最終更新日:2008/10/29
検索の抗弁権
けんさくのこうべんけん保証人が「主債務者には取り立てが容易な財産がある」と立証した場合には、債権者は先にその主債務者の財産から取り立てをしなければならない。これを「検索の抗弁権」と呼んでいる(民法第453条)。
例えばAがBから100万円の借金をし、Aの友人であるCがその借金の保証人になったとしよう。このとき債権者Bが、保証人Cに対して100万円の債務を支払うように請求したとする。
その際に、保証人Cが「主債務者Aには強制執行が容易な銀行預金60万円がある」と証明し、保証人Cが検索の抗弁権を行使したならば、債権者Bはまず主債務者Aから60万円を取り立てなければならない(もし主債務者Aが取り立てに応じない場合には、その銀行預金に対して債権差押などを行なうべきである)。
また債権者が迅速な取り立てを怠ったために、取り立て可能であった金銭が取り立てできなくなった場合には、その責任は債権者が負う。例えば上記例で、債権者Bが取り立てを遅らせたために、他の債権者Dが60万円の銀行預金を取り立ててしまい、債権者Bは預金からの取り立てができなくなったとする。このとき保証人Cは、その金額を差し引いた40万円についてのみ保証債務を負うこととなる(民法第455条)。
このように検索の抗弁権は、債権者の立場を弱くするものである。なお連帯保証の場合には連帯保証人にはこの検索の抗弁権がないことに注意したい。
-- 本文のリンク用語の解説 --
債権差押
債務者が有する金銭債権から、債権者が満足を得る手続のこと。債務者の財産に対する強制執行のひとつである。
債権差押では、債務者が保有する金銭債権が対象になる。例えば債務者が銀行に預けている預金(預金債権)、債務者が取引先に請求できる売掛金(売掛金債権)、債務者が勤務先に請求できる給与(給与債権)など、いろいろな金銭債権が差押え可能である。
債権を実際に差し押さえる手続は次のとおりである。
仮に債務者Aが債権者Bから金銭を借りており、債権者Bが債務者AのC銀行の預金口座を差し押さえると想定する。債権者Bはまず債務者Aの住所地を管轄する地方裁判所に、債権差押命令の申立を行なう。これを受けた裁判所では、債務者Aが預金債権を有している相手方であるC銀行(これを「第三債務者」と表現する)に対して、債権差押命令を郵送する。
この命令が送達されてから1週間が経過すると、債権者Bは、C銀行に対して預金を自己(B)に支払うように請求することが可能となる。このようにして債権者Bは満足を得ることができる。
なお債権差押に類似した手続として「転付命令(てんぷめいれい)」がある。
債権差押では、債務者が保有する金銭債権が対象になる。例えば債務者が銀行に預けている預金(預金債権)、債務者が取引先に請求できる売掛金(売掛金債権)、債務者が勤務先に請求できる給与(給与債権)など、いろいろな金銭債権が差押え可能である。
債権を実際に差し押さえる手続は次のとおりである。
仮に債務者Aが債権者Bから金銭を借りており、債権者Bが債務者AのC銀行の預金口座を差し押さえると想定する。債権者Bはまず債務者Aの住所地を管轄する地方裁判所に、債権差押命令の申立を行なう。これを受けた裁判所では、債務者Aが預金債権を有している相手方であるC銀行(これを「第三債務者」と表現する)に対して、債権差押命令を郵送する。
この命令が送達されてから1週間が経過すると、債権者Bは、C銀行に対して預金を自己(B)に支払うように請求することが可能となる。このようにして債権者Bは満足を得ることができる。
なお債権差押に類似した手続として「転付命令(てんぷめいれい)」がある。
連帯保証
債務者の債務を、他人が保証することを「保証」という(民法第446条)。この「保証」の特殊な形態として、保証人の責任を強化した「連帯保証」がある(民法第454条)。
融資取引や不動産取引において単に「保証」という場合には、実際には「連帯保証」であることが非常に多いので、保証契約を締結する際には狭い意味での「保証」なのか、それとも「連帯保証」であるのかを慎重に確認しなければならない。
1)催告の抗弁権と検索の抗弁権について
主たる債務者の債務を、他人が保証することを「保証」という(民法第446条)。以下ではこの民法第446条の保証を「普通保証」と呼ぶことにする。
普通保証では、保証人が債権者から保証を履行する(肩代りする)ように求められた時には、まず先に主たる債務者に請求し、主たる債務者の財産を調べるべきであることを保証人は債権者に主張することができる。このような保証人の主張権を「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」と呼んでいる(民法第452条・第453条)。
これに対して保証人の責任を強化した「連帯保証」では、連帯保証人は「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」を持たない。従って、主たる債務者が債務の弁済を怠った場合には、債権者は、連帯保証人の催告の抗弁と検索の抗弁を受けることなく、ただちに連帯保証人に肩代りを請求できる。この点で連帯保証のほうが普通保証よりも債権者にとって有利である。
2)主たる債務の消滅等の主張について
普通保証では、保証人が債権者から保証を履行する(肩代りする)ように求められた時には、主たる債務者の債務がすでに完済されているなどの事実があるときは、保証人はその事実を債権者に主張することができる。
具体的には、主たる債務者が既に債務を弁済していること、主たる債務者の債務の返済期限がまだ到来していないこと、主たる債務者の債務が時効にかかって消滅していること、債権者と主たる債務者との間に相互に相殺できる債権があること、債権者が主たる債務者に対して債務を免除していること、などを保証人は主張することができる。このような保証人の主張権は、保証があくまで主たる債務を肩代りするものであるという保証の本質から考えて当然のことである(これを「保証債務の附従性」と呼ぶ)。
