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最終更新日:2025/8/1

眺望地役権(観望地役権)

ちょうぼうちえきけん かんぼうちえきけん

眺望や観望を確保するために隣地または周辺に設定する地役権。具体的には、当該眺望または観望等を確保するため、一定以上の高さの建物を建築しない、などの契約を承役地側に設定することとなる。

地役権共通の性格として、合意があって設定され登記されている場合は、第三者に対抗し得る。また、登記されていれば、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明の対象となる。

眺望権そのものが必ずしも生存に不可欠の権利とまでは言えず、利用の外形や継続利用の事実の証明が困難であるところ、設定契約および登記なくして善意の第三者たる承役地の購入者等に対抗できるかは難しいと考えられる。

-- 本文のリンク用語の解説 --

眺望

遠くを見渡した眺め、あるいは見晴らしであるが、豊かな自然風景やまち並み風景など、良好な眺望は一定の社会的・経済的価値を持ち、不動産取引にとっても重要なものと考えられる。特にタワーマンションやタワーオフィスなど、高層建築物にとって眺望が大きな価値を持つため、大規模な不動産開発にとって、眺望の持つ意味はますます重要になってきている。 この眺望に、法的な利益を認められるか、眺望権として行使できるかが問題となる。 例えば日照権は、人の心身の健康に直接関わることが認められているため、建築基準法における日影規制や斜線制限で保護されているなど、法的に保護されるべき地位が確立している。それに比べると眺望権は、特別法による根拠を持たないため、仮にある土地所有者の建築行為が他者の眺望の利益を侵害したとしても、都市計画等の規制を遵守した上で行なう建築行為であれば、土地の所有権に基づく行為として優先されることになり、原則として眺望権を保護することは困難である。 しかし、その眺望の利益が社会的に認められるほどの重要性を持っていることや、眺望権の侵害が受忍限度を超えていること、眺望の利益を侵害する側に何らかの違法性がある場合等に、裁判又は事実上の対応として損害賠償請求や契約解除が可能となった事例がある。 また、眺望は、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明の対象ではないが、マンション等の不動産購入の動機のひとつでもあるため、購入後に他者の建築行為により眺望が侵害され、売主である不動産業者等とトラブルになるケースもある。事前に十分に説明しているかどうか、近い将来眺望が阻害されるような建築行為があることを業者側が知っていたかどうかなどが後に問題となり、損害賠償や売買契約の解除などが認められたこともある。  

地役権

地役権とは、他人の土地を自分の土地の利便性を高めるために利用することができるという権利である(民法第280条)。「通行地役権」などがある。

承役地

地役権とは、自分の土地の利便性を高めるために、他人の土地を利用することができるという権利のことである(民法第280条)。
この地役権が設定されている場合において、利用される他人の土地のことを承役地という。

例えばA氏が、自分の所有地から公道に出るために、B氏の所有する土地を通行しようとして、B氏の所有地の一部について通行地役権を取得し、通行路を作ったとする。
このときB氏の所有地は、通行路の開設によってA氏の土地の利便性を高めるために利用されているので、B氏の所有地は「承役地」である。

宅地建物取引業法

宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。

この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。

重要事項説明

宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。 また、その際に、説明の内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書という。

重要事項説明を必要とするのは、宅地建物取引業者が自ら売主として取引する場合、および不動産取引を代理・媒介する場合であり、その説明は、売買契約や賃貸借契約を締結するよりも前に行なわなければならない。また、説明に当たるのは宅地建物取引士でなければならず、さらには、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要がある(相手方の同意を得たうえで電磁的方法で書面を交付し、IT(インターネット等)を用いた説明を行なうこともできる)。

説明を要する事項は、売買か賃貸かなどの取引内容に応じて異なるが、大きく分けて、 1.取引対象不動産の権利関係、2.取引対象不動産に係る法令上の制限、3.取引対象不動産の状態やその見込み、4.契約の条件 に関する事項とされている(詳細は必ず直接に法令(宅地建物取引業法第35条およびその関連法令)に当たって確認されたい。また、臨機に改正も予想されるので留意が必要である)。

重要事項説明は、不動産の特性や取引の形態に起因して取引当事者に不利益が発生することを防ぐための仕組みとされ、その適正な実施が強く求められている。
-- 関連用語 --
地役権

地役権とは、他人の土地を自分の土地の利便性を高めるために利用することができるという権利である(民法第280条)。「通行地役権」などがある。