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最終更新日:2018/4/5

担保物権

たんぽぶっけん

債権を保全するために設定される物権のこと。担保物権は約定担保物権と法定担保物権に分類することができる。

約定担保物権は、債務者の信用を創出するために、当事者の合意によって設定される担保物権であり、抵当権質権がある。
法定担保物権は、政策的な必要性から、一定の事情がある場合に法律上当然に成立する担保物権であり、先取特権留置権がある。

またこのほかに、民法第二編には規定されていない約定担保物権があり、変則担保と呼ばれている。具体的には、譲渡担保仮登記担保買戻再売買の予約、所有権留保である。

-- 本文のリンク用語の解説 --

債権

私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。

財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。

抵当権

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。 債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。

質権

債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を専有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するという担保物権のこと(民法第342条)。 なお、債権者が債務の弁済としてその物の所有権を取得するという方法を取ること(これを流質契約「りゅうしちけいやく」という)などは民法第349条により原則的に禁止されている。ただし質屋営業法ではこの流質契約を認めている。
質権は質権が設定される対象により、動産質、不動産質、権利質に分類される。 しかし動産を質に取ることは現在でも質屋で広く行なわれているが、不動産を質に取ることは現代ではほとんどあり得ない。従って不動産の実務上で重要なのは、権利に対する質権である。

例えば、金融機関が不動産所有者に融資をする場合には、不動産所有者が火災保険に加入し、その火災保険金の請求権について金融機関が質権を設定するのが一般的な慣行である。
つまり、万一不動産が火災にあった場合には、金融機関はこの質権を実行し、火災保険金から融資の優先返済を受けるということである。

先取特権

法律で定められた特殊な債権について、債務者の財産または特定の動産・不動産から優先的に弁済を受けることのできる権利をいう。この権利は、担保物権として強い保護を受ける。

例えば、雇人の最後の6ヵ月分の給料は、雇主の総財産に対して、不動産の賃貸借関係から生じた賃借人の債務は、賃借地、建物の動産、土地の果実に対して、請負人等がした不動産工事の費用や不動産売買の対価およびその利息は、その不動産に対して、それぞれ優先弁済の権利があるとされている。 ただし、他の先取特権との競合関係の際の順位が法律で定められているので、注意が必要である。

留置権

ある人が他人の物を占有していて、しかもその物に関係する債権を有しているときは、その人はその物を、その債権の弁済を受けるまでは債権の担保とするために、占有しつづけることができる。
この権利を「留置権」という(民法第295条)。

譲渡担保

債務者(または物上保証人)の所有する物(動産でも不動産でもよい)を、債務者(または物上保証人)が債権者に譲渡し、債務を全額弁済すると同時に債務者(または物上保証人)が債権者からその物を買い戻すという制度である。 担保に入っている期間中は、債権者(すなわち物の所有者)が、その物を債務者に賃貸するという点に最大の特徴がある。この意味で譲渡担保とは、買戻または再売買の予約に、賃貸借を組み合わせた制度であるということができる。 譲渡担保においては債務が弁済されないときは、債権者(すなわち物の所有者)はその物を確定的に所有できることとなる。その場合、債務の金額を物の価額が超える場合には、債権者はその超過部分を債務者に返還する必要があり、この債権者の義務を清算義務という。清算義務は判例により確立したものである(昭和46年3月25日最高裁判決など)。

仮登記担保

金銭債権を返済できない場合には、物を債権者に売却する(または物をもって弁済に代える)ことを債務者が約束し、そのことを仮登記しておくことを仮登記担保という。

例えば、登記の原因を「代物弁済予約」とし、登記の目的を「所有権移転請求権仮登記」として、仮登記を行ない、これによって金銭債権を担保するということである。

このような仮登記担保は、金銭債権が弁済されない場合に、債権者が物の所有権を取得することから、債権者の暴利行為を助長する恐れがある。そこで、1979(昭和54)年4月1日に仮登記担保法が施行され、金銭債務の額を物の価額が超える場合には、債権者はその超過部分を債務者に返還する必要があるとされた。こうして現在では、債権者の暴利行為が法律上禁止されている(仮登記担保法第3条)。

買戻

債務者(または物上保証人)の所有する不動産を、債務者(または物上保証人)が債権者に譲渡し、債務を全額弁済すると同時に債務者(または物上保証人)が債権者からその不動産を買い戻すという制度である。

民法では売買の特約としてこの買戻を規定しているが、実際上は不動産を担保に入れて金銭を得るための手段である(民法第579条)。この買戻を登記する場合には、最初の売買における所有権移転登記に、買戻特約の附記登記を行なう。

この民法上の買戻には次のような条件を満たすことが必要とされている。 1.売買契約と同時に買戻の特約をすること
2.買主(つまり債権者)が不動産を占有するので、その不動産の使用収益による利益を買主が取得する反面、買主(債権者)は売主(債務者)から利息を取ることはできないこと
3.買戻の代金は、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)及び契約の費用と同額であること

このように民法上の買戻は厳格な要件が定められているため、実際にはこれよりも要件が緩やかな再売買の予約が利用されることが多い。

再売買の予約

いったんAからBへ売却された物を、再びBからAへ売却することを予約すること。

具体的には、ある物をAからBへ売却する時点(第1売買の時点)において、「将来その物をBからAへ売却すること(第2売買)を事前に合意する」という予約を結んでおくのである。こうすることによって第1売買の売主であるAは、将来その物を取り返すことが可能となる。

再売買の予約は、融資に用いられることが多い。
例えばBがAに2,000万円を融資するとする。融資の担保がA所有の土地(2,000万円相当)であるとする。このとき次のような形で再売買の予約を用いる。
まずAがBに対して、この土地を売る(第1売買)。これによりAは2,000万円を得る(これが金を借りたことに該当する)。そして第1売買の際に「将来AがBに2,000万円を交付するならばBがその土地をAに再び売却する(第2売買)」という予約を結んでおく。

このように第1売買における買主Bは、土地の所有者となり、同時にBがAに2,000万円を交付する。これは見方を変えれば、Bが土地を担保にとって、Aに2,000万円を貸し付けた、と見ることができる。また予約(Aが土地を取り戻すという予約)に関しては、Aは予約完結権を仮登記することができるとされている。