最終更新日:2008/10/29
長期生活支援資金貸付制度
ちょうきせいかつしえんしきんかしつけせいど高齢者世帯の生活を支援するために、厚生労働省社会援護局が平成14年12月に創設した貸付制度のこと。日本初の全国的かつ公的なリバースモーゲージとして注目されている。
厚生労働省社会援護局地域福祉課では、従来から低所得世帯等を支援するため「生活福祉資金貸付制度」を実施しており、都道府県・市町村の社会福祉協議会がその融資主体および窓口となっていた。この「生活福祉資金貸付制度」を改訂することにより、平成14年12月24日に創設されたのが「長期生活支援資金貸付制度」である。
「長期生活支援資金貸付制度」は、土地資産をもちながら低所得であるような65歳以上の高齢者世帯を対象として、生活資金や医療費等の貸し付けを行うという制度であり、平成15年4月以降、全国の各都道府県社会福祉協議会において順次導入・実施されている。
その具体的な内容はおよそ次のとおりである(「平成14年12月24日厚生労働省発社援第1224001号厚生労働事務次官通知」などを参考とした)。
1)貸付の仕組み
都道府県社会福祉協議会が融資主体となり、区市町村社会福祉協議会が融資申込みの受付窓口となる。また民生委員は、融資の相談業務を行なうほか、融資を受ける高齢者世帯に関する調査等を社会福祉協議会の要請により行なうものとされている。なお民間金融機関は一切関与しない。
2)融資を受けるための資格
融資を受けるためには次のaからeのすべての条件にあてはまることが必要である。
a:原則として65歳以上の高齢者世帯で、高齢者以外の同居人(子などの同居人)がいないこと
b:市町村民税が非課税となる程度の低所得世帯であること
c:現に居住し所有する土地および建物を担保にすること(ただしマンションおよびその敷地は不可)
d:土地および建物が配偶者との共有であるときは、配偶者を連帯債務者とすること
e:土地および建物に、借家権・借地権・先順位の抵当権などの権利が付着していないこと
3)貸付の方法
融資限度額は、現に居住している建物の敷地である土地の評価額のおおむね7割を基準として決定される。
土地評価にあたっては不動産鑑定士による簡易な評価が行なわれる。ただし評価額が1千万円以上であることを一応の目安として、融資を実行することとされている(具体的な評価額の下限は都道府県社会福祉協議会が決定する)。
ひと月あたりの融資額は、原則として30万円以内である(ただし医療費等のための臨時増額が可能)。
貸付金の利率は、長期プライムレートを基準として都道府県社会福祉協議会の会長が定める。
貸付金の元金および利息は、融資契約期間中は返済する必要がなく、融資契約の終了時(高齢者の死亡時など)に一括返済する。
4)担保設定など
現に居住し所有する土地および建物に、根抵当権を設定する。さらに当該土地および建物について代物弁済の予約を行なうことが必要とされている。さらに人的保証として、推定される相続人の中から1名を、融資の連帯保証人としなければならない。また融資を受ける者は、融資契約に関して推定相続人全員の同意を取得するように努めなければならない(同意を得られない推定相続人に対しては融資契約の締結を告知する)。
なお融資を受けた者が、子またはその他の者を当該不動産に新たに同居させようとする場合には、都道府県社会福祉協議会の会長の承認を受ける必要がある。
5)資金の回収
融資契約が終了した際に、金銭による返済が行なわれない場合には、都道府県社会福祉協議会の会長は、根抵当権の実行と代物弁済とのどちらかを選択し、貸付金を回収することができる(ただし融資を受けた者(またはその相続人)は代物弁済を選ぶことを会長に要請することができない)。
6)費用負担
土地の評価の費用、根抵当権の登記等の費用、不動産の処分にかかる費用は、融資を受ける者が負担する。
リバースモーゲージ
時間の経過とともに融資残高が増加していき、最終的に一括して返済されることが特徴である。一括返済のための資金は、一般的に、持家を処分して確保されることとなる。その間の利息も、最後に一括して支払うことが多い。
持家を所有するが収入が少ない高齢者等が生活資金を確保する仕組みとして工夫されたもので、欧米で発達した。日本では、地方公共団体が生活支援方策の一つとして活用する例があるほか(最も早い例は、昭和56(1981)年の(財)武蔵野市福祉公社(東京都武蔵野市)による「福祉資金貸付サービス」であるとされる)、金融手法の一つとしていくつかの金融機関等が導入している。
なお、契約期間終了時に持家を処分する場合にも、その後もその住宅に住み続けることのできる特約を伴うことが一般的である。