最終更新日:2024/6/10
公営住宅
こうえいじゅうたく住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する住宅。住宅セーフティネットとしての機能を担い、公営住宅法に基づき地方公共団体が建設、買い取りまたは借り上げして、管理する。
公営住宅に入居できるのは、原則として収入分位(所得が低い順に並べたときにその所得以下の者が全体に占める割合)が25%以下の者であるが、高齢者等については収入分位が25〜40%の者も対象となる。また、家賃は、入居者の収入と立地条件や規模、経過年数等を考慮して決定され、近傍同種の家賃が上限とされる。
住宅セーフティネット
1.公的賃貸住宅の活用
2.空家等の活用による賃貸住宅供給の支援
3.情報提供や相談による円滑な入居支援
このうち、3. については、住宅セーフティネットは、地域に即して構築し、関係者が連携して運営することが有効である。このことから、そのための体制として、地方公共団体、宅地建物取引業者や賃貸住宅管理業者の団体、居住に係る支援を行なうNPOなどで構成する「居住支援協議会」を設立し、その活動によって支援の実効性を高める取り組みを進めることとなった。 しかし、住宅確保要配慮者は引き続き増加傾向にあり、公的賃貸住宅等による受容には一定の限界があることから、民間賃貸住宅の活用が一層求められる中で、民間賃貸住宅においては、(1)バリアフリー化および耐震化が遅れている、(2)住宅確保要配慮者の入居に対して賃貸人側が消極的であるという問題が一層明確になった。 上記を踏まえて、2017(平成29)年に住宅セーフティネット法が改正され、
1.地方自治体による住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画の策定
2.住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅を都道府県において登録する制度(セーフティネット登録住宅)を創設し、住宅の情報の開示、改修、入居を支援
3.都道府県による居住支援法人の指定等円滑な入居の支援
4.家賃債務保証業者について、(独)住宅金融支援機構による保険の引受け等の施策 が定められた。ほか、予算措置として、
1.国・地方自治体による賃貸住宅の改修費補助
2.家賃・家賃債務保証料の低廉化のための補助 などの施策が追加された。 さらに、2024(令和6)年の住宅セーフティネット法、高齢者住まい法、住宅金融支援機構法の改正により、
1.要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備
(終身建物賃貸借の認可手続の簡素化、居住支援法人による残置物処理、家賃債務保証業者の国土交通大臣認定等)
2.「居住サポート住宅」の認定(居住支援法人による安否確認、生活保護実施機関による家賃の代理納付の原則化等)
3.住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化 が措置された(2025(令和7)年10月施行)。
地方公共団体
高齢者、低額所得者、ひとり親世帯、子育て世帯、障がい者、被災者等の住宅の確保に特に配慮を要する者をいう。外国人やドメスティック・バイオレンス被害者等も住宅確保要配慮者である。
住居の確保は生活の基盤であるだけでなく、人権を維持する上で必須の条件でもある。住宅確保要配慮者はその条件を満たすのに困難な場合が多いことから、住宅確保のための環境を整備するべく、住宅セーフティネットを構築する政策が展開されている。
例えば、その一環として、住宅確保要配慮者に対する民間賃貸住宅の供給を促進するため、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」が制定され、住宅確保要配慮者の入居を受け入れる賃貸住宅の登録、登録した住宅の情報公開、登録住宅の改修等への支援などが推進されている。
なお、2024(令和6)年に法改正があり(25(令和7)年7月からの準備期間を経た後、同年10月より施行)、(1)大家が賃貸住宅を提供しやすく、住宅確保要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備、(2)居住支援法人等が入居中サポートを行なう賃貸住宅の供給促進、(3)住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化、が図られることとなった。
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