このページを印刷する

最終更新日:2020/9/10

土壌汚染状況調査

どじょうおせんちょうさ

土壌について、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の物質(特定有害物質)による汚染状況を把握するための調査。土壌汚染対策法に基づいて実施される。

土壌汚染状況調査には、実施が必要な場合に応じて次の3種類がある。

1)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地の調査
2)土壌汚染の恐れがある土地の形質の変更が行なわれる場合の調査
3)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査

土壌ガス調査土壌溶出量調査土壌含有量調査で構成されるが、その方法は、調査の目的、調査する特定有害物質の性質などに応じて基準が定められている。また、実施主体は土地所有者等で、調査の実施は指定調査機関が担当する。

-- 本文のリンク用語の解説 --

土壌汚染対策法

土壌汚染の状況を把握し、その汚染による健康被害を防止するための法律。2002(平成14)年に制定された。その後、09(平成21)年にさらなる課題への対応のために、17(平成29)年に土壌汚染リスクの管理を適切に実施するために、それぞれ改正されている。 土壌汚染対策法で定められている主な内容は次のとおりである。 1)土壌汚染状況調査の実施
次の3種類の調査を定め、その実施を義務付ける。
i)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査
ii)土壌汚染の恐れがある土地の形質の変更が行われる場合の調査
iii)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査 2)区域の指定と措置の義務づけ
土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合に次の2種類の区域を指定し、それぞれの区域について必要な措置を定める。
(1)要措置区域
土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。
(2)形質変更時要届出区域
土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画を届け出なければならない。 3)汚染土壌の搬出等に関する規制
i)要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土壌の搬出における事前届出、計画の変更命令、運搬基準の遵守
ii)汚染土壌に係る管理票の交付及び保存の義務
iii)汚染土壌の処理業の許可制度 なお、土壌汚染の発生を防ぐための対策は、土壌汚染対策法のほか、水質汚濁防止法による有害物質を含む汚水等の地下浸透防止措置、廃棄物の処理および清掃に関する法律による有害物質を含む廃棄物の適正処分措置などによって対応が図られている。また、ダイオキシン類による汚染対策については、ダイオキシン類対策特別措置法によって別途の措置が定められている。

特定有害物質(土壌汚染対策法の〜)

土壌汚染対策法において、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の物質のこと。 なお、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法において土壌汚染対策が定められているので、土壌汚染対策法の特定有害物質からは除外されている。 土壌汚染対策法では、特定有害物質を使用する特定の施設(「有害物質使用特定施設」という)の使用を廃止したとき、土地所有者等に対して土壌汚染状況調査の実施を義務付けている。 特定有害物質はその性質により次の3種類に区分されている。 1)第一種特定有害物質
 トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの12種類の揮発性有機化合物
2)第二種特定有害物質
 鉛、砒素などの9種類の重金属等
3)第三種特定有害物質
 有機リン化合物などの5種類の農薬等

土壌汚染対策法

土壌汚染の状況を把握し、その汚染による健康被害を防止するための法律。2002(平成14)年に制定された。その後、09(平成21)年にさらなる課題への対応のために、17(平成29)年に土壌汚染リスクの管理を適切に実施するために、それぞれ改正されている。 土壌汚染対策法で定められている主な内容は次のとおりである。 1)土壌汚染状況調査の実施
次の3種類の調査を定め、その実施を義務付ける。
i)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査
ii)土壌汚染の恐れがある土地の形質の変更が行われる場合の調査
iii)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査 2)区域の指定と措置の義務づけ
土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合に次の2種類の区域を指定し、それぞれの区域について必要な措置を定める。
(1)要措置区域
土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。
(2)形質変更時要届出区域
土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画を届け出なければならない。 3)汚染土壌の搬出等に関する規制
i)要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土壌の搬出における事前届出、計画の変更命令、運搬基準の遵守
ii)汚染土壌に係る管理票の交付及び保存の義務
iii)汚染土壌の処理業の許可制度 なお、土壌汚染の発生を防ぐための対策は、土壌汚染対策法のほか、水質汚濁防止法による有害物質を含む汚水等の地下浸透防止措置、廃棄物の処理および清掃に関する法律による有害物質を含む廃棄物の適正処分措置などによって対応が図られている。また、ダイオキシン類による汚染対策については、ダイオキシン類対策特別措置法によって別途の措置が定められている。

有害物質使用特定施設

土壌汚染対策法によって指定された特定有害物質を製造、使用または処理する施設。これに該当するのは、水質汚濁防止法において設置の届け出、排水規制などの対象となっている施設(特定施設)であって、土壌汚染対策法において人の健康に係る被害を生ずる恐れがあるとして指定された物質(特定有害物質)を製造し、使用し、または処理する施設である。 有害物質使用特定施設の使用が廃止された場合には、その施設に係る工場または事業場の敷地の所有者等は、敷地について土壌汚染状況調査を実施しなければならない。 従って、工場等の跡地を利用する際には、従前立地していた工場等が有害物質使用特定施設に該当するかどうかを確認する必要があるほか、該当する場合には、施設廃止時の土地所有者等は、土壌汚染状況調査を実施する必要がある。  

