最終更新日:2017/12/8
長期修繕計画
ちょうきしゅうぜんけいかく分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、管理組合が作成する分譲マンションの長期的な修繕計画のことである。
長期修繕計画は、一般的に10年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の大規模修繕をどの時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するものである。
1999(平成11)年度の建設省(現・国土交通省)の「マンション総合調査」によると、これらの大規模修繕のうち新築後5〜6年で実施率が高まるのが鉄部等塗装工事である。
また新築後9〜10年では外壁塗装工事と屋上防水工事の実施率が高まり、給水管工事・排水管工事は新築後15年以降に実施率が上昇する。
ただしマンションの建築・設備の仕様によってこれらの時期は大きく変化する。
長期修繕計画ではこうした大規模修繕の実施時期を定めるだけでなく、その費用についても収支計画を定めるのが望ましい。
大規模修繕の費用は原則として「修繕積立金」をとり崩すことで賄われる。また、マンションの管理規約により「駐車場収入の剰余金」が「修繕積立金」に組み入れられる場合も多い。
しかしこれらの収入だけでは大規模修繕の費用をまかなうのに十分ではないケースが非常に多いので、各大規模修繕の実施時期において、費用の不足分を各戸から一時金として徴収することも計画に組み込んでおく必要がある。
このように長期修繕計画は、分譲マンションの管理運営上非常に重要な事項であるので、通常は管理規約において長期修繕計画の作成を管理組合に義務付けている場合が多い。
ちなみに、国土交通省が作成した管理規約のモデルである中高層共同住宅標準管理規約では、次のような旨の規定を設けて、長期修繕計画の位置付けを明確化している。
1.長期修繕計画の作成は、管理組合の業務である(単棟型規約第31条)。
2.管理組合の理事会は、長期修繕計画の案を作成する(単棟型規約第52条)。
3.長期修繕計画を作成するには、集会の決議を行なう必要がある(単棟型規約第46条)。
4.修繕積立金は、一定年数の経過ごとに計画的に行なう修繕などに限って支出することができる(単棟型規約第27条)。
管理組合
区分所有建物においては、区分所有者は区分所有法により、当然にこの「管理組合」に加入することとされているので、区分所有者の任意で管理組合から脱退することはできない(区分所有法第3条)。
このような管理組合は、集会(いわゆる管理組合の総会)を開き、管理に関するさまざまな事項を議決し、管理規約を定める。
また管理組合の通常業務を執行するために、管理規約にもとづいて複数の理事が選出され、この理事によって構成される理事会が業務を行なう。
また管理組合は、法人になることができる。法人になった管理組合は「管理組合法人」と呼ばれる。
外壁塗装
外壁塗装は、塗った塗料そのものが劣化するため、適時に再塗装する必要がある。この場合、塗装対象の確定(外壁以外にベランダ床、雨どいなどを含めるかどうか等)、塗料の選択(下地に適しているか等)などによく注意しなければならない。
屋上防水工事
屋上防水の方法には、大きく、
1)防水塗料を塗る方法(塗膜防水):ウレタン防水、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)防水
2)防水シートを貼る方法(シート防水):ゴムシート防水、塩化ビニールシート防水
3)アスファルトを含んだ不燃布等を重ね合わせて接着する方法(アスファルト防水)
がある。防水方法は、屋根の形状や施工条件に応じて選択する。
大規模修繕
具体的には、鉄部塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の修繕工事を指している。
これらの修繕工事を適切に行なうためには、分譲マンションの管理組合が「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を積み立て、大規模修繕を実施することが不可欠である(修繕工事の実施時期・費用等について詳しくは長期修繕計画へ)。
なお、大規模修繕を実施するためには、管理組合の集会で大規模修繕の実施を可決しなければならない。一般に、大規模修繕はマンションの形状や効用の著しい変化を伴わないため、区分所有者数の過半数かつ議決権の過半数の賛成で可決される。
