
保管振替制度
ほかんふりかえせいど
上場株券を証券保管振替機構に預託し、株券の受け渡しを簡略化する制度のこと。
上場株券の保管・受け渡しを合理化するために、平成3年から実施されている制度である。すべての上場株式がこの制度の適用を受けており、投資証券もこの制度の適用をうける。
この制度の仕組みは次のとおりである。
まず、投資家が証券会社で取引口座を開く。このとき投資家は証券会社との間で「保護預り契約」を結ぶのが一般的である。
次に投資家は証券取引所で株式(投資口)を購入し、株主(投資主)となる。
このとき保護預り契約に基づき、株主(投資主)は、株券(投資証券)を証券会社に預託する。この預託を証明するために、証券会社には株主(投資主)の「顧客口座簿」を備える。
さらに証券会社は、株主(投資主)から預託された株券(投資証券)を、証券保管振替機構に再預託する。このとき証券会社は振替機構に参加者口座を開き、この「参加者口座簿」に証券会社の保有する株式等の銘柄・株数が記載される。
このようにして最終的には株券(投資証券)は証券保管振替機構へと預託されるので、振替機構が一括的に管理することとなる。なおこのとき、株券(投資証券)の券面上の名義人は便宜的に「証券保管振替機構」となる。
その後、株式の売買により株主が変動した場合には、株券自体の受け渡しは行なわれず、証券会社の「顧客口座簿」と振替機構の「参加者口座簿」の記載内容だけが変更される。
このようにして口座上の振替(すなわち帳簿の記載内容の変更)だけで株券の受け渡しと同じ効果を果たすことができるのである。
なお株主(投資主)の住所変更・氏名変更については、上記の保管振替制度を利用している場合には、証券会社への届出を行なう。従って上場株式会社・上場投資法人への住所変更等の届出はする必要がない。
また株主(投資主)の権利は、上記の保管振替制度を利用したままで行使することができる。従って、保管振替制度を利用したままで、配当金(分配金)の受取や、株主総会(投資主総会)への出席をすることができる。
(この点について詳しくは実質投資主名簿へ)
また株主(投資主)は、保管振替制度の利用を任意に中止することができる。この場合には取引する証券会社を通じて、振替機構へ株券(投資証券)の引取りを請求する。
引取り後の株券(投資証券)の保管については、証券会社で保管する場合と、自分で保管する場合がありうる。
証券保管振替機構
上場株券等の保管・受け渡しを合理化するために平成3年に設立されたわが国唯一の機関。
平成16年現在で上場株券の約6割を保管している。
昭和59年11月に「株券等の保管及び振替に関する法律」が施行され、この法律に基づき、平成3年10月より「保管振替制度」が実施されている。
証券保管振替機構は、この保管振替制度に基づくわが国唯一の保管振替機関であり、わが国の公開会社の発行済株式のうち60%以上の株券を保管している。
また平成16年現在、証券保管振替機構の取扱会社数は4,000社近くにのぼり、すべての公開会社の発行する株券等が取扱い対象となっている。
証券保管振替機構の保管対象とする証券は「上場株」「店頭株」「転換社債」「転換社債型新株予約権付社債」「株価指数連動型投資信託受益証券(ETF)」「投資証券」などである。
なお証券保管振替機構の組織形態は当初は財団法人であったが、平成14年4月より株式会社に移行した。現在の正式名称は「株式会社証券保管振替機構」である。
投資証券
不動産投資信託における投資法人において、投資主であることを表す証券のこと。
普通の株式会社でいえば「株券」に相当する。
投資法人は、投資主で構成される法人である。投資主の権利は、保有する投資口に由来している。普通の株式会社でいえば、投資主は「株主」、投資口は「株式」に相当する。
このような投資主の地位(すなわち投資口の権利)を表した証券が「投資証券」と呼ばれている。
投資法人は、法人設立の際または新投資口の発行の際に、投資証券を新たに発行して、投資主に交付する。
また証券取引所で不動産投資信託を売買する場合には、不動産投資信託を購入した投資主は、以前の投資主から、既存の投資証券を受け渡されることになる。
ただし実際には、投資証券そのものの交付や受け渡しは原則として行なわれず、「証券保管振替機構」において投資証券が一括保管されることになっている。(詳しくは保管振替制度へ)
保護預り契約
証券会社が顧客の株券等を預かり管理する契約のこと。
株券は、会社法上は「株券の所持人」が「適法な所持人」とみなされる。このため、株券の盗難・紛失によって株主の権利が喪失されるおそれがあるので、株券の保管には十分な注意が必要である。
このため証券会社では、証券会社で取引口座を開いている顧客に対して、その株券を証券会社が預かるという契約を結ぶのが一般的であり、この契約を「保護預り契約」と呼んでいる。(なお不動産投資信託の投資証券もこの保護預り契約の対象となる)
この保護預り契約に基づく証券会社の株券等の保管には、「保管振替制度」と「証券会社預り」という2種類の方法がある。
「保管振替制度」とは、多数の証券会社が証券保管振替機構に株券等を預託することによって株券等を一括管理する方法である。通常、証券会社ではこの保管振替制度を顧客に利用させるのが一般的である。(詳しくは保管振替制度へ)
「証券会社預り」とは、個々の証券会社が顧客の株券等を、証券会社の保管責任において預かる制度である。(ただしこの「証券会社預り」を行なわない証券会社もある)
実質投資主名簿
不動産投資信託の投資法人において、投資主が保管振替制度を利用している場合に、証券保管振替機構からの通知に基づいて投資法人が作成する名簿のこと。
保管振替制度とは、上場株券の保管・受け渡しを合理化するために、平成3年から実施されている制度である。すべての上場株式がこの制度の適用を受けており、投資証券もこの制度の適用を受ける。
投資主がこの保管振替制度を利用している場合、投資証券の券面上の名義人は便宜的に「証券保管振替機構」とされている。
そのため、投資法人が作成する投資主名簿上では、保管振替制度適用分については、「証券保管振替機構」が便宜上の投資主とされる。
従って、実際に投資口の権利を持つ個々の投資主の住所氏名等を、投資法人が管理するには、別の名簿を作成する必要性が生じることになる。このような管理目的で作成される名簿が「実質投資主名簿」である。
この「実質投資主名簿」の作成方法は次のとおり。
まず、投資法人の規約で定める「権利確定日」までに、証券保管振替機構(および個々の投資主が取引口座を有する証券会社)が、個々の投資主の住所氏名等を、投資法人へと通知する。
次に、投資法人が、振替機構(および証券会社)から通知された個々の投資主の住所氏名等の情報をもとに「実質投資主名簿」を作成する。
このようにして作成された「実質投資主名簿」に記載された投資主は、分配金を受け取る権利を取得し、投資主総会に出席する権利を獲得する。
従って、このような実質投資主名簿の存在によって、保管振替制度を利用する投資主は、自己の投資主としての権利を確実に行使できるようになるということができる。
なお権利確定日は、各投資法人の「規約」で定められているが、通常は権利確定日とは「決算日」のことである(この点につき詳しくは「権利落ち」をご参照ください)。