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最終更新日:2017/11/20

5%ルール(不動産の流動化の)

ごぱーせんとるーる(ふどうさんのりゅうどうかの)

 不動産の流動化で不動産の譲渡人がオフバランス(自身のバランスシートから切り離す)する際の会計上のルールのこと。不動産に係るリスクと経済価値の移転に関する判断基準として、リスク負担割合(流動化する不動産の譲渡時の適正な価格(時価)に対する譲渡人のリスク負担の金額の割合)がおおむね5%の範囲内であれば、リスクと経済価値のほとんどすべてが他の者に移転しているとみなされ、その譲渡は真正売買として会計処理ができるというもの。譲渡人にリスクが5%以上残っている場合は、真正売買とは認められず、不動産を担保に資金調達したとみなされ、金融取引としての会計処理を求められる。

 平成12年7月に日本公認会計士協会から公表された「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」で、譲渡人の会計処理の判断基準として統一化された。

-- 関連用語 --
オフバランス

 財務体質を改善するために、保有していた資産を譲渡等することによって、バランスシート(貸借対照表)から外すこと。不動産等の資産をバランスシートから外すことで、財務指標の一つであるROA(資産収益率)の改善が図れ、過剰に資産(不動産)を抱えこんだバランスシートの調整や資産の圧縮をすることができる。

 オフバランスのために不動産の証券化手法を用いた場合、原資産の保有者であるオリジネーターが当該証券化商品を自ら取得してエクイティ投資家となるケースが多くあり、会計上オフバランスされているかどうかが論点になっていた。このため日本公認会計士協会は平成12年に、オリジネーターのリスク負担割合が不動産評価額の概ね5%程度の範囲内であればオフバランスされたとみなすとする実務指針を示した。

真正売買(不動産流動化の)

 不動産流動化において、不動産又はその信託受益権を、オリジネーター(原保有者)からビークル(資産を保有するための事業体・器)に譲渡する際、その譲渡が法的かつ会計上の有効な売買として取り扱われ、単なる譲渡担保等の金融取引とみなされないこと。

 形式的に不動産売買の形態をとっていても、関係者の意図が担保物権の成立にあったとすると、オリジネーターが倒産した場合には差押債権者・破産管財人等が担保権を主張して売買を否認される可能性がある。また、会計上、有効な売買として認められない場合は、オリジネーターのバランスシートから切り離すことができなくなる。

 このように不動産流動化では真正売買性を確保することが極めて重要な意味を持つが、その判断基準はおおむね次の3点といわれている。(1)当事者の真に売買するという意思(買戻特約等がない、支配権の移転、経済的利益及びリスクの移転、会計上のオフバランスなど)、(2)適切な価額の支払、(3)第三者対抗要件の具備(所有権移転登記)。
 会計上のオフバランス処理に関しては、平成12年7月に日本公認会計士協会が「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針について」を公表し、5%ルールと呼ばれる真正売買に関する基準等を規定した。

特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針

不動産流動化における不動産の譲渡人の会計処理を統一化する目的で、平成12年7月に日本公認会計士協会が公表した実務指針。

不動産の譲渡人がSPCに不動産を譲渡して自身のバランスシートから切り離す際のオフバランス認定及び真正売買の解釈は、従前は個々の公認会計士の判断に委ねられていたが、実態的に金融取引に近いものまで含まれていたため、会計監査実務上の問題を整理する目的で制定された。

その中心的内容は、「5%ルール」と呼ばれる不動産のリスクと経済価値の移転に関する基準と、「継続的関与」と呼ばれる売買後の譲渡人の関与に関する指針である。