棟換気(換気棟)
とうかんき(かんきとう)
屋根の頂部である「棟」に通気口等を設け、換気に利用する方法、またはその一連の仕組みやそのための部材・設備一式を指す。
屋根裏は温度変化が激しく、湿気もこもりやすい。また、暖気は上に集中するので、温度、湿度の高い空気が滞留する。屋根裏を換気することは、家全体の換気を良くし、冷房効率を維持するなど快適性を保つとともに、湿気を逃がすことで結露やカビの発生を防ぎ、耐久性を維持向上させるという利点がある。
屋根に通気口・換気口を設けるため、雨漏り対策・雨仕舞の施工が特に重要である。
屋根
建物の上部に設ける覆い。屋根は、雨露、風雪、寒暑を防ぐために設けられ、建築構造の一部となる。
屋根の形には、二つの面が棟で山型に合わさる「切妻屋根」、山型の二面とその両端を斜めに切る二面で構成する「寄棟屋根」、傾斜した四つの面が頂点で合わさる「方形屋根(ほうぎょうやね)」、一つの傾斜面の「片流れ屋根」、水平面の「陸屋根(ろくやね)」、切妻屋根の両端に傾斜面を付加した「入母屋屋根(いりもややね)」などがある。
屋根材としては、粘土瓦、セメント瓦(プレスセメント瓦、コンクリート瓦)、スレート(化粧スレート、天然スレート)、金属(銅、トタン、ガルバリウム鋼板等)が用いられるほか、陸屋根の屋根材には、アスファルト、モルタル、防水シート等の防水材が使用される。また、古民家のなかには茅や藁を用いるものもある。
なお、屋根を仕上げることを「葺く」といい、屋根を「瓦葺」「スレート葺」「茅葺」などに分ける場合もある。
棟木
屋根の最高部に、桁と平行に配される部材をいう。
「むねき」「むねぎ」とも。
これを組むことで建物の骨組みが完成するので、その際に「上棟式」(その主催者は棟梁である)を行なって工事の無事完了を祈る慣習がある。
換気
建築基準法によれば、住宅の居室には、換気のために、窓その他の開口部を設けなければならない(建築基準法第28条2項)。
この住宅の換気のための開口部の面積は、居室の床面積の20分の1以上でなければならないとされている。
ふすま、障子などの常時開放できるもので仕切られた2つ以上の居室は、1つの居室とみなすこととされている(建築基準法第28条4項)。従って、1つの居室には必ず1つの窓が必要というわけではなく、障子で仕切られた2つの居室について1つの窓でもよいということになる。
なお、換気のための換気設備を有効に設けた場合には、上記のような広さの窓などを設ける必要はなくなる(建築基準法第28条2項但書)。
結露
空気の温度を徐々に下げていくと、ある温度で空気中の水蒸気が飽和状態になり、さらに下げると過飽和状態になり水滴となる。これを結露という。
住宅の床・壁・天井や窓ガラスなどに結露すると(これを表面結露という)、カビや汚れの原因になる。また、断熱材や構造部材などに結露すると(これを内部結露という)、断熱性能はゼロ状態になるし、建物の耐久性を著しく低下させることになる。
換気口
換気のために設置する開口部。室内の空気を良好な状態に保つ機能を担い、外壁、窓サッシ、天井、部屋間仕切りなどに取り付けられる。住宅の換気口は自然に空気が入れ替わるものが多いが、機械等による強制換気機能を備えたものもある。
なお、建築基準では、建築物の居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積が居室の床面積に対して20分の1以上としなければならないとされている。
雨漏り
雨水が建物内に漏れること。屋根や外壁から雨水が 浸入し、天井や壁から室内に水が漏れる現象である。
雨漏りの原因は、部材の劣化、破損、ズレなどさまざまであるから、その修理に当たっては、原因に応じて修理方法を適切に選択しなければならない。
なお、水が室内に漏れる現象として、「雨漏り」のほか「漏水」があるが、漏水は水道管から水が漏れることである。
雨仕舞
建物内に雨水が浸入しないようにすること、雨漏りを生じさせないことをはじめ、より広く建築物に係る雨水対策の総体を指す。設計、施工、塗装や建材の選択に加え、例えば個々の建築物の特性や周辺環境に応じた適切な排水のための工夫など、雨水による不具合が生じないよう施される総体としての対策や配慮をまとめていう。
施工
工事を行なうこと。建築物の施工は、設計に基づいて、地盤の整備、材料の加工、構造材の組立、コンクリートの打設、設備の設置、内装などの作業を関連させながら系統的に実施される。
施工は通常、建築主が施工会社に発注するが、各種作業の実施は、施工会社がそれぞれの作業を専門とする建設会社(専門工事業者)にさらに発注するのが一般的である。
関連用語
床下換気口
木造住宅の基礎部分に設けられる換気口。建築基準法は、床下の防湿措置を義務づけているが、床下換気口の設置はその方法の一つである。この場合、換気口は少なくとも5mごとに設けなければならないとされている。
なお、床下換気口を設置する代わりに、基礎と土台の間に隙間を設けて換気する方法(基礎パッキング工法)が採用されることもある。