このページを印刷する

最終更新日:2017/11/20

資産流動化に関する法律(資産流動化法)

しさんりゅうどうかにかんするほうりつ(しさんりゅうどうかほう)

 特定目的会社や特定目的信託を用いて資産を保有し、その資産を担保に有価証券や社債を発行したり、信託の受益権の譲渡等を行うことにより資産の流動化を図ることを目的として平成10年9月に施行された法律。通称として「SPC法」が使われることも多い。

 平成13年9月の改正施行で、対象とされる資産の範囲は、不動産、指名金銭債権(銀行の貸付債権、リース債権、企業の売掛債権)とその信託受益権であったものから、これらを含む財産権一般にまで拡大された(新SPC法ともいう)。

-- 関連用語 --
特定目的会社

 資産を取得・保有し、その資産を裏付けにした証券を発行して資金を集めることを目的として設立された法人のこと(資産流動化法16条以下)。不動産の流動化・証券化の核となる組織で、一定の税制上の優遇措置が与えられている。実態の無い器(ビークル)であるため、特定資産の管理・処分の業務は信託会社等に信託しなければならない。ただし、特定資産が不動産である場合は、財産的基礎等を有する者(不動産業者等)に委託することができる(同法200条)。事業終了後には解散する。

特定目的会社の業務は、資産流動化計画に基づいた特定資産の流動化に制限され、原則として他業務を行うことは禁止されている(同法195条)。なお、特定資産は不動産、指名金銭信託、これらの信託受益権に制限されていたが、平成12年の法改正で広く財産権一般に拡大された。

また、特定目的会社のことを一般的にSPC(Specific Purpose Company)ということが多いが、資産流動化法に基づかないで株式会社や有限会社形態による特別目的会社を設立して流動化する方法もあり、これらについてもSPC(特別目的会社:Special Purpose Company)と表記することもある。ただし、特定目的会社については、資産流動化法上の特定目的会社以外に、商号中に特定目的会社の文字を用いてはならないとしている(同法15条)。なお、特定目的会社と特別目的会社を区別するために特定目的会社をTMK(Tokutei Mokuteki Kaisha)と表記することもある。

特定目的信託

 信託の委託者兼受益者となるオリジネーター(原資産所有者)が取得する信託受益権を分割し、複数の投資家に取得させ、資産の流動化を図ることを目的とする信託。特定目的信託に係る信託契約は信託会社等を受託者とするものでなければ締結できない(資産流動化法223条)。

SPT(Special (Specific)Purpose Trust)ともいい、エス・ピー・ティと読む。

特定目的信託を受託しようとする信託銀行は、あらかじめ内閣総理大臣(金融庁に委託)に届け出なければならない。