不動産用語集|R.E.Words by(株)不動産流通研究所

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最終更新日:2008/10/29

自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限

じこのしょゆうにぞくしないたくちまたはたてもののばいばいけいやくていけつのせいげん

宅地建物取引業者が他人物や未完成物件を売ることを原則的に禁止するという規制のこと。これは一般消費者を保護するための措置である(宅地建物取引業法第33条の2)。

(1)概要
「自己の所有に属しない宅地又は建物」とは他人物(たにんぶつ)と未完成物件を指している。
他人物の売買は、民法上は可能とされているが、一般消費者にとってはそのような取引を行なうことは危険性が高い。未完成物件の取引も同様である。そこで宅地建物取引業法では、そのような他人物・未完成物件の売買取引を、原則的に禁止しているのである。

(2)他人物売買の制限
宅地建物取引業法では他人物売買について、原則的に禁止する措置をとっている(法第33条の2本文)。

具体的には、宅地建物取引業者は、他人の所有物について、自らが売り主になるような「売買契約」を締結することができない。また、宅地建物取引業者は、他人の所有物について、自らが売り主になるような「予約」を締結することもできないとされている。

ただし、「他人物を確実に取得できるという別の契約または予約」があるときには、他人物の売買契約または予約を締結してよいという例外規定がある(法第33条の2第1号)。(詳細については別項目の「他人物売買の制限」へ)

(3)未完成物件の売買の制限
未完成物件を造成中・工事中の段階で販売することは、「自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結」に該当するので、原則的に禁止されている(法第33条の2本文)。
しかし、仮に、造成中における宅地分譲・工事中における建物分譲が全く行なえないことになっては不動産実務上、非常に不便ことは明らかである。

そこで、宅地建物取引業法では「未完成物件に関する手付金等の保全措置」が行なわれている未完成物件については、造成中・工事中であっても、未完成物件の売買契約または予約を締結してよいこととしている(法第33条の2第2号)。(詳細については別項目の「未完成物件の売買の制限」へ)

(4)適用範囲
宅地建物取引業者が売主で、宅地建物取引業者以外の者が買主になる場合についてのみ適用されることになっている(法第78条第2項)。

(5)違反に対する罰則
「自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限」(法第33条の2)に違反した場合には、宅地建物取引業法の監督処分として「指示処分」または「業務停止処分」が予定されている。
なお、「自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限」に違反した売買契約(予約含む)の効力については、宅地建物取引業法にはこれを無効とする規定がないので、そのまま有効な売買契約(予約含む)として取り扱われることになる。

-- 本文のリンク用語の解説 --

予約

予約とは、将来において契約を締結するということを、事前に当事者どうしで合意することを指す。予約においては、当事者の一方が予約完結権を持つのが一般的である。

例えば、将来において売買契約を締結するという予約(売買予約という)において、買い主が予約完結権を持ったものとする。
そうすると将来、買い主が売り主に対して「この物を購入するという予約完結権を行使する」という意思を表示すれば、売り主の承諾を待つまでもなく、売買契約が自動的に成立することになる。
このように予約という仕組みを使えば、予約完結権を持っている者が任意に売買契約を締結する権利を持つことになるので、予約完結権者に強い権利があると言うことができる。

なお、予約完結権を持つ者を「予約完結権者」または「予約権者」と呼び、その反対に予約完結権の行使を受ける者を「予約義務者」と呼ぶことがある。

上記では当事者の一方が予約完結権を持つ場合を述べたが、このような予約は「一方の予約」と呼ばれる。このほかに当事者の両方が予約完結権を持つ場合も考えることができる(当事者のどちらでも意思を表示すれば自動的に契約が成立するという予約)。このような予約は「双方の予約」である。
また将来において締結される契約のことを「本契約」と呼ぶことが多い。

他人物売買の制限

宅地建物取引業者が他人物を売ることを原則的に禁止するという規制のこと。これは一般消費者を保護するための措置である(宅地建物取引業法第33条の2)。

(1)概要
本来、他人の物を売買することは不可能とする考え方もありうるが、わが国の民法(民法第560条)では他人の物の売買も有効な売買契約であるとして認めている。
しかしこのような他人物売買では、売買取引に精通していない一般の買い主は、不利益をこうむる恐れがある。
そこで、宅地建物取引業法第33条の2では、他人物を売買の対象とすることを原則的に禁止しているのである。

