最終更新日:2023/12/6
親権者
しんけんしゃ親が成年に達しない子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うことを「親権」という。
親は、子が未成年者である間は、民法の規定により「親権者」とされる(民法818条)。
親権者には次の2つの強い権限がある(民法824条)。
1.子の財産を管理する権限
2.子の財産に関する法律行為についてその子を代表する権限
この親権は原則として父母が共同して行なうこととされている(民法818条3項)。
父母が共同して親権を行なう場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない(民法第825条)。
例えば、未成年者が賃貸借契約を締結するにあたって、母が父に事情を知らせないまま、母がこの契約締結について父母共同の同意を与えたとする。
この場合、本来ならば父母が実際に共同で同意を与えない限り、その契約は取消しが可能なものとなるはずである。
しかし上記の民法第825条によって、母の同意が父母共同の同意であるとみなされるので、その結果、事情を知らなかった契約の相手方(即ち善意の貸主)は保護されることとなる。
なお死別等により親権を行なう親がいないとき(または親が親権を喪失したとき等)については、親権者の遺言または家庭裁判所の選任により、未成年後見人が置かれる。
賃貸借
民法では、あらゆる賃貸借契約について、 1.契約期間は最長でも50年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない 等と規定している。
しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、 1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める 等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。
遺言
その最大の役割は、遺産の処分について被相続人の意思を反映させることで、遺言がない場合は民法の規定に従って相続が行なわれる(法定相続)が、遺言を作成しておくと、遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができる。
また、遺贈の方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能である。ただし、それが有効であるためには、民法に定められた方法で行なわなければならない。一般的には、遺言書の全文(日付と氏名を含む)を遺言者が自筆で記述して押印する自筆証書遺言、遺言内容を公証人に確認してもらってから公正証書にする公正証書遺言、遺言内容を秘密にして公正証書にする秘密証書遺言のどれかの方法による。
また、手続きを円滑に進めるため遺言執行者を指定することができ、遺言執行者は相続人の代理人とみなされる。遺言の執行は、弁護士、司法書士、行政書士、信託会社などが手がけている。
未成年後見人
これを「未成年後見人」という。
未成年後見人は、未成年者の財産を管理し、法律行為を代表する権限を持つ(民法第859条)。
未成年者や成年被後見人を「後見」する者を「後見人」という。
後見とは、人(未成年者や成年被後見人)を保護するという意味である。
後見人は民法により次の権限を持つ(民法第859条)。
1.未成年者または成年被後見人の財産を管理する権限を持つ。
2.未成年者または成年被後見人の法律行為を代表して行なう権限を持つ。
このように後見人には財産管理権と代理権という強い権限が付与されている。
なお、未成年者の後見人は未成年後見人と呼ばれる。
また、成年被後見人の後見人は成年後見人と呼ばれる。