最終更新日:2025/4/9
2号物件
にごうぶっけんかつての建築基準法第20条第1項第2号及び第3号においては、高さ60m以下の建築物のうち、比較的大規模なものを第2号、中規模なものを第3号、小規模なものを第4号に区分。このうち第2号では、
・木造建築物で高さが13m、もしくは軒の高さが9mを超えるもの
・鉄骨造の建築物で地上4階建て以上のもの
・鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造で高さが20m超60m以下であるもの
等の建築物について、限界耐力計算または保有水平耐力計算等の構造計算を必要としていた。しかし、2022(令和4)年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」により建築基準法が抜本的に改正され、60m以下の建築物は、新たに「新2号物件」「新3号物件」等に規定され、規制内容が再編成されている。
建築基準法
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
建築物
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
木造
木造の工法は、大きく分けて「在来工法」「伝統工法」「枠組壁工法」に分類されている。
鉄骨構造(鉄骨造)
柱と梁を「鉄骨」で作り、壁・床に「木質系パネル」「軽量気泡コンクリートパネル」「窯業系パネル」など使用した構造のこと。
主要な構造を形成する鉄骨の種類により「軽量鉄骨構造」と「重量鉄骨構造」に分けることができる。
鉄筋コンクリート構造(鉄筋コンクリート造)
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。 この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。
鉄骨鉄筋コンクリート構造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
限界耐力計算
保有水平耐力
構造計算
建築確認申請に当たっては、構造や規模に応じて定められている一定の建物について、構造計算書を添付して、構造計算適合性の判定を受けなければならない。この場合の計算方法や、想定する加重、必要とする耐力などは、建物の構造、規模、用途等によって異なる。
なお、構造計算の適合性の確保を含めて建築物の構造をデザインする業務を構造設計と言い、建築士が責任を負うべき重要な業務のひとつとされている。耐震設計もこれに含まれる。
建築物の建築等に関する申請および確認について定めた、建築基準法第6条第1項および構造耐力について定めた第20条第1項は、2022(令和4)年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」により抜本的に改正された。これにより、高さ60m以下の建築物のうち、平屋かつ延面積200平方メートル以下の建築物以外の建築物(一定規模以上の建築物)は、構造によらず、また、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区等内であるかこれらの区域外であるかに関わらず、構造規定および省エネ基準の審査が必要になった。具体的には、木造2階建て住宅や木造の200平方メートル超の平屋建て住宅について、新制度では、構造関係規定等の図書や省エネ関連の図書が必要となる。これらの小規模な建築物は、改正前の同項第4号に該当するため、「4号物件」と呼ばれ、確認申請書の図書の一部の提出が省略可能であった(「4号特例」)が、改正法により省略は認められなくなった。 改正法は2025(令和7)年4月より施行されている。
建築物には、自重(建築物そのものの重さ)、積載荷重(人間・家具・設備の重さ)、積雪という垂直方向の力がかかり、また地震力・風圧力という水平方向の力がかかる。
これらの垂直方向・水平方向の力に対して、建築物が垂直方向の力を支え、水平方向の力による変形に対抗することができるということを「構造耐力」と呼んでいる。
また、特に水平方向の力による変形に対抗することができるということを「水平耐力」と呼んでいる。
この水平耐力を備えるように筋かいを入れ、または構造用合板などを張った壁は「耐力壁」と呼ばれている。
建築基準法では、すべての建築物が十分な構造耐力を備えるように、詳しい技術的な基準を設けている(建築基準法第20条第1項、建築基準法施行令第36条から第80条の3まで)。
また、木造3階建てなどの建築物については十分な構造耐力を持つことをチェックするために、設計段階で構造計算を行なうことを義務付けている(建築基準法第20条第1項第2号、建築基準法施行令第81条から第99条まで)。