このページを印刷する

最終更新日:2017/12/8

公開空地

こうかいくうち

1971(昭和46)年に創設された総合設計制度に基づいて、ビルやマンションの敷地に設けられた一般公衆が自由に出入りできる空間のことを「公開空地」と呼ぶ。

総合設計制度は、正式には「敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例」という名称である(建築基準法第59条の2)。これは、建築物の敷地内に一定以上の公開空地を有する等の条件を満たす建築物について、容積率や各種の高さ制限特定行政庁が緩和するという制度である。
言い換えれば、容積率等をボーナスとして与えることにより、開発者に公開空地を作るように促すという制度であるということができる。

この総合設計制度により作られた公開空地は、一般公衆が自由に通行できる空間でなければならず、通路や植栽を整備した快適な空間とすることが多い。

-- 本文のリンク用語の解説 --

総合設計制度

建築物の敷地に「公開空地」(一般公衆が自由に出入りできる空地)を設ける開発者に対して、特定行政庁の許可により容積率等を緩和するという制度である。
正式名称は「敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例」である(建築基準法第59条の2)。

総合設計制度とは、建築物の敷地に一定以上の広さの「公開空地」を設ける場合において、容積率および各種の高さ制限(道路高さ制限・隣地高さ制限・北側高さ制限・絶対高さの制限)が特定行政庁の許可の範囲内において緩和されるという制度である。
容積率および各種の高さ制限を緩和するためには、特定行政庁が建築審査会の同意を得て、許可をすることが必要とされている(建築基準法第59条の2)。

特定行政庁が許可を与える基準や、容積率および各種の高さ制限を緩和する範囲については、各地方自治体が「総合設計制度許可要綱」を制定し、自治体ごとに独自の判断基準が設けられている。

また国では、自治体の総合設計制度許可要綱について一定のガイドラインを設けている(昭和61年12月27日付建設省住街発第94号、平成7年7月17日付建設省住街発第72号、平成9年6月13日付建設省住街発第75号)。

なお建築基準法では、特定行政庁の許可を受けるためには、公開空地の面積を都市計画で定められた建ぺい率による空地面積と同じかそれ以上としなければならないと規定し、また敷地面積の最低基準も定めている(建築基準法施行令第136条第1項・第3項)。

敷地

建築物のある土地のことを「敷地」という。 なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。
例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。 ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。 1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可)
2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。
3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。
4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。

遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。

その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。

これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備

上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

容積率

延べ面積を敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。

建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。

高さ制限

建物の高さの限度をいう。 いくつかの種類があるが、大きくは、建物全体の高さの制限と、相隣関係などによる斜めの線による制限(斜線制限)に分かれる。

建物全体の高さの制限には、都市計画で定められた、1.低層住居専用地域における高さの限度、2.高度地区における高さの最高限度または最低限度がある。

斜線制限には、1.道路高さ制限、2.隣地高さ制限、3.北側高さ制限、4.日影規制がある。詳しくは「斜線制限」参照。

その適用の有無や具体的な数値などは、用途地域等に応じて異なるため、個々の都市計画等に照らして確認しなければならない。

特定行政庁

建築基準行政において、建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長を、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。

人口が25万人以上の市の市長は原則として特定行政庁であるほか、それ以外の市町村長も建築主事を置くことによって特定行政庁となる。

建築主事は建築確認等の業務を行なうが、違反建築物に対する措置等は特定行政庁の業務とされている。