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信託法

しんたくほう

信託法は、大正11年(1922年)に制定されて以来、80年以上に亘り実質的な改正はなされなかったが、近年において、新たな投資・金融スキームとしての信託ニーズの高まり、不動産証券化等の流れの中で信託法見直しの必要性が高まった。

政府は平成16年9月に法制審議会に信託法の見直しを諮問、平成18年2月「信託法改正要綱」としての答申を受けて、同年12月の臨時国会で信託法案として成立、同年12月15日に公布された(公布から1年6ヶ月以内に施行予定。)。

改正信託法の主な内容は次のとおりである。

(1)受託者の義務、受益者の権利等に関する規定の整備。
 (a)忠実義務に関する規定の合理化→受託者の利益と受益者の利益とが形式的
に相反する行為を許容する(例:受託者が信託財産であるビルのテナント
になること)。
 (b)自己執行義務に関する規定の合理化→信託の目的に照らして相当であるときは、受託者が第三者に信託事務の処理を委託することを許容する。
 (c)受益者に受託者の行為差止請求権を認める→受託者の任務違反行為の事前防止を可能にする。 
 (d)受益者が複数の信託における意思決定方法の合理化→多数決による意思決定を可能にする。
 (e)信託監督人制度の創設→受益者が高齢のため受託者を十分に監督出来ない場合に対応するため、信託監督人を選任して受託者を監督させることを可能にする。
(2)信託の多様な利用形態に対応するための新たな制度の導入。
 (a)自己信託→委託者が自ら受託者となる信託。自己信託はその特質から、委託者の債権者を害する目的で行われるなどの問題も含んでおり、その防止策(債権者による信託財産に対する強制執行、確定日付のある公正証書、裁判所による信託の終了命令。)も講じられている。
 (b)受益証券発行信託→受益権の有価証券化を一般的に許容。受益証券の譲渡により当該受益証券の占有者が受益権を有するものとされる。
 (c)限定責任信託→受託者の履行責任の範囲が信託財産に限定される信託。
 (d)目的信託→受益者の定めのない信託。濫用的な利用に対する防止策として、
受託者に対する監視・監督権限の委託者への付与、信託の存続期間を20 年以内に限定、裁判所による信託の終了命令がある。

なお、信託業法については、改正信託法の制定に先立って、平成16年12月に抜本的な改正が行われている。

出典 不動産適正取引推進機構

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