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最終更新日:2019/4/3

繰越控除(不動産譲渡所得に係る〜)

くりこしこうじょ

所得税の課税に当たって、不動産の譲渡によって生じた損失(譲渡損失)について、損失発生以降の複数年にわたって所得控除できる制度をいう。所得金額の計算は各年ごとに独立で行なうという原則の例外である。

具体的には、所有期間が5年を超える居住用財産の譲渡損失について、次の2つの場合に、当該年度における損益通算後の損失額を翌年以降3年間、所得から控除することができることとされている。

1. 居住用財産の買い換えのときに発生した損失であって、売却相手先が親族等ではないこと、買い換え資産に係る住宅ローン残高があることなど、一定の要件を満たす場合
2. 居住用財産を譲渡するときに発生した損失であって、譲渡資産に係る住宅ローン残高があることなど一定の要件を満たす場合(当該資産に係る住宅ローン残高から譲渡金額を控除した額を限度とする)

なお、この措置については、適用期限が定められているので注意が必要である。

-- 本文のリンク用語の解説 --

譲渡損失

不動産を譲渡したことによって発生した損失をいう。 譲渡金額が、当該不動産の取得金額から建物の減価償却費および取引諸経費を減じた額よりも小さい場合に発生する。

居住用財産について譲渡損失が発生した場合には、一定の要件を満たせば、所得税の課税に当たって繰越控除が認められる。

所得控除

所得税の計算において、所得から差し引くことができるさまざまな控除のこと。

所得控除には、社会保険料控除、生命保険料控除、損害保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除、医療費控除などがある。 給与所得者の場合には次の計算によって課税総所得金額が計算される。
「給与収入 − 給与所得控除 − 所得控除 = 課税総所得金額」

この課税総所得金額に所得税率を掛けることにより、所得税額が算出される。

損益通算

不動産所得において赤字が発生した場合は、給与所得の黒字や事業所得の黒字から、不動産所得の赤字を控除することができる(所得税法69条)。
このようにある種類の所得の赤字を、他の種類の所得の黒字から差し引くことを「損益通算」と呼んでいる。

住宅ローン

個人に対する住宅資金の融資をいう。 主として民間の金融機関が担っているが、その円滑な実施などのため、(独)住宅金融支援機構(住宅金融公庫の廃止後、その機能の一部を引き継いだ組織)と連携することが多い。また、年金基金、共済組合などが融資する場合もある。

融資の期間、利率(固定金利か変動金利かを含めて)などの条件は、金融機関によって異なるほか、借入者の属性や状況等、金融機関との取引の状況に応じて多様である。その選択のために、借入と償還をさまざまにシュミレーションできるサービスも提供されている。

住宅ローンの実施に際しては、通常、融資対象となる住宅に担保権が設定されるほか、連帯保証人を求められることが多い。また、住宅販売会社が提携金融機関の融資を斡旋する場合もある(提携住宅ローン)。

なお、住宅ローンの負担軽減のための税制上の優遇措置(住宅ローン減税)があるほか、住宅ローン債権がSPCなどに譲渡され証券化される例も増えてきている。