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最終更新日:2017/11/20

特定目的借入

とくていもくてきかりいれ

 特定目的会社は資金の借入れを行えないとする原則の例外的な借入れで、不動産等の特定資産を取得するために、取締役の決定により行う資金の借入れのこと。

 資産の流動化に関する基本的な計画(資産流動化計画)で借入れの限度額を定め、適格機関投資家である銀行等から借入れることが条件となる(資産流動化法210条)。

-- 関連用語 --
特定目的会社

 資産を取得・保有し、その資産を裏付けにした証券を発行して資金を集めることを目的として設立された法人のこと(資産流動化法16条以下)。不動産の流動化・証券化の核となる組織で、一定の税制上の優遇措置が与えられている。実態の無い器(ビークル)であるため、特定資産の管理・処分の業務は信託会社等に信託しなければならない。ただし、特定資産が不動産である場合は、財産的基礎等を有する者(不動産業者等)に委託することができる(同法200条)。事業終了後には解散する。

特定目的会社の業務は、資産流動化計画に基づいた特定資産の流動化に制限され、原則として他業務を行うことは禁止されている(同法195条)。なお、特定資産は不動産、指名金銭信託、これらの信託受益権に制限されていたが、平成12年の法改正で広く財産権一般に拡大された。

また、特定目的会社のことを一般的にSPC(Specific Purpose Company)ということが多いが、資産流動化法に基づかないで株式会社や有限会社形態による特別目的会社を設立して流動化する方法もあり、これらについてもSPC(特別目的会社:Special Purpose Company)と表記することもある。ただし、特定目的会社については、資産流動化法上の特定目的会社以外に、商号中に特定目的会社の文字を用いてはならないとしている(同法15条)。なお、特定目的会社と特別目的会社を区別するために特定目的会社をTMK(Tokutei Mokuteki Kaisha)と表記することもある。

特定資産(不動産証券化の)

 不動産証券化において、資産流動化法及び投信法で主たる投資対象として規定され運用される資産のこと。

 資産流動化法においては、特定資産の範囲を原則として限定していない(ただし、組合契約の出資持分及び金銭の信託受益権は除く)。

 一方、投信法では特定資産とされるものを次のとおり限定している。
 (1)有価証券、(2)不動産、(3)不動産の賃借権、(4)地上権、(5)金銭債権、(6)約束手形、(7)信託受益権(金銭、有価証券、金銭債権、不動産、土地の賃借権及び地上権)、(8)匿名組合出資持分、(9)金銭の信託受益権であって信託財産を主として匿名組合出資持分に対する投資として運用することを目的とするもの(投信法2条)。

資産流動化計画

 特定目的会社による資産の流動化に関する基本的な事項を定めた計画のこと(資産流動化法2条4項)。

 資産流動化計画には資産の流動化に関する計画期間、資産対応証券の総口数の最高限度、特定資産の内容・取得の時期及び譲渡人、特定資産の管理及び処分の方法等の事項を記載しなければならない(同法5条)。

 特定目的会社は業務開始前に、資産流動化計画について、あらかじめすべての特定社員(特定出資をした出資者)の承認を受けなければならない(同法6条)。

 資産流動化計画は、特定目的会社が資産の流動化に係る業務を行うときに内閣総理大臣に届け出る際に添付される(同法4条)。また、資産流動化計画を変更するには、社員総会の決議によらなければならない(同法151条)。