
有限責任中間法人
ゆうげんせきにんちゅうかんほうじん
中間法人法にもとづいて設立された中間法人であって、中間法人の債務について社員が連帯責任を負わない法人のこと。
中間法人法は平成14年4月1日にあらたに施行された法律であり、いわゆる権利能力なき社団に該当するような非営利団体に法人格を付与することを目的とした法律である。有限責任中間法人はこの中間法人法により設立が可能とされている法人である。
有限責任中間法人は、「構成員(社員)に共通する利益を図る」ことを目的とし、構成員(社員)に利益(剰余金)を配当せず、中間法人の債務について構成員(社員)が個人財産で連帯責任を負わないという特徴がある。
有限責任中間法人の設立・運営等は次のとおり。
1)設立
有限責任中間法人を設立するには、社員になろうとする者2名以上が共同して、運営の規則である定款(ていかん)を作成し、定款または社員総会において理事と監事を選任し、社員または社員以外の者が300万円以上の基金を拠出し、金融機関で基金の保管証明を受ける必要がある。
このような手続を経た上で、主たる事務所の所在地を管轄する法務局で、設立登記を行なうことにより有限責任中間法人が成立する。
2)運営
有限責任中間法人は社員によって構成され、運営されるが、実際に業務を執行するのは理事である。理事は社員でなくともよい。
また有限責任中間法人の社員は個人である必要はなく、株式会社や社団法人が社員になることもできる。社員の数は2名以上であればよく、上限はない。法人成立後に社員の変更があれば社員名簿に記載する。
社員は有限責任中間法人が支出した経費を支払う義務を負うが、有限責任中間法人の債務を社員個人の財産で負担する必要はない(ただし社員が別途、個人保証をすることは可能である)。
なお、中間法人は「剰余金の分配を目的としない」ので、毎期発生する利益を社員に配当することはできない。
3)財務情報の開示
有限責任中間法人は、貸借対照表、損益計算書、事業報告書、剰余金処分(損失処理)案、附属明細書の作成が義務付けられており、しかもこれらの書類を5年間保管し、社員や取引先の請求があれば閲覧させなければならない(中間法人法第9条、第59条、第61条)。このように一般の会社と同等の情報開示が必要とされている。
4)税務
有限責任中間法人は、権利能力なき社団・特定非営利活動法人・非営利の社団法人などと類似した機能を営んでいるが、法人税法上は普通の会社と同等の扱いを受ける。
権利能力なき社団・特定非営利活動法人・非営利の社団法人は収益事業にのみ法人税が課税され、それ以外の事業(=公益事業など)については法人税が非課税である(なお非営利の社団法人は収益事業に軽減税率が適用される)。
これに対して、有限責任中間法人はすべての事業について一般の会社と同じ法人税率で課税される。ただし消費税については社団法人と有限責任中間法人は同じ扱いである(中間法人法第156条)。
中間法人
従来、同窓会・互助会などのような構成員の利益を図るための非営利の団体は、法律上、法人格を持つことができず、いわゆる権利能力なき社団として活動することを余儀なくされていた。このためこのような団体の活動には、第三者との取引における法律関係が不明確であることや、団体名義の不動産登記ができないなどさまざまな制約が存在している。
しかし平成14年4月1日にあらたに中間法人法が施行されたことにより、こうした権利能力なき社団であっても、「社員に共通する利益を図る」ための団体で、かつ「剰余金を分配しない」団体であれば、法務局で設立登記をすることにより、中間法人となり、法人格を取得することができるようになった。
中間法人には、中間法人の債務について社員が個人財産で連帯責任を負うという無限責任中間法人と、社員が個人責任を負わない有限責任中間法人がある。前者は合名会社、後者は有限会社に類似している。
権利能力なき社団
法人は法律の規定に従って設立される必要がある(民法第33条)が、法律の規定によらないで設立される非営利的な団体のことを「権利能力なき社団」と呼んでいる。
わが国の法制度では、法人は大きく分けて、次の3種に分類できる。
1)社団法人・財団法人(民法上の法人)
2)株式会社などの営利法人(商法等の法律による法人)
3)中小企業協同組合などの特別法にもとづく法人
それゆえ、例えば、同窓生の親睦という目的で法人を設立しようとしても、上記の1から3のいずれにも該当しないので、法人になることができなかったのである。
そのため、わが国には、法人となっていない非営利的な団体が無数に存在しているのが現状であり、こうした団体のことを「権利能力なき社団」と呼んでいるのである。
名前こそ「権利能力なき」となってはいるが、実際には法人と考えて良いような規模と資産を持っているケースも多数ある。
