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最終更新日:2017/11/20

転換特定社債

てんかんとくていしゃさい

 不動産証券化のビークル(器)となる特定目的会社が、資産の流動化に関する基本的な計画(資産流動化計画)に従って発行する特定の資産の収益力を裏付けとする社債で、一定期間内に一定数の新たな優先出資(出資をした者が特定目的会社の利益の配当や残余財産の分配を、特定目的会社を設立する発起人が設立の際に払込みを行った出資者に先立って受ける権利を有する出資)を、決まった金額により引受ける権利を付した社債のこと(資産流動化法131条)。

 転換特定社債の転換権を行使した場合は、社債が消滅して優先出資証券が発行される。

-- 関連用語 --
特定目的会社

 資産を取得・保有し、その資産を裏付けにした証券を発行して資金を集めることを目的として設立された法人のこと(資産流動化法16条以下)。不動産の流動化・証券化の核となる組織で、一定の税制上の優遇措置が与えられている。実態の無い器(ビークル)であるため、特定資産の管理・処分の業務は信託会社等に信託しなければならない。ただし、特定資産が不動産である場合は、財産的基礎等を有する者(不動産業者等)に委託することができる(同法200条)。事業終了後には解散する。

特定目的会社の業務は、資産流動化計画に基づいた特定資産の流動化に制限され、原則として他業務を行うことは禁止されている(同法195条)。なお、特定資産は不動産、指名金銭信託、これらの信託受益権に制限されていたが、平成12年の法改正で広く財産権一般に拡大された。

また、特定目的会社のことを一般的にSPC(Specific Purpose Company)ということが多いが、資産流動化法に基づかないで株式会社や有限会社形態による特別目的会社を設立して流動化する方法もあり、これらについてもSPC(特別目的会社:Special Purpose Company)と表記することもある。ただし、特定目的会社については、資産流動化法上の特定目的会社以外に、商号中に特定目的会社の文字を用いてはならないとしている(同法15条)。なお、特定目的会社と特別目的会社を区別するために特定目的会社をTMK(Tokutei Mokuteki Kaisha)と表記することもある。

資産流動化計画

 特定目的会社による資産の流動化に関する基本的な事項を定めた計画のこと(資産流動化法2条4項)。

 資産流動化計画には資産の流動化に関する計画期間、資産対応証券の総口数の最高限度、特定資産の内容・取得の時期及び譲渡人、特定資産の管理及び処分の方法等の事項を記載しなければならない(同法5条)。

 特定目的会社は業務開始前に、資産流動化計画について、あらかじめすべての特定社員(特定出資をした出資者)の承認を受けなければならない(同法6条)。

 資産流動化計画は、特定目的会社が資産の流動化に係る業務を行うときに内閣総理大臣に届け出る際に添付される(同法4条)。また、資産流動化計画を変更するには、社員総会の決議によらなければならない(同法151条)。

優先出資

 特定目的会社の資本に対する出資のうち、出資をした者が特定目的会社の利益の配分や残余財産の分配を、特定出資(特定目的会社を設立する発起人が設立の際に払込みを行った出資)をした者に先立って受ける権利を有する出資のこと(資産流動化法2条)。

 出資者は出資の金額を限度とする有限責任を負う(同法27条)。優先出資する者(優先出資社員)は、有議決権事項(優先出資配当にかかわる決議等)を除き原則として社員総会での議決権を持たない(同条4項)。

 また、優先出資は譲渡でき、特定目的会社は譲渡に対して制限が加えられない。譲渡の際に交付される証券は優先出資証券という(同法44条)。