最終更新日:2008/10/29
隠れたる瑕疵
かくれたるかし「瑕疵」とは「きず」「不具合」「欠陥」という意味である。
「隠れたる瑕疵」とは、特定物(新築住宅・中古住宅・土地など)の売買契約を締結した時点において、買主が知らなかった瑕疵であり、かつ買主が通常要求されるような注意力を働かせたにもかかわらず発見できなかった瑕疵のことである。
例えば中古住宅の売買において、屋根の一部に欠陥があったため、引渡し後に雨漏りが発生したとする。
この場合、屋根の欠陥が「瑕疵」に該当する。
そして買主が売買契約当時にこの欠陥があることを知らず、かつ買主が通常要求されるような注意力を働かせても、この欠陥を発見することができなかったであろう場合には、この欠陥は「隠れたる瑕疵」に該当すると言える。
民法(第570条)では、特定物の売買契約において、その特定物に「隠れたる瑕疵」があったとき、売主は買主に対して「瑕疵担保責任」を負うものと規定している。
このため、隠れたる瑕疵があるとき、買主は売主に対して原則的に、損害賠償などの請求をすることができる(民法第570条)。
瑕疵担保責任
特定物の売買契約において、その特定物に「隠れたる瑕疵(かし)」があったとき、売り主は買い主に対して損害賠償等の責任を負う場合がある。
このように売り主が買い主に対して負うべき損害賠償等の責任を「瑕疵担保責任」と呼んでいる(民法第570条)。
「特定物」とは、取引当事者がその物の個性に着目して取引するような物のことであり、具体的には、美術品、中古車、不動産(土地・新築建物・中古建物)などのことである。
また「隠れたる瑕疵」とは、買い主が取引において一般的に必要とされる程度の注意をしても発見できないような、物の品質・性能に関する「欠陥」のことである。
例えば、中古住宅の売買において、売買契約後に中古住宅に雨漏りが発生し、その原因が売買契約当時に存在した屋根の欠陥であるならば、売り主は買い主に対して「瑕疵担保責任」を負うこととなる。
このような売り主が負うべき「瑕疵担保責任」の具体的な内容は次のとおりである。
a)買い主は売り主に損害賠償を請求することができる(民法第570条)。
b)瑕疵の程度が、売買契約の目的を達成できないほどに重大であるときは、買い主は売買契約を解除できる(民法第570条)。
c)瑕疵担保責任を追及できる期間は、民法上には特に定めがない。例えば契約書において「中古住宅を買主に引き渡した日から1年間だけ売り主は瑕疵担保責任を負う」と定めることも民法上は可能である。
d)損害賠償請求や契約解除ができる期間は「買い主が瑕疵の存在を知った時から1年以内」に制限されている(これを「権利行使期間」という)。
なお、宅地建物取引業法や住宅品質確保法では、上記c)について特別な規制を設けている。(詳しくは「瑕疵担保責任(宅地建物取引業法における〜)」「売り主の瑕疵担保責任(品確法における〜)」へ)
2)建築請負契約における瑕疵担保責任
特定物の売買契約だけでなく、建築物などの建築請負契約についても、民法では請負人の「瑕疵担保責任」を定めて、注文者を保護している(民法第634条から第640条まで)。
この民法における請負人の「瑕疵担保責任」の具体的内容は次のとおりである。
a)建築請負工事の注文者は、請負人に対して建築物の欠陥についての損害賠償を請求することができる(民法第634条第2項)。
b)建築請負工事の注文者は、請負人に対して建築物の欠陥を補修する工事を行なうよう請求することができる(民法第634条第1項)。
c)瑕疵担保責任を追及できる期間は、民法第638条により「コンクリート造などの建築物では引き渡しから10年、木造などの建築物では引き渡しから5年」と定められているが、この10年・5年の瑕疵担保責任期間は契約により短縮できる。そのため実際の建築請負契約書では「引き渡しから2年」とされることが多い。
d)損害賠償請求や補修工事の請求ができる期間は「注文者が瑕疵の存在を知った時から1年以内」に制限されている(民法第638条第1項)。
なお住宅品質確保法で、上記c)について特別な規制を設けて、注文者保護を強化している。(詳しくは「請負人の瑕疵担保責任(品確法における〜)」へ)
特定物の売買契約において、特定物に何らかの問題があったときに、売り主が負うべき責任を「担保責任」という(民法第561条、第563条、第565条、第566条、第567条、第570条)。
特定物とは、取引当事者がその物の個性に着目して取引するような物のことであり、具体的には美術品、中古車、不動産(土地・新築建物・中古建物)などを指す。
こうした特定物の売買では、買い主はその物の個性(長所・欠点の両方を含む)に着目して購入を決定するのであるから、仮にその物になんらかの欠点があったとしても、買い主はその欠点があることを理由に、売り主の責任を問うことはできないはずである。
しかしこれでは買い主の保護に欠けるし、売買取引の信頼性も損なわれる。
そこで法律(民法)では、担保責任の規定を設け、一定の場合には特定物の売り主に責任を負わせることとしたのである。こうした売り主の責任が「担保責任」である。
「担保責任」には具体的には次のものがある。
1)他人の所有物を売却しようとした売り主の担保責任(民法第561条・第563条)
2)物の数量が不足した場合の売り主の担保責任(民法第565条)
3)土地の上に賃借権等がある場合の売り主の担保責任(民法第566条)
4)不動産に抵当権が設定されている場合の売り主の担保責任(民法第567条)
5)物に「隠れたる瑕疵(かし)」がある場合の売り主の担保責任(民法第570条)
特に上記5)は「瑕疵担保責任」と呼ばれ、不動産の売買契約において特に重要な役割を果たしている。