土壌ガス調査

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の方法の一つ 土壌汚染状況調査では、まず調査対象地について、調査実施主体(土地所有者等)が容易に入手できる範囲内で入手した情報に基づいて、特定有害物質の過去の使用状況等を把握する。 その次に、特定有害物質の濃度を測定するために、特定有害物質の種類に応じて、土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている。 このうち土壌ガス調査は、トリクロロエチレン等の全部で12種類の揮発性有機化合物(第一種特定有害物質)が存在する可能性がある事例において、それらの物質の濃度を測定する調査である。調査は具体的にはおおよそ次の手順で実施される。
1.地表からおおむね80〜100cmの地中において土壌ガスを採取し、第一種特定有害物質の量を測定する。
2.土壌ガス中に一定濃度以上の第一種特定有害物質が検出された場合には、土壌汚染が存在する恐れが最も多いと認められる地点において、深さ10mまでの土壌をボーリングにより採取し、土壌溶出量を測定するという追加調査の実施が必要となる(同施行規則第7条)。

土壌溶出量調査

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の方法の一つ。 土壌汚染状況調査では、まず調査対象地について、調査実施主体(土地所有者等)が容易に入手できる範囲内で入手した情報に基づいて、特定有害物質の過去の使用状況等を把握する。 その次に、特定有害物質の濃度を測定するために、特定有害物質の種類に応じて、土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている。 このうち土壌溶出量調査は、特定有害物質のいずれかが存在する可能性がある事例において、それらの物質の濃度を測定する調査である。 具体的にはおおよそ次の手順で実施される。
1.地表から5cmの土壌と地表から5〜50cmまでの土壌を採取し、2種類の土壌を混合する。
2.第二種および第三種特定有害物質の量を測定する。

土壌含有量調査

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の方法の一つ。 土壌汚染状況調査では、まず調査対象地について、調査実施主体(土地所有者等)が容易に入手できる範囲内で入手した情報に基づいて、特定有害物質の過去の使用状況等を把握する。 その次に、特定有害物質の濃度を測定するために、特定有害物質の種類に応じて、土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている。 このうち土壌含有量調査は、鉛等の9種類の重金属等(第二種特定有害物質)が存在する可能性がある事例において、それらの物質の濃度を測定する調査である。 具体的にはおおよそ次の手順で実施される。
1.地表から5cmの土壌と地表から5〜50cmまでの土壌を採取し、2種類の土壌を混合する。
2.第二種特定有害物質の量を測定する。

土壌汚染状況調査の実施主体

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査を実施しなければならない者。通常は土地の所有者であるが、土地の管理および使用収益の実態等から、土地の掘削等を行なうために必要な権原を有する者が所有者ではなく管理者または占有者である場合には、当該者が実施義務を負うことになる 調査義務を負うのは、土壌汚染対策法に基づいて調査義務が発生した時点での土地所有者等である。また、調査の実務は、環境大臣または都道府県知事の指定を受けた者が、土地の所有者等の依頼を受けて行なうこととなる。 調査義務を負った実施主体が調査を実施しない場合には、都道府県知事が行政代執行法に基づいて調査を実施し、調査費用を実施主体に負担させることとなる。また、健康被害が生ずる恐れのある土地の調査に関しては、所有権の帰属に争いがある等の調査を命令すべき者を確定することができない場合で、かつ調査を行なわないで放置することが著しく公益に反する場合には、都道府県知事がその土地所有者等に代わって調査を行ない、その土地所有者等に費用を負担させることができるとされている。

指定調査機関(土壌汚染対策法の〜)

土壌汚染状況調査を行なうことのできる者として指定された組織。二以上の都道府県の区域において土壌汚染状況調査等を行なう場合には環境大臣が、一の都道府県の区域において土壌汚染状況調査等を行なう場合には都道府県知事が指定する。 指定は5年ごとに更新される。また、指定調査機関は、技術管理者の設置義務、他の者に対する監督義務、業務規程の制定などが課せられている。
-- 関連用語 --
土壌汚染状況調査の実施主体

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査を実施しなければならない者。通常は土地の所有者であるが、土地の管理および使用収益の実態等から、土地の掘削等を行なうために必要な権原を有する者が所有者ではなく管理者または占有者である場合には、当該者が実施義務を負うことになる 調査義務を負うのは、土壌汚染対策法に基づいて調査義務が発生した時点での土地所有者等である。また、調査の実務は、環境大臣または都道府県知事の指定を受けた者が、土地の所有者等の依頼を受けて行なうこととなる。 調査義務を負った実施主体が調査を実施しない場合には、都道府県知事が行政代執行法に基づいて調査を実施し、調査費用を実施主体に負担させることとなる。また、健康被害が生ずる恐れのある土地の調査に関しては、所有権の帰属に争いがある等の調査を命令すべき者を確定することができない場合で、かつ調査を行なわないで放置することが著しく公益に反する場合には、都道府県知事がその土地所有者等に代わって調査を行ない、その土地所有者等に費用を負担させることができるとされている。

