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最終更新日:2023/10/24

特定用途制限地域

とくていようとせいげんちいき

用途地域では「特別用途地区」(文教地区特別工業地区など)を設けてきめ細かな建築規制を実施できるが、そもそも用途地域が定めれていないエリアでは「特別用途地区」を設けることができないという問題があった。

そこで2000(平成12)年に都市計画法が改正され、用途地域がないエリアでは、「特別用途地区」に代わるものとして「特定用途制限地域」を設けることが可能になった(都市計画法第9条第15項)。

「特定用途制限地域」を設けることができるのは次の2つのエリアである。

1.準都市計画区域の中
2.非線引きの都市計画区域の中で、用途地域がないエリア

「特定用途制限地域」では、好ましくない業種(例えばパチンコ店)の建築を禁止するというような建築規制を実施することができる。

-- 本文のリンク用語の解説 --

用途地域

建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。

用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率、建ぺい率などの建築規制が定められている。
・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」
・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域」
・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」

用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。

なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。

特別用途地区

都市計画法第8条第1項に列挙されている地域・地区の一つ。

用途地域の内部において、用途地域よりもさらにきめ細かい建築規制を実施するために設定される地区であり、市町村が指定するものである。

かつては特別用途地区の種類は、文教地区、特別工業地区、厚生地区、特別業務地区、中高層階住居専用地区、商業専用地区、小売店舗地区、事務所地区、娯楽・レクリエーション地区、観光地区、研究開発地区という11種類に限定されていたが、法改正により現在ではこれら11種類だけでなく、さまざまな特別用途地区が市町村の判断により設置することができるようになっている。

文教地区

特別用途地区の一つ。
教育施設の周囲や通学路において、教育上好ましくない業種(例えばパチンコ店や風俗店など)の進出を規制するという地区である。 市町村が指定する地区であり、建築規制の内容は市町村ごとの条例で定められる(建築基準法第49条)。

従って、文教地区の詳細を知りたい場合には、市区町村役所の建築確認担当部署に問い合わせる必要がある。

特別工業地区

特別用途地区の一つ。
もともと地元の中小工場が多いエリアについて、地元産業を振興するために定める地区である。具体的には、工場と調和しにくい事業(例えば飲食店)の進出を規制したり、工場の建設を容易にするような建築規制が実施される。 市町村が指定する地区であり、建築規制の内容は市町村ごとの条例で定められる(建築基準法第49条)。
従って、特別工業地区の詳細を知りたい場合には、市区町村役所の建築確認担当部署に問い合わせる必要がある。

都市計画法

都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。

この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。

主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。

準都市計画区域

都市計画区域外の区域において、市街化が進行すると見込まれる場合に、土地利用を規制するために設ける区域。都道府県が指定する。

1.準都市計画区域の趣旨
 都市計画区域を指定するためには一定の要件を満たすことが必要であるが、その要件を満たしていない区域であっても、将来的に市街化が見込まれる場合には、土地利用をあらかじめ規制しておくことが望ましい。その必要に応えるために、2000(平成12)年に創設されたのが「準都市計画区域」の制度である。

2.準都市計画区域の指定の要件
 次の要件のすべてを満たす場合に、指定することができる。
1)都市計画区域外の土地であること
2)相当数の住居等の建築・敷地の造成等が現に行なわれ、または行なわれると見込まれること
3)そのまま放置すれば将来における都市としての整備開発保全に支障が生ずる恐れがあること

3.準都市計画区域の指定の方法
都道府県が指定する(指定の手続きについては「準都市計画区域の指定」を参照)。

4.準都市計画区域の指定の効果
 準都市計画区域においては、次のような土地利用の規制が適用される。
1)次の地域地区を定めることができる。
「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「特定用途制限地域」「景観地区」「風致地区」「緑地保全地域」「伝統的建造物群保存地区」
2)開発許可制度が適用される。この結果、原則として開発面積が3,000平方メートルを超える宅地造成について都道府県知事(または市長)の許可が必要となる(「開発許可」を参照)。
3)建物等の新築や増改築移転(増改築移転部分の床面積が10平方メートル以内のものを除く)する場合には、事前に建築確認を受けなけらばならない。この場合には、都市計画区域内と同様の基準が適用される(「建築確認」を参照)。

都市計画区域

原則として市または町村の中心部を含み、一体的に整備・開発・保全する必要がある区域。
原則として都道府県が指定する。 1.都市計画区域の指定の要件
都市計画区域は次の2種類のケースにおいて指定される(都市計画法第5条第1項、第2項)。
1)市または一定要件を満たす町村の中心市街地を含み、自然条件、社会的条件等を勘案して一体の都市として総合的に整備開発保全する必要がある場合
2)新たに住居都市、工業都市その他都市として開発保全する必要がある区域

1)は、すでに市町村に中心市街地が形成されている場合に、その市町村の中心市街地を含んで一体的に整備・開発・保全すべき区域を「都市計画区域」として指定するものである(※1)。なお、1)の「一定要件を満たす町村」については都市計画法施行令第2条で「原則として町村の人口が1万人以上」などの要件が定められている。
2)は、新規に住居都市・工業都市などを建設する場合を指している。
(※1)都市計画区域は、必要があるときは市町村の区域を越えて指定することができる(都市計画法第5条第1項後段)。また、都市計画区域は2以上の都府県にまたがって指定することもできる。この場合には、指定権者が国土交通大臣となる(都市計画法第5条第4項)。

2.都市計画区域の指定の方法
原則として都道府県が指定する(詳しくは都市計画区域の指定へ)。

3.都市計画区域の指定の効果
都市計画区域に指定されると、必要に応じて区域区分が行なわれ(※2)、さまざまな都市計画が決定され、都市施設の整備事業や市街地開発事業が施行される。また開発許可制度が施行されるので、自由な土地造成が制限される。
(※2)区域区分とは、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分することである。ただし、区域区分はすべての都市計画区域で行なわれるわけではなく、区域区分がされていない都市計画区域も多数存在する。このような区域区分がされていない都市計画区域は「区域区分が定められていない都市計画区域」と呼ばれる。

4.準都市計画区域について
都市計画区域を指定すべき要件(上記1.の1)または2))を満たしていない土地の区域であっても、将来的に市街化が見込まれる場合には、市町村はその土地の区域を「準都市計画区域」に指定することができる。準都市計画区域では、必要に応じて用途地域などを定めることができ、開発許可制度が施行されるので、無秩序な開発を規制することが可能となる(詳しくは準都市計画区域へ)。