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最終更新日:2017/11/20

支払配当損金算入(投資法人等の)

しはらいはいとうそんきんさんにゅう(とうしほうじんとうの)

 投資法人等が受けることのできる税務上の特例で、投資法人等が配当可能所得の90%を超えて配分する等の一定要件を満たせば、配当を税額計算上の損金に算入でき、配当部分には法人税が課税されない制度のこと。

 配当せず留保した所得については、原則どおり法人税が課税される。同様に支払配当損金算入が認められるものとして、特定目的会社、特定目的信託、特定投資信託があげられる。

-- 関連用語 --
特定目的会社

 資産を取得・保有し、その資産を裏付けにした証券を発行して資金を集めることを目的として設立された法人のこと(資産流動化法16条以下)。不動産の流動化・証券化の核となる組織で、一定の税制上の優遇措置が与えられている。実態の無い器(ビークル)であるため、特定資産の管理・処分の業務は信託会社等に信託しなければならない。ただし、特定資産が不動産である場合は、財産的基礎等を有する者(不動産業者等)に委託することができる(同法200条)。事業終了後には解散する。

特定目的会社の業務は、資産流動化計画に基づいた特定資産の流動化に制限され、原則として他業務を行うことは禁止されている(同法195条)。なお、特定資産は不動産、指名金銭信託、これらの信託受益権に制限されていたが、平成12年の法改正で広く財産権一般に拡大された。

また、特定目的会社のことを一般的にSPC(Specific Purpose Company)ということが多いが、資産流動化法に基づかないで株式会社や有限会社形態による特別目的会社を設立して流動化する方法もあり、これらについてもSPC(特別目的会社:Special Purpose Company)と表記することもある。ただし、特定目的会社については、資産流動化法上の特定目的会社以外に、商号中に特定目的会社の文字を用いてはならないとしている(同法15条)。なお、特定目的会社と特別目的会社を区別するために特定目的会社をTMK(Tokutei Mokuteki Kaisha)と表記することもある。

投資信託制度と投資法人制度

投資家から集めた資金を主に不動産に投資する不動産投資信託に関して、投信法が規定する二つの制度のこと。

投資信託制度は契約型投資信託とも呼ばれ、「委託者指図型投資信託」と「委託者非指図型投資信託」の2種類に分類される。投資信託委託業者の指図に基づいて、信託財産を不動産等の特定資産に対する投資として受託者が運用する制度を「委託者指図型投資信託」、複数の委託者との間に締結する信託契約により受け入れた金銭を委託者の指図に基づかずに受託者が不動産等の特定資産に対する投資として運用する制度を「委託者非指図型投資信託」という。

投資法人制度は会社型投資信託とも呼ばれ、投資者が資産運用を目的として設立された社団である「投資法人」に出資した金銭を、投資法人から委託を受けた投資信託委託業者が主として不動産等の特定資産に対する投資として運用する制度をいう。

特定目的信託

 信託の委託者兼受益者となるオリジネーター(原資産所有者)が取得する信託受益権を分割し、複数の投資家に取得させ、資産の流動化を図ることを目的とする信託。特定目的信託に係る信託契約は信託会社等を受託者とするものでなければ締結できない(資産流動化法223条)。

SPT(Special (Specific)Purpose Trust)ともいい、エス・ピー・ティと読む。

特定目的信託を受託しようとする信託銀行は、あらかじめ内閣総理大臣(金融庁に委託)に届け出なければならない。

特定投資信託

投資信託のうち、証券投資信託及び公募国内投資信託(受益証券が公募により主として国内において募集される投資信託)以外のものを税法上の特定投資信託という。

旧投信法では、投資信託は、原則として、受益者または委託者に法人税または所得税が課税され、受託者に法人税が課税されることはなかったが、旧投信法の改正により、特定投資信託という概念が新たに導入され、これに該当するものは原則として受託者たる内国法人に対して法人税が課税されるようになった。

ただし、分配可能所得の90%を超えて金銭を分配する等の一定要件を満たせば、その分配額を損金に算入できる。