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最終更新日:2025/10/10

貯留機能保全区域

ちょりゅうきのうほぜんくいき

河川氾濫水や雨水を一時的に貯留し、流域の都市浸水を抑制する機能を保全するために指定された土地の区域。現に農地等として貯留機能が保全され、かつ、都市浸水が想定される土地の区域などが対象で、貯留機能保全区域に指定されると一定の行為について届出が必要となる。特定都市河川浸水被害対策法に基づく制度で、区域の指定は、土地の所有者の同意を得て、都道府県知事等が行なう。

貯留機能保全区域内の土地において、盛り土、塀の設置など氾濫水や雨水を一時的に貯留する機能を阻害する行為をしようとする者は、行為に着手する30日前までに、行為の種類、場所、設計・施行方法、着手予定日等を都道府県知事等に届け出なければならない。都道府県知事等は、都市浸水の拡大を抑制する効用を保全するため必要があると認めるときは、届出をした者に対して必要な助言または勧告をすることができる。

貯留機能保全区域の指定は、土地の所有者が変わる場合でも引き続き効力を有するため、宅地建物取引業者は、取引や取引の代理・媒介に当たって、この制限がある旨を重要事項として説明しなければならない。

-- 本文のリンク用語の解説 --

特定都市河川浸水被害対策法

都市河川の流域における浸水被害対策を定めた法律。 2004(平成16 )年に公布された。治水を、流域対策を含めて実施するための仕組みを定めていることが特徴である。 この法律で定められている主要な対策事項は次の通りである。 1.特定都市河川及び特定都市河川流域の指定  著しい浸水被害が発生し、またはその恐れがあって、通常の河川整備による浸水被害の防止が市街化の進展により困難な河川およびその流域を指定する。指定は、国土交通大臣または都道府県知事が行なう。 2.流域水害対策計画の策定  浸水被害の防止を図るための流域水害対策計画を策定する。同計画は、河川管理者、下水道管理者、都道府県知事および市町村長が共同して作成し、  1)河川管理者による雨水貯留浸透施設の整備  2)事業実施によって利益を受ける地方公共団体間の費用負担  3)条例による下水道排水設備の貯留浸透化の義務付け などについて定める。 3.雨水の流出の抑制のための規制等  1)著しい雨水の流出増をもたらす一定規模以上の行為についての都道府県知事の許可、許可に当たっての雨水貯留浸透施設の設置義務付け  2)一定規模以上の防災調整池を保全調整池として都道府県知事が指定、埋立等の行為についての都道府県知事に対する届出を義務付け  3)地方公共団体による保全調整池の所有者との承継効を有する協定の締結と当該保全調整池の管理 4.都市洪水想定区域及び都市浸水想定区域の指定等  1)都市洪水(河川の氾濫)または都市浸水(内水による溢水・湛水)により浸水が想定される区域を都市洪水想定区域・都市浸水想定区域として指定・公表  2)地下街管理者による浸水時の避難等に関する計画作成および公表の努力義務 貯留機能保全区域及び浸水被害防止区域の指定  1)浸入した水や雨水を一時的に貯留する機能を有する土地の区域を貯留機能保全区域として指定し、盛り土などの行為の届出を義務付け  2)洪水や雨水の出水によって建築物が損壊・浸水し、著しい危害が生じる恐れがあると認められる土地の区域を浸水被害防止区域として指定し、特定の開発行為について許可を得ることを義務付け

盛り土

傾斜のある土地を平らな土地にするために、土砂を盛ること。宅地造成のための工法として広く使われている。これに対し、土砂を切り取ることを「切り土」という。

盛り土は、土砂を積み上げただけでは、地盤沈下、地震時の滑動崩落(地滑り的変動)や液状化、大雨による崩落や土砂流出などが起きやすい。転圧や地盤改良工事によって、これらを防ぐ必要がある。特に、大規模盛土造成地については、変動予測調査を実施し、危険箇所の滑動崩落防止工事を進めていくことが重要である。

宅地造成工事規制区域内の土地において、i)高さ1mを超える崖を生じる盛り土、ii)高さ2mを超える崖を生じる切り土、iii)盛り土と切り土をあわせて高さ2mを超える崖を生じる造成工事、iv)面積500平方メートルを超える盛り土・切り土を同時にする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受ける必要がある(宅地造成等規制法第12条1項・同施行令5条)。ただし、都市計画法による開発許可を受けて工事する場合は、改めて宅地造成等規制法の許可を得る必要はない。

宅地建物取引業者

宅地建物取引業者とは、宅地建物取引業免許を受けて、宅地建物取引業を営む者のことである(宅地建物取引業法第2条第3号)。 宅地建物取引業者には、法人業者と個人業者がいる。
なお、宅地建物取引業を事実上営んでいる者であっても、宅地建物取引業免許を取得していない場合には、その者は宅地建物取引業者ではない(このような者は一般に「無免許業者」と呼ばれる)。