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最終更新日:2025/6/4

剛構造

ごうこうぞう

地震力、風圧等の外力に対して建築物や部材が変形しにくいことを主眼に置いて設計される構造。具体的には、柱、等を太く頑丈にするほか、耐震壁、筋かい、ブレースによる補強や、それらの接合を強固にする等により、地震動に対して建築物や部材の変形を抑え、破損や倒壊を避けることを図った構造。固有周期の短い中低層の建築物や木造建築物に適しているとされる。これに対して、固有周期の長い高層・超高層建築物においては、変形することによって外力の影響を吸収することを考慮した「柔構造」の考え方に依拠した設計手法が用いられる。

-- 本文のリンク用語の解説 --

地震力

地震が構造物に対して作用する短期的な荷重。床や屋根に大きく作用する。地震による建物被害の大きな要因であって、耐震設計に当たっての重要な要素である。 地震力は、一般に、各階の床と屋根に集中して働く。その大きさは、地震時における建物の重量(固定荷重と地震用積載荷重の和)に、一定の係数(せん断力係数)を乗じて算出される。この場合、せん断力係数は、標準せん断力係数に、振動特性、力の垂直方向の分布、地域特性による補正を加えたもので、標準せん断力係数は、中程度の地震においては0.2または0.3、大規模な地震においては1.0とされている。  

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。

これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備

上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

小屋組や床組の荷重を二点支持により水平や斜めの状態で支える横材のこと。 柱などと連結して、上方からの荷重を鉛直方向に流し、地面に力を伝える重要な構造部材である。

筋かい

軸組の垂直面において、垂直材(柱)と水平材(胴差し・土台など)を対角線に沿って斜めにつなぐ材のこと。

筋かいを入れることによって、軸組が水平方向の力に対抗できるようになり、構造強度が増す。

建築基準法施行令第45条では、筋かいの基準を設けるとともに、筋かいと柱・土台等を「金物」で緊結することを義務付けている。

なお、2000(平成12)年6月1日に施行された建設省(現国土交通省)告示第1460号により、筋かい端部における仕口(筋かいと柱・土台等との接合部のこと)の接合方法が具体的に厳しく規定された。

この結果現在では、筋かい端部の接合部においては、事実上、Zマーク金物(またはそれと同等以上の性能を有する金物)の使用が義務付けられている。

固有周期

物体の振動には周期があり、これは、建築物が地震により振動する場合も同じである。周期は、物体の質量と剛性によって決まるので、ひとつひとつの建築物が、それぞれ異なる周期を有していることになる。これをその建築物の固有周期という。 建築基準法では、耐震性を確保する観点から、地震の際に建築物に作用する地震力を想定し、これに耐え得る構造を要求している。その地震力の算定に当たり、建築物の「揺れ方」を表す固有周期等の数値を基に、必要な「地震層せん断力係数」を得る。詳細な計算方法は、建築基準法施行令第88条及び昭和55年建設省告示第1793号による。  

木造

建物の主要な部分を木材とした建築構造のこと。

木造の工法は、大きく分けて「在来工法」「伝統工法」「枠組壁工法」に分類されている。

外力

建築物や構造物の躯体の外部からかかる力。
具体的には地震動、風圧、積雪による荷重など。 建築基準法施行令第83条第1項では、「建築物に作用する荷重及び外力」として、「固定荷重」「積載荷重」「積雪荷重」「風圧力」「地震力」を掲げ、さらに同条第2項で「建築物の実況に応じて、土圧、水圧、震動及び衝撃による外力を採用しなければならない」としている。荷重と外力については、ほぼ同じものであると認識されていると考えられるが、例えば、建築物自体やその部分の重量に起因すると見られる固定荷重や積載荷重については、「外力」というよりは「荷重」の方がふさわしいと考えられる。一方、建築物を構成する各材料の立場からは、外力=荷重としてほぼ同一視される。