最終更新日:2008/10/29
市街地開発事業
しがいちかいはつじぎょう市街地を開発または整備する事業のこと。
具体的には、都市計画法第12条に掲げられた次の6種類の事業を「市街地開発事業」と呼ぶ。
ア)都市再開発法 による「市街地再開発事業」
イ)大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法による「住宅街区整備事業」
ウ)土地区画整理法による「土地区画整理事業」
エ)新住宅市街地開発法による「新住宅市街地開発事業」
オ)首都圏の近郊整備地帯および都市開発区域の整備に関する法律による「工業団地造成事業」または近畿圏の近郊整備区域および都市開発区域の整備及び開発に関する法律による「工業団地造成事業」
カ)新都市基盤整備法 による「新都市基盤整備事業」
1)市街地開発事業の決定主体
市街地開発事業は、市街地を開発・整備する事業であり、原則として都道府県知事が主体となって都市計画として決定する。(ただし比較的小規模な「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」「土地区画整理事業」については市町村が決定する(都市計画法施行令第10条)
2)市街地開発事業を定めることができる土地
市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)においてのみ定めることができる(都市計画法第13条第1項第12号)
3)建築等の制限
市街地開発事業が都市計画として決定されると、その市街地開発事業が実行される土地(これを「市街地開発事業の施行区域」という)では、その事業の妨げになるような建築物の建築等が厳しく制限される(詳しくは市街地開発事業の施行区域内の制限へ)
4)施行予定者を定めたとき
上記エ・オ・カの市街地開発事業については、都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第12条第5項)。
「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。
また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第12条第6項)。
都市計画
具体的には都市計画とは次の1から11のことである。
1)都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2)都市再開発方針等(同法第7条の2)
3)区域区分(同法第7条)
4)地域地区(同法第8条)
5)促進区域(同法第10条の2)
6)遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7)被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8)都市施設(同法第11条)
9)市街地開発事業(同法第12条)
10)市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11)地区計画等(同法第12条の4) 注:
・上記1)から11)の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8)の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4)の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1)から11)の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。
市街化区域
市街化区域に指定されるのは、既に市街地を形成している地域や今後市街化を予定している地域である。
市街化区域の中では、12種類の用途地域が必ず定められており、きめ細かい建築規制が実行されている。
区域区分が定められていない都市計画区域
ひとつの都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することを「区域区分」(または「線引き」)と呼ぶが、この「区域区分」がされていない都市計画区域が「区域区分が定められていない都市計画区域」である。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は一般に「非線引き区域」とも呼ばれている。(かつては「未線引き区域」とも呼ばれていたが平成12年の都市計画法の改正によりこの呼称は廃止された)
1)趣旨
都市計画法第7条では、指定都市等では「区域区分」を必ず定めるよう規定しているので、「区域区分が定められていない都市計画区域」は指定都市等以外に存在している(詳しくは「区域区分」へ)。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は市街化の圧力が弱い地域であるので、土地利用に関する規制が市街化区域より緩やかであり、開発許可の規制も緩やかである。
2)土地利用の規制について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、用途地域を定めることができるが、必ず用途地域を定めるわけではない。「区域区分が定められていない都市計画区域」の内部において用途地域が定められていない部分は「非線引き白地地域」と呼ばれることがある。なおこの「非線引き白地地域」では用途制限を課す目的で「特定用途制限地域」を設けることができる。
3)都市施設等について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、都市施設のうち少なくとも「道路、公園、下水道」を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
また市街地開発事業、促進区域を定めることも可能である(都市計画法第13条第1項第13号・第8号)。
4)開発許可について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では開発許可制度が適用される。ただし開発許可を受けるべき開発の面積は「3,000平方メートル以上」とされている。ちなみに市街化区域では開発許可を受けるべき開発の面積は「1,000平方メートル以上」である。
ただし市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに、都道府県・指定都市等の規則により、開発許可を受けるべき開発の面積を「300平方メートル以上」にまで引き下げることが可能である(都市計画法施行令第19条)。
また開発許可の基準については、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに都市計画法第33条の基準(技術的基準)だけを満たせば、開発許可が与えられる。つまり区域区分が定められていない都市計画区域に対しては、都市計画法第34条の基準(市街化調整区域の開発許可の基準)は適用されない。
市街地開発事業の施行区域内の制限
1)趣旨
都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により市街地開発事業の都市計画が正式に効力を生ずると、その市街地開発事業の施行区域内では、近い将来において市街地開発事業に関する工事等が実行されることとなる。
そこでこうした将来の事業の実行に対して障害となるおそれのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、市街地開発事業の施行区域では下記2から6の建築制限が適用されるのである。
(なお、都市施設の区域でも下記2)から6)と同一の建築制限が行なわれる。「都市計画施設の区域内の制限」参照)
2)建築制限のあらまし
都市計画の告示があった日以降、市街地開発事業の施行区域において、建築物を建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。
ア)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)
イ)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。
ウ)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3)へ)
エ)軽易な行為などを行う場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4へ)。
オ)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記ウ)が適用されない(下記5)へ)
カ)市街地開発事業の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6)へ)
3)建築が許可される要件
市街地開発事業の施行区域内の建築制限は、将来の事業の実行において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。
具体的には次のア)またはイ)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。
ア)都市計画に適合すること(※2)
イ)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等(※3)で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること
4)建築許可が不要とされる要件
管理行為、軽易な行為(※4)、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)。
5)事業予定地について
4種類の市街地開発事業の施行区域内の土地はすべて「事業予定地」と呼ばれる(都市計画法第55条第1項)(※5)。この事業予定地では、上記3)の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。
6)施行予定者が定められている場合について
市街地開発事業の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。