最終更新日:2008/10/29
従事者
じゅうじしゃ宅地建物取引業法の規定により、宅地建物取引業者はその事務所において「従事者」の数の5分の1以上の割合で、成年の専任の宅地建物取引主任者を置く義務を負う(宅地建物取引業法第15条第1項、同法施行規則第6条の3)。
この成年の専任の宅地建物取引主任者の設置義務は、宅地建物取引業者にとって非常に重要な義務であるので、従事者の範囲は重要な意味を持っている。
この点について、国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方は次のようなガイドラインを設けている。
1) 宅地建物取引業のみを営む宅地建物取引業者の場合
代表者、役員(非常勤の役員を除く)およびすべての従業員等が「従事者」に含まれる。受付、秘書、運転手等の業務に従事する者も「従事者」に含まれる。
ただし、宅地建物の取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する者は「従事者」から除外される。
2) 他の業種を兼業している宅地建物取引業者の場合
代表者、宅地建物取引業を担当する役員(非常勤の役員および主として他の業種も担当し宅地建物取引業の業務の比重が小さい役員を除く)と、宅地建物取引業の業務に従事する者が「従事者」に含まれる。
なお、宅地建物取引業を主として営む宅地建物取引業者にあっては、全体を統括する一般管理部門の職員も「従事者」に含める。
宅地建物取引主任者
宅地建物取引主任者は一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引主任者を置かなければならない(法第15条第1項)。(詳しくは宅地建物取引主任者の設置義務へ)
宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引主任者だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引主任者ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。
ア:重要事項説明(法第35条第1項、第2項、第3項)
イ:重要事項説明書への記名・押印(法第35条第4項)
ウ:37条書面への記名・押印(法第37条第3項)
宅地建物取引主任者となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。
1)宅地建物取引主任者資格試験に合格すること
宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引主任者資格試験に合格することが必要である。なお一定の要件を満たす者については宅地建物取引主任者資格試験の一部免除の制度がある。
2)都道府県知事に登録を申請すること
この際に、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、財団法人不動産流通近代化センターが実施する「実務講習」を受講し修了することが必要である(法第18条第1項本文、施行規則第13条の15、第13条の16)。
3)都道府県知事の登録を受けること
登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である(法第18条第1項各号)。
4)宅地建物取引主任者証の交付を申請すること
宅地建物取引主任者証の交付を申請する日が宅地建物取引主任者資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある(法第22条の2第2項)。
5)宅地建物取引主任者証の交付を受けること
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引主任者証の交付を受けてはじめて正式に宅地建物取引主任者となる(法第15条第1項)。
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
従来、宅地建物取引業法の解釈・運用については、国(旧建設省)が通達・行政実例により詳細かつ統一的な基準を定めてきたが、平成12年4月1日付けで「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)が施行されたことにより、宅地建物取引業に係る事務は都道府県の自治事務等となった。
このため、平成12年4月1日をもって従来旧建設省から各都道府県に発出された宅地建物取引業法に関する通達等は一律廃止された。
しかしこれでは宅地建物取引業法の解釈・運用が国民からみて極めて分かりにくくなると考えられたので、平成12年7月25日付で建設省不動産業課(現・国土交通省総合政策局不動産業課)において「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を策定し、各都道府県に参考通知したものである。
なお宅地建物取引業法等に改正があったときは、この「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」もその都度改正され、各都道府県に参考通知されている。
宅地建物取引業者が、その事務所等に、「成年の専任の宅地建物取引主任者」を置かなければならないという義務のこと(宅地建物取引業法第15条第1項)。
(1)主任者を置くべき場所と人数
最低設置人数は、その場所の種類で異なることとされており、具体的には次のとおり。
(ア)「事務所」に設置すべき成年の専任の宅地建物取引主任者の最低設置人数は、事務所の「業務に従事する者」(以下「従事者」という)の数の5分の1以上である。
例えば事務所における従事者が11人ならば、その5分の1は2.2人であるので、成年の専任の宅地建物取引主任者を3人(またはそれ以上)置かなければならない(施行規則第6条の3による)。
なお従事者の範囲については、詳細なガイドラインが設けられている(別項目の「従事者」を参照のこと)
(イ)「事務所以外で専任の宅地建物取引主任者を置くべき場所」に設置すべき成年の専任の宅地建物取引主任者の最低設置人数は、その場所の従事者の人数に関係なく、1名以上である。
(2)置くべき主任者の要件
上述の(1)において置くべき宅地建物取引主任者は「成年」かつ「専任」でなければならないとされている。
ここで「専任」とは、国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方によれば、原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(宅地建物取引業者の通常の勤務時間を勤務することをいう)して、専ら宅地建物取引業に従事する状態を言うと解説されている。
ただし、当該事務所が宅地建物取引業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行なわれていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものと解説されている。
また「成年」とは満20歳に達したことをいうが、民法第753条により未成年でもいったん結婚すると成年に達したものとみなされる(詳しくは別項目の「成年」へ)。
(3)置くべき主任者の要件に関する特例措置
役員(個人業者の場合には業者本人)が、宅地建物取引主任者であるときは、その者が「成年の専任の宅地建物取引主任者」とみなされるという特例措置が設けられている。
従って、例えば、ある宅地建物取引業者において、18歳の役員である宅地建物取引主任者(婚姻はしていない者)がいて、主として専らある事務所の業務に従事している場合には、その役員がその事務所の「成年の専任の宅地建物取引主任者」とみなされることになる。
なおここでいう「役員」とは、取締役よりも広い範囲を指している。具体的には「役員とは、業務を執行する社員、取締役、執行役、またはこれらに準ずる者」とされている。ちなみに監査役はここでいう「役員」から除外されている。(法第15条第2項)
(4)設置義務違反の是正措置
上述の(1)の最低設置人数に違反する状態になった場合には、宅地建物取引業者は早急に是正しなければならない(法第15条第3項)。
具体的には、既存の事務所等がこの成年の専任主任者の設置義務に違反する状態となったときは、2週間以内に設置義務を満たす必要があるとされている。