連帯保証でも普通保証と全く同様に、主たる債務の消滅等の主張を連帯保証人は債権者に対してすることができる。
3)請求の絶対効について
連帯保証に特有の性質として、債権者からの請求が絶対効を持つことが挙げられる(民法第458条・第434条)。これは債権者が連帯保証人に履行を請求すれば、主たる債務者に履行を請求したことになるという趣旨であり、主たる債務の時効中断において意味がある。
ただし注意したいのは、よく似たような事例として、連帯保証人が債権者に対して「債務の承認」をした場合には、こうした絶対効は生じないという点である。つまり連帯保証人が債務承認をしたとしても、主たる債務者が債務承認をしたことにはならないのである(大審院判決昭和12年11月27日など)。
4)保証人が複数いる場合について
普通保証の場合、保証人が複数いれば、その保証人相互には意思の連絡がなくても、法律上当然に、「共同保証」になるとされている(民法第456条・第427条)。この共同保証とは、保証人が主たる債務を人数分で平等に分割してそれぞれ肩代りするという意味である。例えば、主たる債務が100万円、普通保証による保証人が4人いれば、1人の保証人の肩代りする金銭は25万円に限定される。このように普通保証における保証人の責任が頭割りになることを「分別の利益」という。
ところが、連帯保証の場合には「分別の利益」がないものとされている(民法第458条)。従って、例えば主たる債務が100万円、連帯保証による保証人が4人いれば、1人の保証人の肩代りする金銭は100万円になる。つまり債権者は連帯保証による保証人の誰に対してでも、主たる債務の全額の肩代りを要求できるという趣旨である。このような面からも連帯保証は債権者にとって非常に有利である。
融資取引や不動産取引において単に「保証」という場合には、実際には「連帯保証」であることが非常に多いので、保証契約を締結する際には狭い意味での「保証」なのか、それとも「連帯保証」であるのかを慎重に確認しなければならない。
1)催告の抗弁権と検索の抗弁権について
主たる債務者の債務を、他人が保証することを「保証」という(民法第446条)。以下ではこの民法第446条の保証を「普通保証」と呼ぶことにする。
普通保証では、保証人が債権者から保証を履行する(肩代りする)ように求められた時には、まず先に主たる債務者に請求し、主たる債務者の財産を調べるべきであることを保証人は債権者に主張することができる。このような保証人の主張権を「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」と呼んでいる(民法第452条・第453条)。
これに対して保証人の責任を強化した「連帯保証」では、連帯保証人は「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」を持たない。従って、主たる債務者が債務の弁済を怠った場合には、債権者は、連帯保証人の催告の抗弁と検索の抗弁を受けることなく、ただちに連帯保証人に肩代りを請求できる。この点で連帯保証のほうが普通保証よりも債権者にとって有利である。
2)主たる債務の消滅等の主張について
普通保証では、保証人が債権者から保証を履行する(肩代りする)ように求められた時には、主たる債務者の債務がすでに完済されているなどの事実があるときは、保証人はその事実を債権者に主張することができる。
具体的には、主たる債務者が既に債務を弁済していること、主たる債務者の債務の返済期限がまだ到来していないこと、主たる債務者の債務が時効にかかって消滅していること、債権者と主たる債務者との間に相互に相殺できる債権があること、債権者が主たる債務者に対して債務を免除していること、などを保証人は主張することができる。このような保証人の主張権は、保証があくまで主たる債務を肩代りするものであるという保証の本質から考えて当然のことである(これを「保証債務の附従性」と呼ぶ)。
連帯保証でも普通保証と全く同様に、主たる債務の消滅等の主張を連帯保証人は債権者に対してすることができる。
3)請求の絶対効について
連帯保証に特有の性質として、債権者からの請求が絶対効を持つことが挙げられる(民法第458条・第434条)。これは債権者が連帯保証人に履行を請求すれば、主たる債務者に履行を請求したことになるという趣旨であり、主たる債務の時効中断において意味がある。
ただし注意したいのは、よく似たような事例として、連帯保証人が債権者に対して「債務の承認」をした場合には、こうした絶対効は生じないという点である。つまり連帯保証人が債務承認をしたとしても、主たる債務者が債務承認をしたことにはならないのである(大審院判決昭和12年11月27日など)。
4)保証人が複数いる場合について
普通保証の場合、保証人が複数いれば、その保証人相互には意思の連絡がなくても、法律上当然に、「共同保証」になるとされている(民法第456条・第427条)。この共同保証とは、保証人が主たる債務を人数分で平等に分割してそれぞれ肩代りするという意味である。例えば、主たる債務が100万円、普通保証による保証人が4人いれば、1人の保証人の肩代りする金銭は25万円に限定される。このように普通保証における保証人の責任が頭割りになることを「分別の利益」という。
ところが、連帯保証の場合には「分別の利益」がないものとされている(民法第458条)。従って、例えば主たる債務が100万円、連帯保証による保証人が4人いれば、1人の保証人の肩代りする金銭は100万円になる。つまり債権者は連帯保証による保証人の誰に対してでも、主たる債務の全額の肩代りを要求できるという趣旨である。このような面からも連帯保証は債権者にとって非常に有利である。