(2)他人物売買の制限
法第33条の2では次のように定めている。
宅地建物取引業者は、他人の所有物について、自らが売り主になるような売買契約を締結することができない。
また、宅地建物取引業者は、他人の所有物について、自らが売り主になるような予約を締結することもできない。

(3)他人物売買が許される場合 その1
ただし、「他人物を確実に取得できるという別の契約または予約があるとき」には、他人物の売買契約または予約を締結してよい(法第33条の2第1号)。

例えば、あるA氏所有の中古マンションを、宅地建物取引業者B社が一般消費者であるC氏に売却する場合を想定しよう。このときB社が、A氏の所有物である中古マンションをそのままでC氏に売却することは、他人物売買に該当するので、上記(2)により禁止されているはずである。

しかしB社がA氏との間で、1ヵ月後にそのマンションをB社が購入するという予約を締結済みであったならば、「他人物を確実に取得できるという別の契約または予約がある」ことになるので、BC間の売買契約の締結が許されるということである。

なお、「他人物を確実に取得できるという別の契約または予約」について、この「別の契約または予約」は、停止条件が付いているものであってはならない。
停止条件付きの契約(予約)とは、ある事実(発生するかどうかが不確実な事実に限る)が発生したときに、初めて契約(予約)が効力を生じるという特殊な契約(予約)のことである。

先程の例でいえば、B社がマンション購入をA氏と予約する際に、A氏が「ほかにもっとよいマンションが運よく見つかったら今のマンションをB社に売ることを承諾する」という条件を付けていたとしよう。すると、これは「停止条件付きの予約」に該当するので、「他人物を確実に取得できるという別の契約または予約」が存在しないことになってしまう。

(4)他人物売買が許される場合 その2
換地処分の公告以前の「保留地予定地」については、宅地建物取引業者が一般消費者へ転売することが許されている(施行規則第15条の6第3号)。

(5)適用範囲
この「他人物売買の制限」(法第33条の2)は、消費者を保護するための規定である。
従って、宅地建物取引業者どうしの売買については、他人物であっても制限なしに売買することができる(法第78条第2項)。

未完成物件の売買の制限

宅地建物取引業者が未完成物件を売ることを原則的に禁止するという規制のこと。これは一般消費者を保護するための措置である(宅地建物取引業法第33条の2)。

(1)概要
宅地建物取引業者が自ら売り主になって、未完成の宅地または建物を、造成中または工事中の段階で販売することは、原則的に禁止されている(法第32条の2本文)。これは、売買取引に精通していない一般の買主を保護するための規定である。

(2)未完成物件の売買が許される場合
しかし造成中の宅地の分譲や、工事中の建物の分譲が全く行なえないことになっては不動産実務上、非常に不便であることは明らかである。
そこで、法第33条の2第2号では、「未完成物件に関する手付金等の保全措置」を講じることを要件として、未完成物件の売買を許すこととした。
具体的には、「未完成物件に関する手付金等の保全措置」が行なわれている未完成物件については、造成中・工事中であっても、未完成物件の売買契約(予約を含む)を締結してよいこととした。

ここで「未完成物件に関する手付金等の保全措置」とは、法第41条第1項に規定されている「工事完了前の売買に係る手付金等の保全措置」のことである。
これは、工事完了前に買い主が交付する手付金等について、銀行が保証し(保証委託契約)または保険会社が保証保険を付する(保証保険契約)という保全措置である。

(3)手付金等保全措置が不要な未完成物件の場合
なお、手付金等の額が代金の5%以下でかつ1,000万円以下であれば、法第41条第1項の「工事完了前の売買に係る手付金等の保全措置」を講じなくてよいとされている。
このような手付金等保全措置が不要な未完成物件については、手付金等保全措置を行なわないままで、未完成物件の売買契約(予約を含む)を締結してよい、とされている。

(4)適用範囲
この「未完成物件の売買の制限」(法第33条の2)は、消費者を保護するための規定である。
従って、宅地建物取引業者どうしの売買については、未完成物件であっても、手付金等保全措置を全く講じないで売買することができる(法第78条第2項)。