建築
修繕積立金
区分所有者は、管理組合に対して、通常、管理費と特別修繕費を納入するが、この特別修繕費を毎月積み立てたものが「修繕積立金」である。
この修繕積立金は、管理費と混同しないように、管理費とは別に経理することが管理規約において定められていることが多い。
管理規約(区分所有法による〜)
2.共用部分の範囲
3.敷地・付属施設・共用部分に関する各区分所有者の持つ共有持分の割合
4.専用使用権の範囲
5.敷地利用権と専有部分の分離処分の可否
6.使用細則(使用に関する詳細な規則)の設定
7.集会、管理組合、理事会、会計等に関する事項 なお、管理規約は集会で設定されるべきものであるが、マンション分譲業者が最初にマンションの全部を所有している場合には、次の事項に限っては、公正証書で定めることによって、集会を経ずに管理規約を設定することができるとされている。
1.規約共用部分
2.規約敷地
3.専有部分と敷地利用権の分離処分の可否
4.敷地利用権の共有持分の割合
中高層共同住宅標準管理規約
(詳しくはマンション標準管理規約へ)
理事会(マンション管理組合の)
マンションのような区分所有建物においては、その管理のために、区分所有者が組合を組織することが通例である(その組織された組合をマンション管理組合と呼ぶ)。そして、規約において、理事会を置いて、管理組合の業務を執行することが多い。
理事会は、一般的に、区分所有者の中から選出された数名の理事によって構成される。理事会の業務は、管理組合の規約や区分所有者の集会で定められるが、例えば、収支の予算や事業計画の案の作成、長期修繕計画案の策定などに当たる。
なお、通常、理事の中から選出される理事長は、規約によって建物の区分所有等に関する法律に定められた区分所有建物の管理者として選出されたこととされ、その職務に当たることとなる。また、管理組合が法人である場合には、理事の設置は法令上の義務である。
集会(区分所有法における〜)
区分所有建物では、区分所有者は管理組合の構成員となる。この区分所有者の全員が参加する意思決定機関が「集会」である。一般的には「管理組合総会」「管理組合集会」「総会」とも呼ばれるが、区分所有法では「集会」という名称を使用している。
区分所有法では、「管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない」と定めている(区分所有法第34条第1項・第2項)。ここでいう管理者とは通常は、管理組合の理事長のことである。また年に1回以上定期的に開催される集会は、一般的には「通常総会」と呼ばれている。
このほかに、特定の議案を審議するために区分所有者の一定数以上の請求により臨時的に集会を開催することも可能であり、こうした集会は「臨時総会」と呼ばれている(区分所有法第34条第3項から第5項)。
集会を開催する場合、管理者(理事長)は、開催日より1週間以上前に、開催日時・開催場所・議案の概要を各区分所有者に通知する必要がある(区分所有法第35条)。ただし区分所有者全員が同意した場合に限り、こうした招集手続きを省略することも可能である(区分所有法第36条)。
集会が開催されると、原則として管理者(理事長)が議長となり、あらかじめ通知された議案が審議される。議案を議決する方法としては、普通決議と特別決議がある。
区分所有者は集会に自ら出席して、議案を審議するのが原則であるが、出席できない場合には、書面によって議決を行なうことができ、また代理人を選任して代理人を出席させることも可能である(区分所有法第39条第2項)。
書面による場合には、あらかじめ各議案についての賛成・反対の意見を表明した書面(議決権行使書という)を、管理者(理事長)に提出しておく。また代理人を選任する場合には、その代理人を選任したことを証明するための書面(委任状)を管理者(理事長)に提出する。
集会の議事の内容については、議長が議事録を作成しなければならない(区分所有法第42条)。この議事録は管理者(理事長)が保管し、関係者の請求があったとき、管理者はいつでもこの議事録を閲覧させる必要がある(区分所有法第42条・第33条)。
このように集会は、区分所有者の最高の意思決定機関であるが、日常的な管理組合の運営については集会の下部機関として管理規約にもとづき「理事会」が組織されており、さまざまな業務を執行している。
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