最終更新日:2008/10/29
大規模修繕
だいきぼしゅうぜん分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、計画的に行なわれる修繕であって、多額の費用を要する修繕のことである(これに対して多額の費用を要しない計画的な修繕は「小規模修繕」という)。
具体的には鉄部塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の修繕工事を指している。
これらの修繕工事を適切に行なうためには、分譲マンションの管理組合が「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を積み立て、大規模修繕を実施することが不可欠である。(修繕工事の実施時期・費用等について詳しくは長期修繕計画へ)
なお大規模修繕を実施するためには、管理組合の集会で大規模修繕の実施を可決しなければならない。
このとき必要とされる賛成が「区分所有者数の過半数かつ議決権の過半数」でよいのか、それとも「区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上」の賛成が必要なのかについて、従来は区分所有法の規定がやや不明確であった。
そのため多くの管理組合では後日紛争が起きることを避けるために「4分の3以上」の賛成により大規模修繕を可決する方針を採用していた。このため大規模修繕を実施する時期が遅れるケースがあった。また区分所有者の中に大きな議決権の割合を有している人がいるときは、その人の賛成がないと事実上大規模修繕が可決できないケースもあった。
しかし2002年に区分所有法が改正されたことにより上記の賛成が「過半数」でよいことが明確化されたので、大規模修繕を実施することが従来よりも容易になった。
具体的には、2002年12月11日に区分所有法第17条が次のように改正・公布された。
(改正後の17条の要旨):共用部分の変更は4分の3以上の賛成で可決する。ただし「形状や効用が著しく変化しない場合」には、過半数の賛成で可決する。
つまり大規模修繕は、マンションの形状や効用を著しく変化させるものではなく、マンションの効用を維持するためのものであるので、過半数の賛成で実施できることになるのである。
なお上記の区分所有法第17条の改正は、公布日から6ヵ月以内に施行される予定である。
長期修繕計画
長期修繕計画は、一般的に10年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の大規模修繕をどの時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するものである。
平成11年度の建設省(現・国土交通省)の「マンション総合調査」によると、これらの大規模修繕のうち新築後5〜6年で実施率が高まるのが鉄部等塗装工事である。
また新築後9〜10年では外壁塗装工事と屋上防水工事の実施率が高まり、給水管工事・排水管工事は新築後15年以降に実施率が上昇する。
ただしマンションの建築・設備の仕様によってこれらの時期は大きく変化する。
長期修繕計画ではこうした大規模修繕の実施時期を定めるだけでなく、その費用についても収支計画を定めるのが望ましい。
大規模修繕の費用は原則として「修繕積立金」をとり崩すことでまかなわれる。またマンションの管理規約により「駐車場収入の剰余金」が「修繕積立金」に組み入れられる場合も多い。
しかしこれらの収入だけでは大規模修繕の費用をまかなうのに十分ではないケースが非常に多いので、各大規模修繕の実施時期において、費用の不足分を各戸から一時金として徴収することも計画に組み込んでおく必要がある。
このように長期修繕計画は、分譲マンションの管理運営上非常に重要な事項であるので、通常は管理規約において長期修繕計画の作成を管理組合に義務付けている場合が多い。
ちなみに、国土交通省が作成した管理規約のモデルである中高層共同住宅標準管理規約では、次のような旨の規定をもうけて、長期修繕計画の位置付けを明確化している。
1)長期修繕計画の作成は、管理組合の業務である(単棟型規約第31条)
2)管理組合の理事会は、長期修繕計画の案を作成する(単棟型規約第52条)
3)長期修繕計画を作成するには、集会の決議を行なう必要がある(単棟型規約第46条)
4)修繕積立金は、一定年数の経過ごとに計画的に行なう修繕などに限って支出することができる(単棟型規約第27条)
集会(区分所有法における〜)
区分所有建物では、区分所有者は管理組合の構成員となる。この区分所有者の全員が参加する意思決定機関が「集会」である。一般的には「管理組合総会」「管理組合集会」「総会」とも呼ばれるが、区分所有法では「集会」という名称を使用している。
