型式適合認定制度
かたしきてきごうにんていせいど
建築材料または建築物の部分の型式(設計仕様)について、あらかじめ国土交通大臣が一定の技術基準に適合していることを認定しておくことによって、個々の建築確認・検査時の審査を簡略化し、申請者および建築主事等の負担の軽減を図るもの。
プレハブ住宅のように標準的な仕様書に基づき同一の構造方法の建築物を大量に建築する場合(工業化住宅)や、同一の型式で量産されるエレベーターのような設備などが想定される。これらの場合には、標準的な設計仕様を個々の確認申請において繰り返し使用することが多いため、型式適合認定を取得しているものについては、効率的に確認検査手続を進めることが可能となっており、建築基準法第6条の4および第7条の5において建築確認・検査の特例として規定され、同法第68条の10に基づき同法施行令および同法施行規則において内容および手続が定められている。
日本語としては「けいしき」が正しいと思われるが、住宅建築業界では「かたしき」の読みが定着している。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
建築確認
一定の建築物を建築(増改築を含む)しようとするときに、工事の着手前に、建築計画が法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準)に適合している旨の確認を受けなければならないとする制度、または当該確認行為をいう。
確認を申請する義務があるのは建築主で、確認を行なうのは建築主事等である。
建築主は、建築確認を受けた場合には確認済証の交付を受ける他、工事を完了したときには検査を受けること、一定の場合には工事の中間検査を受けることなどの義務を負う。また、建築基準に違反した建築物については、建築主、建築工事の請負人等に対して、工事施工の停止や違反を是正するための措置を命じることができる。ただし、特別な場合を除いて、従前から存在する基準に違反の建築物(既存不適格建築物)については、増改築をしない限りはそのまま使用できる。
建築確認制度において重要なのは、建築確認を受けなければならない建築物の建築工事に当たっては、その設計は建築士が当たらなければならず、また建築士である工事監理者を置かなければならないとされていることである。この条件を満たさない建築確認申請は受理されない。つまり、建築基準を確保する仕組みは、建築確認制度と建築士制度とが一体となって初めて実効あるものとなるのである。
なお、建築基準は、都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に対してはより厳しい基準が適用されるなど、建物の敷地場所、規模、構造、用途等に応じて詳細に定められているため、その内容については注意深く確認する必要がある。
建築主事
建築確認を行なう権限を持つ、地方公務員のこと。
建築主事となるには、一定の資格検定に合格しなければならない。
その後、国土交通大臣の登録を受け、知事または市町村長の任命を受けることが必要である。
都道府県には必ず建築主事が置かれる。また政令で定める人口25万人以上の市でも、建築主事が必ず置かれる。それ以外の市町村では任意で建築主事を置くことができる(建築基準法第4条)。
プレハブ住宅
現場での施工の前に、あらかじめ工場で部材の加工、組立てを行ない、それを現場で組み立てる住宅。
生産性の向上、質の均一性、精度の向上を目的とし、現場作業を軽減させることから工期も短縮できる。また、工場生産により価格が抑えられることなどの特徴がある。
エレベーター
荷物や人をかご(籠)に載せ、その箱を主に垂直方向に移動して運搬する装置。移動空間(シャフト)、かご、ワイヤーロープ、釣り合い錘り、駆動装置、調速機などで構成される。
建築物にエレベーターを設置する場合には、建築基準法に基づいて確認・完了検査が必要とされている。また一般に、高さ31m(おおむね6〜7階に相当する)以上の建築物については、エレベーターを設置しなければならない。
なお、建築基準法では、「エレベーター」「エスカレーター」「小荷物専用昇降機」を「昇降機」としている。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。