このページを印刷する

最終更新日:2022/1/26

書面による贈与

しょめんによるぞうよ

贈与とは、当事者の一方がある財産権を相手方に無償で移転する意思を表示し、相手方がそれを受諾する意思を表示し、双方の意思が合致することによって成立する契約である(民法第549条)。
わが国の民法では、贈与を「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分し、両者に異なった取扱いを設けている。

「書面による贈与」とは、贈与者による贈与の意思が現れた書面が存在する贈与である。書面による贈与は書面が存在する以上、もはや解除することができない。「書面によらない贈与」は、原則的にいつでも解除することができるが、履行が終わった部分については解除できないとされている(民法第550条)。

では、「書面による贈与」とは具体的にはどのようなものだろうか。判例では贈与における「書面」については、およそ次のような解釈がなされている。
まず、書面とは贈与の成立と同時に作成される必要はなく、事前や事後に作成されたものでもよい。
次に、書面には贈与を証する書面であると明記されている必要はなく、贈与の意思が現れていればよい。

また、書面は受贈者に宛てた書面である必要はなく、第三者に宛てた書面でもよいし、また自分の日記などに贈与の意思を記載したものであってもよい。

このように判例によれば、書面とは、贈与者の贈与の意思が明確にされている書面を指すのであり、その宛先や文言、作成目的、作成時期などは緩やかに解釈している。こうすることにより書面による贈与の成立を容易にし、贈与の解除は事実上難しくなっている。

-- 本文のリンク用語の解説 --

贈与

当事者の一方がある財産権を相手方に無償で移転する意思を表示し、相手方がそれを受諾する意思を表示し、双方の意思が合致することによって成立する契約のこと(民法第549条)。

贈与は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。また、贈与は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。

本来、贈与は好意・謝意などの動機で行なわれるものであるから、契約ではないとする考え方もあるが、わが国の民法では、贈与も契約であると構成したうえで、「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分し、異なった取扱いをするという方法を採用している。

「書面による贈与」とは、贈与者による贈与の意思が現れた書面が存在する贈与である。書面による贈与は書面が存在する以上、もはや解除することができない。
「書面によらない贈与」は、原則的にいつでも解除することができるが、履行が終わった部分については解除できないとされている(民法第550条)。

書面によらない贈与

贈与とは、当事者の一方がある財産権を相手方に無償で移転する意思を表示し、相手方がそれを受諾する意思を表示し、双方の意思が合致することによって成立する契約である(民法第549条)。
わが国の民法では、贈与を「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分し、両者に異なった取扱いを設けている。

「書面による贈与」とは、贈与者による贈与の意思が現れた書面が存在する贈与である。書面による贈与は書面が存在する以上、もはや解除することができない。「書面によらない贈与」は、原則的にいつでも解除することができるが、履行が終わった部分については解除できないとされている(民法第550条)。

このように、書面の存在によって取扱いが大きく異なる。しかも「書面」の範囲は広く解釈されており、できるだけ贈与の解除を認めないという解釈が一般的である(詳しくは書面による贈与へ)。

また、書面によらない贈与であっても「履行が終わった部分」はもはや解除できない。

では、「履行が終わる」とはどのような状態を指すのか。これは原則的には現実に引き渡したか、または登記名義を移転させた状態を指すが、判例ではゆるやかに解釈することがある。

受贈者

贈与契約において財産等の贈与を受ける者。 贈与が成立するためには、与える者(贈与者)の贈与する旨の意思表示だけでなく、受贈者の受諾が必要である。