時効の中断事由
じこうのちゅうだんじゆう
それまで進行してきた時効期間の効力を失わせるような事実や行為のことを「時効の中断事由」と呼ぶ。時効の中断事由が発生することにより、時効の中断が生じ、時効の進行はふりだしに戻る。このような時効の中断事由には次の3種類がある。
1)権利の主張(「請求」:民法第147条第1号)
権利の主張には「裁判上の請求」「支払督促」「和解のための呼び出し・任意出頭」「破産手続参加」「催告」がある(民法第149条から第153条)。
このうち催告(民法第153条)とは、裁判外での権利の主張を総称したもので、権利を主張する意思を相手方に通知することである。書面で通知しても口頭で通知してもよいとされている。
しかし催告は、その後6ヵ月以内に裁判上の請求・和解のための呼び出し・任意出頭・破産手続参加(または下記2)・3)の行為)をした場合にのみ、時効を中断させることができる。
例えば内容証明郵便で借金の返済を要求したとすれば、その要求自体は「催告」に該当するが、その要求から6ヵ月以内に裁判を起こすなどの行為をしなければ、債権の消滅時効をふりだしに戻すことはできない、ということである。
また支払督促(民法第150条)とは、民事訴訟法第382条以下に規定されている簡易裁判所で行なう簡易な債権回収手続のことである。仮執行宣言が付与された場合に、支払督促は時効中断の効力を生ずる(詳しくは支払督促へ)。
また裁判上の請求(民法第149条)とは、原則的に裁判を提起することである。
2)差押・仮差押・仮処分(民法第147条第2号)
債権の強制執行(差押)や債権の保全処分(仮差押・仮処分)が行なわれた場合には、時効が中断する。
3)承認(民法第147条第3号)
債権の消滅時効では、債務者が債務を承認することにより時効が中断する。この承認とは、具体的には支払猶予の要請、利息の支払い、債務の一部弁済などである。
内容証明郵便
差出人が送った手紙(書面)の写しを郵便局が保存することにより、郵便局が手紙(書面)の内容を公的に証明するという制度である(郵便法第63条)。
ただし内容証明郵便はあくまで手紙の内容を証明するだけであり、その手紙が相手方に到達したことまで証明するものではない。そのため通常は「配達証明付の速達書留内容証明郵便」として郵送するのが一般的である。
内容証明郵便を出すことができるのは、地方郵便局長が指定する郵便局に限られており、小さな郵便局では取り扱わない。
内容証明郵便を書く要領は次のとおりである。
1)紙に次の字数で文章を書く。(句読点も1字として計算する)
・縦書きの場合:1枚につき1行20字以内、1枚26行以内(520字以内)
・横書きの場合:1枚につき1行26字以内、1枚20行以内(520字以内)
2)使用できる文字は原則としてひらがな、カタカナ、漢字、および数字である。アルファベットは、氏名、会社名、地名、商品名などの固有名詞だけに使うことができる。また一般的に使用されている記号は使うことができる。
3)紙の大きさや種類は自由である。B5、A4、B4、コピー用紙、ワープロ用紙などでよい。また手書きでもワープロ打ちでもプリンターからの出力でもよい。
4)上記1・2・3の要領で作成した手紙のコピーを普通のコピー機で2部作成する。
5)手紙が2枚以上の紙になるときは、綴目(とじめ)に契印(けいいん)を押す。(2枚以上からなる手紙の1枚目と2枚目にまたがって印鑑を押すことを「契印」という。契印に使用するのは、実印や代表者印である必要は無く、認印〔会社の場合は社印〕でよい)
6)ひとつの封筒に、手紙に書いた相手方の住所氏名・自分の住所氏名と同一のものを書く。
内容証明郵便を郵便局で発送する手続は次のとおりである。
1)用意した封筒、手紙、そのコピー2部、印鑑(実印や代表者印である必要は無く、認印〔会社の場合は社印〕でよい)を郵便局に持参する。印鑑を持参するのは契印を忘れた時や郵便局で指摘を受け訂正をするために必要になる可能性があるからである。
2)書留、配達証明付き、内容証明、速達で郵送の手続をする(料金は合計で1,490円。ただし手紙が1枚を超えると、超えた分1枚につき250円が加算される。また封筒の大きさ・重量により料金が加算される場合がある)。
3)コピーの1部に「この郵便物は○年○月○日第○号書留内容証明郵便物として差し出したことを証明します。○○郵便局長」と押印されたものが返却される。この押印されたコピーは手紙の差出人が保管する(残りのコピー1部は郵便局に5年間保管される。手紙そのものは相手方に郵送される)。
差押
競売(または公売)の前提として、あらかじめ債務者の財産の売却等を禁止するような裁判所の命令のこと。
仮差押が、債務者の財産を一時的に凍結する命令であるのに対して、差押は競売(または公売)の手続が開始すると同時に行なわれるものである。
差押の原因は次の3つのどれかである。
1)抵当権等を実行するための任意競売が開始されたこと
2)裁判所の判決等にもとづく強制競売が開始されたこと
3)税金の滞納にもとづく公売が行なわれること
仮差押
債権者が金銭債権を持っているとき、債務者が返済を滞納している等の事情があり、債務者の財産状況が著しく悪化していることが明らかである場合には、債権者は裁判所に対して、債務者の財産(不動産など)の売却等を一時的に禁止することを申請することができる。
裁判所がその申請に相当な理由があると認めた場合には、裁判所は債務者に対して、財産の売却等を当分の間行なわないよう命令する。この裁判所の命令を「仮差押」と呼んでいる。
債権者から見れば、「仮差押」によって債務者の財産を一時的に凍結することができることになる。