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最終更新日:2017/12/8

マルティプル・リスティング(Multiple Listing)

まるてぃぷる・りすてぃんぐ

不動産取引の仲介人が、顧客からの注文情報等を他の仲介人と共有する仕組みをいう。

売買・賃貸借の注文を受けた仲介人は、注文物件の登録等により仲介人グループ内で情報をプールし、グループ内の他の仲介人が取引の相手方を発見・紹介するという手法である。

この仕組みにより、迅速で広範な取引が円滑に実現するとされる。同時に、仲介人グループは、共通の倫理規定を遵守するなどによって取引の秩序を維持する役割を果たす。

広告との違いは、仲介人という専門化集団が情報を共有して共同で取引の成立に努力することであり、不動産流通において市場機能を充実・発展させるための仕組みとしての役割を果たしている。

もともとNAR(全米リアルター協会)において形成・活用されてきた仕組みであるが、その考え方は日本にも導入され、1980年代後半に「流通機構」として整備されてきた。それが発展したのが指定流通機構である。

-- 本文のリンク用語の解説 --

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

仲介

不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つ。
「媒介」と同意。

賃貸借

ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。 賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる(従って双務契約である)。

民法では、あらゆる賃貸借契約について、 1.契約期間は最長でも50年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない 等と規定している。

しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、 1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める 等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。

NAR

NATIONAL ASSOCIATION OF REALTORSの略。「全米リアルター協会」と訳される。アメリカで最大の不動産業者界団体。 設立は1908年(設立時の名称はNational Association of Real Estate Exchanges)であり、独自の倫理規定を制定し、会員の専門能力を研鑽・認定し、会員が共同で取引する仕組みを確立・運営するなどによって、アメリカの不動産業の発展に寄与している。また、情報通信技術を活用した共同仲介のシステム構築を先導してきた。

その会員は、REALTORと称することができ、その名称は登録されている会員以外は使うことができない。

指定流通機構

指定流通機構とは、宅地建物取引業者間で不動産情報を交換するために、宅地建物取引業法第50条の2の5の規定により、国土交通大臣が指定した公益法人のことである。
全国では地域ごとに次の4つの公益法人が「指定流通機構」として指定されている。 1.公益財団法人 東日本不動産流通機構
2.公益社団法人 中部圏不動産流通機構
3.公益社団法人 近畿圏不動産流通機構
4.公益社団法人 西日本不動産流通機構