レンタブル比
れんたぶるひ
賃貸する建物について算定した総床面積に対する賃貸可能床面積の割合。
建物のエントランス、廊下、共用階段・エレベーターなどは賃貸の対象ではないので、賃貸可能床面積に算入されず、賃料を得ることができない。従って、レンタブル比が大きい建物ほど、収益の効率性が高いことになる。ただし、これら賃貸の対象にならない空間や設備は、マンションや事務所ビルの安全性、利便性、雰囲気、住み心地や働きやすさなどに寄与することが多い。賃料に反映されるスペースなのである。
レンタブル比は、賃貸不動産に投資する場合に、収益性を評価する指標の一つとされているが、その数値だけで投資の有利性は判断できない。
床面積
建築物の各階において、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積をいう(建築基準法施行令第2条1項3号)。
なお具体的な床面積の判定の方法については、建設省(現国土交通省)が、通達(昭和61年4月30日付建設省住指発第115号)によって詳しい基準を設けている。
エントランス
建物の入り口や玄関のこと。マンションや商業ビルでは、その建物の印象に強い影響を及ぼすことが多い。
エレベーター
荷物や人をかご(籠)に載せ、その箱を主に垂直方向に移動して運搬する装置。移動空間(シャフト)、かご、ワイヤーロープ、釣り合い錘り、駆動装置、調速機などで構成される。
建築物にエレベーターを設置する場合には、建築基準法に基づいて確認・完了検査が必要とされている。また一般に、高さ31m(おおむね6〜7階に相当する)以上の建築物については、エレベーターを設置しなければならない。
なお、建築基準法では、「エレベーター」「エスカレーター」「小荷物専用昇降機」を「昇降機」としている。
賃料
賃貸借契約によって賃借人が支払う対価をいう。
特約がない限り後払いである。また、地代・家賃については、事情変更による増減請求権が認められている。
なお、借主が実質的に負担するのは、賃料に保証金、預かり金等の運用益を加えた額(実質賃料)である。また、共益費など賃料以外の負担を求められることも多い。
事務所(宅地建物取引業法における〜)
宅地建物取引業法第3条第1項で規定する場所のこと(法第3条第1項、施行令第1条の2)。
具体的には、次の2種類の場所が「事務所」に該当する(以下の文章は国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方にもとづいている)。
1.本店または支店(施行令第1条の2第1号)
商業登記簿等に記載されており、継続的に宅地建物取引業の営業の拠点となる実体を備えているものを指す。
ただし、宅地建物取引業を営まない支店は「事務所」から除外される。
また本店は、支店の業務を統括する立場にあるため、本店が宅地建物取引業を直接営んでいない場合であっても、その本店は「事務所」に該当するものとされる。
2.上記1.以外で「継続的に業務を行なうことができる施設」を有する場所で、宅地建物取引業に係る「契約を締結する権限を有する使用人」を置く場所(施行令第1条の2第2号)。
「継続的に業務を行なうことができる施設」とは、固定的な施設であり、テント張りの施設や仮設小屋は含まれない。
「契約を締結する権限を有する使用人」とは、宅地建物取引士を指すものではなく、支店長・支配人などのように営業に関して一定範囲の代理権を持つ者を指している(ただし、支店長等が同時に宅地建物取引士である場合がある)。
また、「置く」とは常勤の使用人を置くという意味である。
以上の1.と2.の場所を合わせて、宅地建物取引業法では「事務所」と呼んでいる。
従って、会社の登記(商業登記簿)では支店として登記されていなくても、継続的に業務を行なうことができる施設に、宅地建物取引業に係る支店長や支配人を置いていれば、その施設は「事務所」とみなされることになる。
なお、宅地建物取引業法ではよく似た概念として「事務所等」「事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所」「標識を掲示すべき場所」「クーリングオフが適用されない場所」を定めているので、それぞれの違いに注意したい。
投資不動産
賃貸収益の獲得、または、価格の上昇をを目的として保有する土地・建物をいう。
英語ではInvestment Propertyという。
具体的には、賃貸ビル、賃貸店舗、賃貸マンション、賃貸アパート、遊休地などが「投資不動産」に該当する。また、遊休地を一時的に駐車場として利用している場合には、その駐車場は「投資不動産」に該当する。
一方、通常の事業目的で所有する土地建物(例えば本社ビル、自社で使用する工場、自社で使用する店舗など)は「投資不動産」ではない。また、不動産会社・建設会社が販売目的で所有する土地建物は「投資不動産」から除外される。
国際会計基準では、原則的に決算日における「時価」により毎期評価すること(時価評価)を求めている。この場合には、時価の変動から生じる評価益(または評価損)は、毎期の当期利益に含めて表示されることになる。
また、時価評価を採用しない場合には、決算日における時価を貸借対照表に注記すること(時価情報の注記)を求めている。この場合には、投資不動産は取得原価で評価され、通常の固定資産と同様に、毎期減価償却を行ない減損が発生した場合には減損会計により損失を計上することになる。
なお、ここで「時価」とは「フェア・バリュー(公正価値)」のことで、原則として、取引知識がある者同士の間で成立する資産の取引価額、つまり、不動産市場における市場価格であると考えることができる。
日本では2005年度から減損会計が導入されたが、投資不動産についても減損会計が適用されており、国際会計基準による時価評価または時価情報の注記は求められていない。