土壌汚染調査機関

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の実施を担当する組織。環境大臣が指定する。法律上の正式名称は「指定調査機関」である。 土壌汚染調査機関として指定を受けるための要件は「土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令」に定められている。主な要件は次のとおりである。 ・経理的基礎:土壌汚染状況調査等の業務を適確かつ円滑に遂行するために必要な人員を確保する能力を有していることなど
・技術的能力:土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督に当たる技術管理者の人員が適切に配置されていること
・体制の整備:土壌汚染状況調査等の実施を依頼する者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないことなど  

土壌汚染状況調査結果報告書

土壌汚染対策法に基づき土壌汚染状況調査を行なう場合には、調査の実施主体である土地所有者等は一定の期限までに都道府県知事に対して調査結果を所定の様式に基づく報告書により報告しなければならないとされている。この報告書が「土壌汚染状況調査結果報告書」である。 その内容は、使用等されていた特定有害物質の種類、調査を行なった土壌汚染調査機関の名称などである。さらにこの報告書には土壌汚染調査機関が作成した調査結果を添付する。なおこの土壌汚染状況調査結果報告書は、土壌汚染が発見されない場合でも都道府県知事に提出しなければならない。 土壌汚染状況調査結果報告書の提出期限は次のとおりである。 1.有害物質使用特定施設に係る土地の調査の場合:有害物質使用特定施設の使用廃止から120日以内
2.健康被害が生ずる恐れのある土地の調査の場合:都道府県知事が定めた期限内  

汚染土地の指定

土壌の汚染状態が基準に適合していない土地として指定すること。土壌汚染対策法に基づく措置で、土壌汚染状況調査の結果によって都道府県知事が指定する。指定は公示され、台帳に記載して公衆の閲覧に供される。 指定される汚染土地には、次の二つの種類がある。 (1)要措置区域
土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。 (2)形質変更時要届出区域
土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行なわれた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画の届け出が必要である。

汚染土地の指定台帳

汚染土地として指定された区域の所在地、土壌汚染の状況等を記載した台帳。土壌汚染対策法に基づき、都道府県知事が調製する。  汚染土地として指定される区域は、汚染の除去等の措置が必要な「要措置区域」と、汚染の除去等の措置が不要な「形質変更時要届出区域」との二つの種類に分かれているが、指定台帳は、この区域の種類ごとに別々に調製される。 台帳に記載される主な事項は、次のとおりである。
1. 指定された年月日
2. 区域の所在地
3. 区域の概況
4. 区域内の土壌の汚染状態(基準に適合していない特定有害物質の種類等)
5. 土壌汚染状況調査の実施方法、実施した指定調査機関等
6. 要措置区域における地下水汚染の有無
7. 形質変更時要届出区域における汚染の除去等の措置
8. 自然由来特例区域、埋立地特例区域、埋立地管理区域、臨海部特例区域にあってはその旨
9. 関係図面 また、汚染土地の指定が解除された場合には、指定台帳からその記載を削除し、「解除台帳」に記載して措置内容及び解除された旨を記録することとされている。

汚染土地の土地の形質変更

形質変更時要届出区域(土壌の汚染状態が基準に適合していない土地であって、健康被害が生じる恐れがないため汚染の除去等の措置が不要な区域)に指定された土地について、宅地造成等の土地の形質を変更する行為を行なうこと。この行為を行なおうとするときには、行為に着手する日の14日前までに都道府県知事に届け出なければならない。この場合、その行為によって土壌汚染を拡散させる恐れがある場合には、都道府県知事はその工事の計画を変更することを命令することができる また、要措置区域(土壌汚染の除去等の措置が必要な区域)に指定された土地については、実施措置が実施され要措置区域の区域指定が解除されない限りは、原則として土地の形質の変更を行なってはならないとされている。

土壌汚染の除去等の措置

土壌汚染対策法に基づき指定された要措置区域において講じなければならない措置。特定有害物質による汚染の除去、汚染の拡散の防止その他の措置であって、汚染による人の健康に係る被害を防止するために実施する 土壌汚染の除去等の措置には、都道府県知事が指示する「指示措置」および土地所有者等が独自に実施する「指示措置と同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置」がある。 これらの措置は、汚染物質の種類および基準適合の状況に応じてその方法を選択することとなる。「土壌汚染対策法ガイドライン」(環境省)によれば、その概要は図のとおりである。 (注)環境省「土壌汚染対策法ガイドライン」第1編412頁より