区分所有法では、「管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない」と定めている(同法第34条第1項・第2項)。ここでいう管理者とは通常は、管理組合の理事長のことである。また年に1回以上定期的に開催される集会は、一般的には「通常総会」と呼ばれている。
この他に、特定の議案を審議するために区分所有者の一定数以上の請求により臨時的に集会を開催することも可能であり、こうした集会は「臨時総会」と呼ばれている(区分所有法第34条第3項から第5項)。
集会を開催する場合、管理者(理事長)は、開催日より1週間以上前に、開催日時・開催場所・議案の概要を各区分所有者に通知する必要がある(区分所有法第35条)。ただし区分所有者全員が同意した場合に限り、こうした招集手続を省略することも可能である(区分所有法第36条)。
集会が開催されると、原則として管理者(理事長)が議長となり、あらかじめ通知された議案が審議される。議案を議決する方法としては、普通決議と特別決議がある。
区分所有者は集会に自ら出席して、議案を審議するのが原則であるが、出席できない場合には、書面によって議決を行なうことができ、また代理人を選任して代理人を出席させることも可能である(区分所有法第39条第2項)。
書面による場合には、あらかじめ各議案についての賛成・反対の意見を表明した書面(議決権行使書という)を、管理者(理事長)に提出しておく。また代理人を選任する場合には、その代理人を選任したことを証明するための書面(委任状)を管理者(理事長)に提出する。
集会の議事の内容については、議長が議事録を作成しなければならない(区分所有法第42条)。この議事録は管理者(理事長)が保管し、関係者の請求があった時、管理者はいつでもこの議事録を閲覧させる必要がある(区分所有法第42条・第33条)。
このように集会は、区分所有者の最高の意思決定機関であるが、日常的な管理組合の運営については集会の下部機関として管理規約にもとづき「理事会」が組織されており、さまざまな業務を執行している。
区分所有者数
この区分所有者は管理組合を結成し、集会において管理規約を議決し、同じく集会においてさまざまな議案を議決することができる。
このように集会で議決を行なう場合には、通常の案件は普通決議で議決し、特別の案件は特別決議で議決することになるが、どちらの議決方法においても、「区分所有者数」のうちの一定以上の賛成が必要である。
ここでいう「区分所有者数」とは、次のような方法で求めた数である。
1)1人が1つの専有部分を1人で所有しているときは、「1」と数える
2)1人が2つの専有部分を1人で所有しているときは、「1」と数える
3)2人が1つの専有部分を共有しているときは、「1」と数える
例えばある分譲マンションに4つの専有部分があり、それぞれに1号室、2号室、3号室、4号室という名称がついており、1号室はAさんの所有、2号室と3号室はBさんの所有、4号室は夫婦(CさんとDさん)の共有であったとする。
このとき区分所有者数は、Aさんで「1」、Bさんで「1」、CさんとDさんの夫婦で「1」と数えるので、区分所有者数はぜんぶで「3」となる。
議決権
ここでいう「議決権」とは、原則として各区分所有者の専有部分の割合を指している(区分所有法第38条)。
例えば、ある区分所有建物の専有部分の面積の合計が1,000平方メートルの場合に、ある区分所有者の専有部分の面積が70平方メートルであるならば、その区分所有者の議決権は「1,000分の70」となるのが原則である(区分所有法第38条・第14条第1項)。
ただし管理規約の定めによって、これとは異なる割合で、議決権を定めることも可能である(区分所有法第38条)。
区分所有法
正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」と言う。「マンション法」と呼ばれることもある。
区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高い。
このため昭和37年に民法の特別法として区分所有法が制定された。これにより、専有部分・共用部分・建物の敷地に関する権利関係の明確化が図られ、規約・集会に関する法制度が整備された。
その後、分譲マンションが急速に普及したことに伴って、分譲マンションの管理運営に関するトラブルが生じたり、不動産登記事務が煩雑になるなどの問題点が生じたので、昭和58年に区分所有法が大幅に改正された。
このときの改正点は、区分所有者が当然に管理組合を構成すること、集会での多数決主義の導入、建替え制度の導入、敷地利用権と専有部分の一体化などであった。
その後、平成7年の阪神淡路大震災により、被災マンションの建替えが問題となり、また老朽化したマンションの建替えや大規模修繕を円滑に行なうための法制度の不備が指摘されるようになった。
こうした点に対応するため、平成14年12月11日に区分所有法が改正・公布された(施行日は公布日から6ヵ月以内)。この改正により、建替えや大規模修繕の法律上の要件が緩和されることとなった。