最終更新日:2008/10/29
防火構造
ぼうかこうぞう建物の外壁や軒裏について、建物の周囲で火災が発生した場合に、外壁や軒裏が延焼を抑制するために一定の防火性能を持つような構造のことである(建築基準法2条8号)。
このため、防火構造は一般に「外壁・軒裏防火構造」と呼ばれることも多い。
よく似た言葉として「耐火構造」「準耐火構造」があるが、「耐火構造」「準耐火構造」は建物内部で火災が起きた際にも、当該建物自体の倒壊や周囲への延焼を防ぐような構造を指している。
これに対して、防火構造は、建物の周囲で火災が起きたときに、当該建物が火災に巻き込まれないために必要とされる外壁や軒裏の構造のことである。
具体的には、防火構造の詳しい内容は告示(平成12年建設省告示1359号)で規定されている。例えば木造建築物の場合には、その外壁において屋外側を鉄網モルタル塗り、屋内側を石膏ボード張りとすることにより、防火構造とすることができる。
建築物を防火構造としなければならないのは次のようなケースである。
1)防火地域の一定の付属建築物
防火地域で、平屋建ての付属建築物(延べ面積が50平方メートル以下のものに限る)を建てる場合は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。しかしこの場合には、当該建築物は防火構造とする必要がある(建築基準法61条)。
2)準防火地域の地上1階または地上2階の建築物
準防火地域では、地上1階または地上2階の建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合でも、その地上1階または地上2階の建築物が木造等である場合には、外壁・軒裏を防火構造としなければならない(建築基準法62条2項)。
3)準防火地域の3階建て建築物
準防火地域では、3階建ての建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合には「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要があるとされている(建築基準法施行令136条の2)。
この「3階建て建築物の技術的基準」では、3階建て建築物の外壁と軒裏は必ず防火構造としなければならないとされている。
耐火構造
この場合の耐火性能とは、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊、および延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、各構造部分の種類や建物の階数に応じて定められる一定時間(概ね1〜3時間)の間、火熱を加えても、各構造部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。
例えば、鉄筋コンクリート構造やれんが造は、原則として耐火構造である。
準耐火構造
この場合の準耐火性能とは、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、加熱開始後各構造に応じて定められる一定の時間(概ね45分間)、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。
準耐火構造は、火災中の延焼を抑制する性能が求められるにとどまり、耐火構造のように、鎮火後に建物を再使用できるような性能までは要求されていないと理解されている。
防火地域
防火地域での建築規制は次のとおりである。
1)すべての建築物は少なくとも「準耐火建築物」としなければならない。
2)次のAまたはBの建築物は必ず「耐火建築物」としなければならない。
A)階数が3以上の建築物
B)延べ面積が100平米を超える建築物
ここで「階数が3以上」とは、地下の階数も含む。したがって防火地域内の地上2階地下1階の建物は耐火建築物とする必要がある。
延べ面積が100平方メートルちょうどであれば、上記2)には該当しないことにも注意したい。
なお、建築基準法61条では、防火地域であっても次の建築物は「準耐火建築物」としなくてもよいという緩和措置を設けている。
イ)平屋建ての付属建築物で、延べ面積が50平方メートル以下のもの。
ロ)門、塀
ただし上記イに関しては、外壁・軒裏を防火構造とし(建築基準法61条)、屋根を不燃材料でふき(建築基準法63条)、開口部に防火設備を設ける(建築基準法64条)ことが必要とされている。
準防火地域
準防火地域では建築物は次のようなものとしなければならない。
1)地上4階以上の建築物
→必ず耐火建築物とする
2)地上3階の建築物
→延べ面積によって次の3通りに分かれる。
a.延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき : 必ず耐火建築物とする
b.延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき : 少なくとも準耐火建築物とする
c.延べ面積が500平方メートル以下のとき : 少なくとも3階建て建築物の技術的基準に適合する建築物とする
3)地上1階または地上2階の建築物
→延べ面積によって次の3通りに分かれる。
a.延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき : 必ず耐火建築物とする
b.延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき : 少なくとも準耐火建築物とする
c.延べ面積が500平方メートル以下のとき : 通常の建築物でもかまわない ポイントを2つ挙げておく。
まず、最近多い地上3階建ての一般住宅は、上記2)のc.に該当するので、少なくとも「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要がある。
次に、通常の地上2階建ての一般住宅は、上記3)のc.に該当するので、原則的に特別な防火措置を講じなくてよい。ただし上記3)のc.の場合に、その建築物を木造とするためには、建築基準法62条2項の規定にもとづき外壁・軒裏を「防火構造」とする必要がある。
なお準防火区域では上記の規制のほかに、次の規制があることに留意したい。
ア)屋根の不燃化
建築物が耐火構造や準耐火構造でない場合には、その屋根は不燃材料で造り、または不燃材料でふくことが必要である(建築基準法63条)。
イ)延焼のおそれのある開口部の防火措置
建築物が耐火構造や準耐火構造でない場合には、外壁の開口部(すなわち玄関や窓)で延焼を招く可能性のある部分に、防火戸など防火設備を設けなくてはならない(建築基準法64条)。
3階建て建築物の技術的基準
この準防火地域では、地上3階建ての建築物であって、延べ面積が500平方メートル以下のものを建築するときには、その建築物は少なくとも「3階建て建築物の技術的基準」に適合する建築物としなければならない(建築基準法第62条第1項)。
この「3階建て建築物の技術的基準」は建築基準法施行令第136条の2に規定されている。
この基準によれば、地上3階建て建築物の外壁と軒裏は必ず防火構造とし、屋根は不燃材料でふき、外壁の開口部に防火戸をつける必要がある。また木造の柱・梁は一定以上の太さとするか又は石膏ボードなどで覆うことが必要となっている。
従ってこの基準に適合した地上3階建て建築物は、準耐火建築物そのものではないが、準耐火建築物に近い準耐火性能を有していると言うことができる。