こうした「権利能力なき社団」は、銀行と取引し、不動産を購入・賃借するなどの活動を行う上で非常な不便を強いられているのが実情である。具体的には、権利能力なき社団は、所有する不動産を登記する場合には、代表者個人の名義の登記とするか、または総構成員の共有名義の登記にする必要がある。肩書付の代表者名義の登記は許されない(なお銀行預金については、肩書付の代表者名義の預金が認められている)。
なお、わが国では「特定非営利活動促進法」が98年12月に施行されたことにより、権利能力なき社団にも法人格を取得する道がようやく開かれたが、実際にこの法律により法人格を取得したケースはまだ少数にとどまっている。
その理由は「特定非営利活動促進法」はあくまで公衆のために便益を提供するような団体を対象にしているが、「権利能力なき社団」の圧倒的多数は、同窓会、互助会、町内会などの相互扶助目的の団体であるので、特定非営利活動促進法になじまないためであろうと考えられる。
このような実情を考慮して、法務省はつい最近になって、同窓会、互助会、町内会などに適した法人形態として、「中間法人制度」を創設した。この制度は平成14年4月1日から施行されている。
収益事業
公益法人・権利能力なき社団・特定非営利活動法人に対して法人税が課税されることとされている33種類の事業のこと。この33種類の事業は、法人税法第2条第13号(法人税法施行令第5条第1項)に規定されている。
法人税法上、公益法人、権利能力なき社団、特定非営利活動法人はこれら33種類の「収益事業」を営んでいる場合にのみ課税される扱いとなっている(また公益法人については一般の法人税率より低い軽減税率で課税されるという優遇措置が設けられている)。
従って、公益法人、権利能力なき社団、特定非営利活動法人が営む「収益事業以外の事業(公益事業など)」に対しては法人税が非課税である。
なお、これらの法人等に該当しない一般の法人(株式会社、有限会社、中間法人など)については、あらゆる収入について一般の法人税率で課税されることとなる。特に中間法人は、公益法人等に類似した事業を行なう中間法人が多いだけに、こうした法人税法上の取扱いの違いに注意が必要である。
1)収益事業の範囲
法人税が課税される収益事業は具体的には次のものである。
1.物品販売業 2.不動産販売業 3.金銭貸付業
4.物品貸付業 5.不動産貸付業 6.製造業
7通信業 8.運送業 9.倉庫業
10.請負業 11.印刷業 12.出版業
13.写真業 14.席貸業 15.旅館業
16.料理店業その他の飲食業 17.周旋業
18.代理業 19.仲立業 20.問屋業
21.鉱業 22.土石採取業 23.浴場業
24.理容業 25.美容業 26.興行業
27.遊技所業 28.遊覧所業 29.医療保険業
30.技芸の教授 31. 駐車場業 32.信用保証業
33.その他工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権の譲渡又は提供を行なう事業
2)公益法人における収益事業の取扱い
法人税法における公益法人は、宗教法人、学校法人、財団法人、非営利の社団法人などである。これら公益法人については上記33種類の収益事業に対して一律22%の税率で課税され、収益事業以外の事業(公益事業など)については法人税が課税されない。
例えば宗教法人については「宗教活動」が収益事業以外の事業であるので、法人税が非課税であり、宗教法人が運営する寺院墓地・お守りの販売・お賽銭などは原則的に課税されない。しかし宗教法人が経営する駐車場は上記1)の31に該当するので収益事業となり、22%の税率で課税される。
3)権利能力なき社団における収益事業の取扱い
同窓会、互助会などの権利能力なき社団は、法人税法上、公益法人に準じた扱いとされており、上記33種類の収益事業についてのみ課税され、収益事業以外の事業(公益事業など)については法人税が課税されない。
ただし収益事業に対する税率は普通の法人と同じである(所得金額800万円以下は22%、所得金額800万円超は30%の税率である)。
なお同窓会事業、互助会事業そのものは、法人税の課税対象外であるが、同窓会事業や互助会事業に伴って生じた手数料収入などの収入は収益事業として課税される場合がある(一例として権利能力なき社団である県職員組合が、生命保険料を職員から徴収する対価として保険会社から手数料収入を得ていたことに対し、法人税が課税された例がある)。
4)特定非営利活動法人における収益事業の取扱い
特定非営利活動法人は、上記の収益事業を営んでいる場合には、権利能力なき社団と同様に所得金額800万円以下は22%、所得金額800万円超は30%の税率(普通の法人と同じ税率)で課税される。収益事業以外の事業(公益事業)については法人税が課税されない。