最終更新日:2025/12/26
マンションの再生等の円滑化に関する法律
まんしょんのさいせいとうのえんかつかにかんするほうりつ老朽化したマンションの建て替えを円滑に進めることを目的として、2002(平成14)年に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」として制定・公布・施行された。
マンションの建て替えや除去は、原則として区分所有法に基づいて進めるのであるが、老朽マンションの増加や、管理組合の担い手不足が進むというわが国の状況に鑑み、建て替え等を一層円滑に進めるため、合意形成や権利調整について、以下の特別の措置を定めた。
1. 法人格を持つ組合を設立して建替事業を施行する制度を創設すること(マンション建替組合)
2. 建替事業において、従前のマンションの所有権・敷地利用権・借家権を再建マンションの各権利に変換するための手続きを定めること(権利変換制度)
その後、2011年の東日本大震災の発生を踏まえ、旧耐震基準により建設されたマンションが推計約100万戸以上存在する中で、巨大地震の発生に備えるため、2014(平成26)年に改正法が成立し、以下の制度が創設・追加された。なお、この際、法律の名称が「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に改正されている。
1. 耐震性が不足していると認定されたマンション(要除却認定マンション)について、区分所有者等の4/5以上の賛成で、マンションおよびその敷地を売却する旨の決議をすることができることとし、そのための手続きを定めること(除却する必要のあるマンションに係る特別の措置)
2. 法人格を持つ組合を設立してマンション敷地を売却する事業を実施する制度を創設すること(マンション敷地売却組合・マンション敷地売却事業)
さらに、2020(令和2)年には、マンションの老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や老朽化によって維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取り組みの強化のため、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布され、以下の改正が行なわれた。
1)除却の必要性に係る認定対象に、耐震性不足のものに加え、
(1)外壁の剥落等により危害を生ずる恐れがあるマンション等
(2)バリアフリー性能が確保されていないマンション等
を加え、容積率の特例が認められるとともに、(1)については、区分所有者および議決権の4/5以上の同意によりマンション敷地売却を可能とする。
2)敷地分割が必要となる団地型マンションの敷地分割事業を円滑に推進するため、法人格を持つ組合を設立して実施する制度を創設する(敷地分割組合・敷地分割事業)
2025(令和7)年には、「建物と居住者の『2つの老い』の進行に対して、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を図ること」を目的として、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律」が制定・公布され、以下の措置が講じられるとともに、法律の題名も同年11月の施行に合わせて「マンションの再生等の円滑化に関する法律」に改められた。
1)再生の円滑化等(2026(令和8)年4月施行予定)
(1)建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等を建替えと同様に多数決決議(4/5(耐震性不足の場合3/4等))により可能とする。
(2)隣接地や底地の所有権等について建替え等の後のマンションの区分所有権に変換することを可能とする(容積率確保のための隣接地等の取込みに係る合意形成の促進)。
(3)耐震性不足等で建替え等をする場合、容積率のほか、特定行政庁の許可による高さ制限の特例を適用することを可能とする。
2)地方公共団体の取組の充実(2025(令和7)年11月施行)
(1)外壁剥落等の危険なマンションに対する報告徴収、助言指導、勧告、あっせん等
(2)合意形成等を支援する民間団体の登録制度の創設
マンション
本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。
建て替え
マンションの建て替えには、区分所有者およびその議決権の各5分の4以上の多数による決議(建替え決議)が必要である。
区分所有法
2.裁判所が認定した所在不明者をすべての決議の母数から除外するとともに、管理不全部分・共用部分等を裁判所が選任する管理人に管理させる制度が創設された。
3.建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等が、建替えと同様に多数決議(4/5(耐震不足の場合3/4等)により可能となった。
管理組合
区分所有建物においては、区分所有者は区分所有法により、当然にこの「管理組合」に加入することとされているので、区分所有者の任意で管理組合から脱退することはできない(区分所有法第3条)。
このような管理組合は、集会(いわゆる管理組合の総会)を開き、管理に関するさまざまな事項を議決し、管理規約を定める。
また管理組合の通常業務を執行するために、管理規約にもとづいて複数の理事が選出され、この理事によって構成される理事会が業務を行なう。
また管理組合は、法人になることができる。法人になった管理組合は「管理組合法人」と呼ばれる。
マンション建替組合
この組合の設立が同意されたときは、建替え決議の合意者は全員がこの組合員となる(円滑化法第16条)。また、ディベロッパーがこの組合に参加することもできる(円滑化法第17条)。
(マンション建替組合の役割について詳しくはマンション建替え円滑化法へ)
所有権
近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。
土地所有権は、法令の制限内においてその上下に及ぶとされている。その一方で、隣接する土地との関係により権利が制限・拡張されることがあり、また、都市計画などの公共の必要による制限を受ける。さらには、私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることが認められており(土地収用はその例である)、これも所有権に対する制約の一つである。
敷地利用権
従って、敷地利用権とは、区分所有者が持っている「土地の共有持分」といい換えることができる。
借家権
主要な保護措置として、 1.登記がなくても家屋の引渡しを受ければ第三者に対抗できること 2.家主の解約や契約更新拒絶には正当事由がなければならないこと 3.契約終了時の造作買取請求権が認められること 4.内縁の妻など同居者による借家権の継承が認められること などがある。
なお、定期借家権については、原則としてこのような保護の対象とはならない。
旧耐震基準
これに対して、その翌日以降に適用されている基準を「新耐震基準」という。
旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されている。技術的には、建物自重の20%の地震力を加えた場合に、構造部材に生じる応力が構造材料の許容応用力以下であるかどうかで判断される。
なお、新耐震基準は、震度6強〜7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されている。
要除却認定マンション
区分所有者
敷地
例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。 ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。 1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可)
2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。
3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。
4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。
容積率
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。
建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。
建物
底地(底付き、底なし)
底地の価格は、更地価格と地上権の価格との差であるが、理論上は、地代純収益を資本還元した価額が底地価格と等しくなる。更地価格に占める底地価格の割合は、土地の用途や地区の環境等によって異なるが、一般に、商業地よりも住宅地のほうが高いとされている。
また、借地権等の譲渡の際に、底地権を合わせて譲渡することを「底付き」、借地権等のみを譲渡することを「底なし」と呼ぶ。
区分所有権
特定行政庁
人口が25万人以上の市の市長は原則として特定行政庁であるほか、それ以外の市町村長も建築主事を置くことによって特定行政庁となる。
建築主事は建築確認等の業務を行なうが、違反建築物に対する措置等は特定行政庁の業務とされている。
高さ制限
建物全体の高さの制限には、都市計画で定められた、1.低層住居専用地域における高さの限度、2.高度地区における高さの最高限度または最低限度がある。
斜線制限には、1.道路高さ制限、2.隣地高さ制限、3.北側高さ制限、4.日影規制がある。詳しくは「斜線制限」参照。
その適用の有無や具体的な数値などは、用途地域等に応じて異なるため、個々の都市計画等に照らして確認しなければならない。
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