの利害関係者が家庭裁判所に請求する必要がある。要件を満たす請求があったとき、家庭裁判所は失踪の宣告をすることができる(民法第30条)。

なおこのほかに、死亡が確実だが死体が確認できないという場合のために「認定死亡」という制度が用意されている(詳しくは認定死亡へ)。

-- 本文のリンク用語の解説 --

普通失踪

不在者の生死が7年間にわたって不明である場合には、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、失踪の宣告をなすことができる。これを「普通失踪」という(民法第30条)。

特別失踪

死亡の原因となるような危難(戦争、地震、火災、船の沈没など)に遭遇した人が、その危難が去ってから1年間にわたって生死不明であるとき、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、失踪の宣告をなすことができる。これを「特別失踪」という(民法第30条)。

認定死亡

死亡の可能性が非常に高い場合に、特別失踪による失踪宣告を待たずに、直ちに死亡とする制度のことを「認定死亡」という(戸籍法89条)。

具体的には、水難・火災・爆発などに遭遇し、死亡したことが確実であるが、死体が確認できない場合には、これを取り扱った官公署(警察署・海上保安庁など)からの死亡報告により、死亡地の市町村長が本人戸籍簿に「死亡」の記載をする。

この場合、死亡とされた日において本人は死亡したこととなるので、直ちに相続が開始し、婚姻が消滅する。